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デザインを好きになるには

※リンクの不具合修正しました!(9月20日)

はじめに

夜間部デザイン科の大島です。毎年4月くらいの時期に、デザイン科志望の受験生に「好きなデザイナーやデザインは?」という質問をしても「えーと、わかりません」と言う人がほとんどです。

ご家庭の方の職業がデザイン系だったり、学校が美術系でない限り、日本の高校生がデザインやデザイナーのことを知る機会というのはほとんどありません。

それなのに多くの学生がデザイン科に在籍しているというのは、前回のブログでも触れたようにサブカルチャーがデザインの入り口になっているからですが、入試や大学の勉強においてはきちんと本流の「デザイン」を理解していくことも重要です。

この日本において、デザインというものは身の回りに確かに存在しながらも、人々にとって身近で親しみがあるものとは決して言えないのが現状です。よって、デザインを理解したり好きになるためには、自ら積極的にデザインの世界に身を浸していく必要があるのです。

詳しい話は機会を見ながら平常授業のなかで話をしたいと思っていますが、とりあえずここでは平面に関するデザインを中心に「デザインを好きになるために、いかにして自らデザインに興味を持つか」という方法について書きたいと思います。

 

 

1.展示を観に行く
休みの日や学校が早く終わったときは美術館やギャラリーに足を運びましょう。アートであれ、デザインであれ一流のものを見ればセンスも身につきますし、美術館やギャラリーに行くとちょっと大人になった気がします。そして良いものを観た後は、決まって自分でもなにかを創作したい気持ちになるのです!どこでどのような展示が行われているかチェックするためには東京アートビートというサイトが便利です。以下はデザイン科の学生にオススメの施設ですが、展示の内容によっては他にいくつもあるので、参考程度に捉えてください。行ってほしい展示はその都度授業でお伝えします。

ギンザ・グラフィック・ギャラリー
通称ggg(スリージー)。「ジージージー」と言ったりもしますが、オフィシャルな略称ではないかもしれないです。月1ペースの展示替え、無料、かつ質の高いデザインの展示。行かなきゃ損です。むしろ毎回行くべき。お願いだから行って下さい!新宿から銀座までは丸の内線で一本でいけますから!でも日曜日は休館日だから注意してくださいね。近くの資生堂ギャラリーG8も是非一緒にまわりましょう。今開催中のPARTY、メディアアートっぽくて面白いですよ。

21_21デザインサイト
デザインに関する展示専門の施設。以前は正直「?」という展示もなくはなかったのですが、最近は「これも自分と認めざるをえない」「テマヒマ」「デザインあ」など話題性のある展示が多く、デザインを学ぶ人なら展示が変わるごとにチェックしておきたいですね。今開催中のカラーハンティングも必見です。

森美術館
六本木ヒルズの53階にある美術館。現代美術の展示が多いです。現代美術がデッサンや色彩構成に直接役に立つわけではないかもしれませんが、発想力の幅を広げるという意味ではどんどん観るべきでしょう。学生は1000円で展望台まで入れちゃうのでお得ですね。結構なデートスポットなので、ひとりで行くときは「俺(私)は純粋に美術が好きなだけだし寂しくなんかないし」という自己暗示が必要になります。

東京都現代美術館
ここで今度、吉岡徳仁というデザイナー(最近はアーティストなのかな?)の展示が開催されるのでデザイン科ならば絶対チェックしたいところです。常設展やミュージアムショップも楽しいです。以前ここで芸人の東野幸治を目撃したことがあります。

デザインHUB
ミッドタウン内にあるデザインの施設。無料。入り口がオフィスビルと一緒で周囲にはスーツの人が多く、本当にこんなところにデザイン施設があるのかとちょっと緊張します(私だけかもしれませんが)。展示ごとに毎回チェックする必要はありませんが、たまに結構いい展示してたりします。

オペラシティアートギャラリー
新美からわずか5分程度。近いといつでも行けるような気がしてなかなか行かなかったりしますが勿体無いです。見て損することはないので時間があれば是非足を運びましょう。企画展はもちろん、コレクション展がなかなか渋いチョイスです。時間がなければ隣接したギャラリーショップで立ち読みをしてもいいし、同ビル内のICCはメディア表現に興味がある人は絶対行った方がいい場所です。

 

 

2.本屋に行く
デザインに関する知識やアイデアソースを得たければ本屋に行くことが近道です。といっても、そこらの本屋に行ったところでデザイン書籍はあまり充実していないのが実情です。ここでは高校生の皆さんが訪れやすい本屋さんを紹介したいと思います。美術系の本は総じて高いので基本は立ち読みです!どんどん手にとってみましょう。本当に欲しいものがあれば奮発して買ってもいいでしょう。

青山ブックセンター
通称ABC。表参道のABCはデザイン書籍が揃っているので丸1日いても飽きません。近くにあるスパイラルの展示をチェックし、スタバでお茶をし、FoundMUJIで雑貨を見れば模範的なデザイン科の学生です。

ブックファースト
新美からだとコクーンタワー店が近くて規模が大きいです。が、私は行ったことがありません!だって広すぎるし…。ルミネ新宿店はそこそこ充実している上、座り読み用のイスまであるので、もっぱらそちらを利用しています。私と会わないといいですね。

リブロ
店舗によってデザイン書籍の充実度は違うかもしれません。おすすめは系列店の洋書を扱うロゴスが併設されている店舗です。都内だと吉祥寺か渋谷でしょうか。ロゴス渋谷は立ち読みをし、気になった作家などの名前をメモり、家に帰ってネット検索をした学生時代の思い出の場所です。

紀伊国屋
いわずと知れた大型書店。でもここも大きすぎて自分はあまり利用しないかな…。新美から遠くなったし…。でも高校時代、わけもわからずに購入した柳宗理の本はいまでも大切にしています。

TSUTAYA 六本木
六本木ヒルズの森美術館やミッドタウンの21_21デザインサイトデザインHUBなどを観た帰りなんかにフラッと立ち寄るといいです。六本木という欲望が渦巻くスポットで、ギラギラとした人々に囲まれながら、オシャレな雑誌を読んでいると、様々な疑問が去来します。

 

 

3.デザイン誌を読む
この世にはファッション誌やゲーム誌があるように、デザインに関する雑誌というのもあるんです。最初は何が面白いかもわからないかもしれないけど、ペラペラめくりながら、なんとなくカッコいいな、みたいなことを感じればいいんじゃないでしょうか。洋書屋やギャラリーショップなんかに置いてある海外のデザイン関係の本もオススメです。最初はそうやって「意味はよくわからないけどデザインに興味あって洋書とか読んじゃっている私」に酔えばいいのです。みんなそういう過程を経ています(多分)。

アイデア

デザインノート

+81

casaBRUTUS

+DESIGNING

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4.デザイナーを知る
デザインの世界をより深く知るためには、デザインをする人、すなわちデザイナーの名前も知ると良いでしょう。皆さんが日常的に目にするポスターやパッケージやロゴなども実は著名なデザイナーが手がけていたりするのです。とりあえずデザイン科ならば知っておきたい、日本の代表的なデザイナーの名前を紹介します。(独断で選んだので「なんでこのデザイナーが紹介されてないんだ!」などあるかと思いますが…)

【日本の代表的なデザイナー】

田中一光
亀倉雄策
福田繁雄
永井一正
勝井三雄
粟津潔
仲條正義

大貫卓也
佐藤可士和
原研哉
佐藤卓
葛西薫
中島英樹
野田凪

服部一成
佐野研二郎
水野学
菊地敦己
グルーヴィジョンズ
森本千絵
長嶋りかこ

 

【もうちょっと背伸びしたい人に】

William Morris(ウィリアム・モリス)
Eric Gill(エリック・ギル)

Kasimir Malevich(カジミール・マレーヴィチ)
Wassily Kandinsky(ヴァシリー・カンディンスキー)
Piet Mondorian(ピエト・モンドリアン)

Man Ray(マン・レイ)
Hans Arp(ジャン・アルプ)

El Lissizky(エル・リシツキー)
Alexandre Rotchenko(アレクサンドル・ロトチェンコ)

Paul Klee(パウル・クレー)
Jopsef Albers(ヨゼフ・アルバース)
Herbert Bayer(ヘルベルト・バイヤー)
Joost Schmidt(ヨースト・シュミット)

Josef Müller-Brockmann(ヨゼフ・ミューラ=ブロックマン)
Max Bill(マックス・ビル)
Otl Archer(オトル・アイヒャー)
Armin Hoffmann(アーミン・ホフマン)
Max Huber(マックス・フーバー)

Walter Allner(ウォルター・アルナ―)
McKnight Kauffer(マックナイト・カオファー)

 

 

おわりに

本当はもっと具体的な作品なども紹介したかったのですが、あまりに長くなってしまいそうなのでとりあえず今回はこのあたりで区切ります。

いま新美に通っている方は、ほとんど東京かその周辺地域にお住まいだと思います。
ちょっと足を伸ばせば大きい本屋や美術館がいくつもあって、それは全国の美大受験生からすればずいぶんと恵まれている環境といえるでしょう。あまりにも身近にありすぎるため、そのアドバンテージに気がついていない人も多いのですが、利用しない手はないでしょう。

今後の夜間部私大系の授業では、制作のあいだにデザイナーの紹介やデザイン史、あとは皆さんが好きそうな映像などを見せる機会を設ける予定です。皆さんが少しでもデザインが好きになってくれることを願っています。

 

デザイン科夜間部より

こんにちは。デザイン科夜間部講師の大島です。

昨日は多摩美の田口先生を迎え、新学科として今とても注目されている統合デザイン学科の説明会が行われました。

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グラフィックデザイン学科とプロダクトデザイン学科の良いところを取り入れたようなカリキュラムがとても魅力的。かなり忙しそうな学科ではあるけれど、充実した学生生活が送れそうですね。併願しやすそうな入試課題なので、ちょっとでも興味がある人は積極的に受験する方向で考えてみましょう。なんなら私が受験したいくらいです。

 

さて夏期講習も中盤に入りました。
現役生もちょっとずつ成長の兆しをみせていますので、その成果の程をちょこっとだけ紹介させてください。以下は「お菓子と両手」という課題で、すべて現役生(高3)の作品です。

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こういうアイス、そういえば子供のころ食べましたね。
ソーダ味で、夏の暑い日、セミの鳴き声を聞きながら友達と半分こして…幼い頃の記憶が蘇り、講評中に思わず郷愁にかられてしまった作品です。手の描写はもっとイケると思います(木の棒の描写はいいと思います)。

 

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サイコロキャラメルは他の人もモチーフにしてましたが、これは持ち方を工夫してますね。間近でみたときの描写も丁寧でした。紙の厚みや質感をちゃんと表現していて「わかってるな…」と思います。ポーズは少々アクロバティックで、実際やってみると指がつりそうです。
ちなみに明治のサイコロキャラメルの発売は1927年だそうです。86歳。すごい。

 

 

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流れのある連続性が美しく分かりやすい作品ですね。上手にモチーフを利用しています。
手の描写と形がまだ気になるかな…とはいえ今の時期としては描写や考え方は良い感じなので、このまま頑張ってほしいですね。ちなみに私はたけのこの里より断然きのこの山派です。

 

 

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ドーナッツの輪っかと、片方の手でつくった輪っか。
これもテーマが分かりやすい作品です。手の描写は悪くないんですけど、ドーナツの質感描写がもう少し美味しそうに描けてると良かったですね。業界用語でいうと、いわゆる「シズル感」というやつです。
どうでもいいんですけど以前フランスのスターバックスにて、日本語のイントネーションで「チョコレートドーナッツ」って屈強そうな黒人の店員に言ったらまったく通じなかったどころか爆笑されたことがトラウマです。

 

最近は美大を目指すきっかけがアニメや漫画やゲームという学生がたくさんいます。

むしろ私たちの多くはレンブラントやミケランジェロをみて美術の道を歩むわけではありません。幼い頃からアニメや漫画のキャラクターをノートに模写したりしながら絵が好きになり、その延長線上で美大を目指そうと思う人も多いのではないでしょうか。

そうして美大予備校に通い始めるわけですが、当然そこではこれまで趣味で描いていたような絵は描けず、予備校で用意されたモチーフを描かされ、講評では形が狂っているなどと指摘されます。本当はイラストや漫画を描くのが好きだっただけなのに、いきなり「デッサン」や「デザイン」の勉強を始めさせられるのです。

そうして予備校生活が漫然なものとなり「自分がなにをやりたいのかわからなくなってきた」「なんのために予備校に通っているのかわからない」と感じ始め、いつしか楽しかったはずの絵を描く行為が徐々に苦しくなってくるという人もいるのではないかと思います。

そこで、いわゆるサブカルチャーからの流れでなんとなくデザインに興味を持った学生には私はこの本を見せることにしています。

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これは「アイデア」という有名なデザイン誌ですが、近年サブカルチャーの分野におけるデザインも特集されています。普段目にしているような漫画からここには絶対掲載できないような本までデザインの対象として扱われています。

この「アイデア」誌に目を通すと、予備校で学んでいること(デザイン科の受験勉強)が、どう自分が好きなもの(漫画やアニメ)に結びつくのか少しイメージしやすくなるのではないかと思っています。

「資生堂の広告いいよね」とか「田中一光のグラフィックデザイン格好いいよね」なんて会話ができれば話は早いのですが、普通に日本で暮らして来た高校生が、全員が全員いきなりそんな知識と感性を持つのは無理があるでしょう。というわけで、こういったところから少しずつ「デザイン」のことを理解して好きになってもらえればと思っています。

この本は私物ですが、興味がある人は声をかけてもらえれば見せることができます。
思い悩んでる人は是非どうぞ。

夏期講習会 中期 テキスタイルコースアトリエ

夏期講習会中期テキスタイルコースアトリエ

私大コース 古関です。

とうとう8月になってしまいました。

現在、新宿美術学院では夏期コースの中期の授業の真っ最中です。

多摩美生産デザインテキスタイルコースでは、
花をモチーフに絵を描くのですが、とてもきれいなので写真をアップしてみました。

ひまわり(大きい!)と極楽鳥花、アンスリウムの組み合わせ、
とっても夏っぽくて良いと思います。

受験にとってこの時期は大事なものです。
講習会生はみんなとっても頑張って制作しています。

また、これから始まる後期(8月12日から24日)までの各コースも
申し込み可能ですので、夏は新美で頑張ってみましょう。

テキスタイルコースアトリエ写真

テキスタイルコースアトリエ

花のモチーフ

ひまわりが大きい!

 

夏期講習会

私立美大デザインコースの笹本です。

多摩美大グラフィックコースの作品を数点紹介します。

昨日のデッサン課題は、「1枚の鏡を持っている両手」でした。

まだ課題点は残っていますが、夏期講習会で最初の手のデッサンとしては、なかなか良い出来だと思います。(上:現役生、中:現役生、下:浪人生)

夏期講習

夏期講習

夏期講習

 

もうすぐ夏期講習会の折り返し地点です。しっかりと体調管理をして後半に臨みましょう!

 

デザイン・工芸科夜間部について

デザイン・工芸科夜間部講師の大島です。

デザイン・工芸科の夜間部としては初めての更新となりますので、まずは科の紹介の方からさせていただきたいと思います。

デザイン・工芸科の夜間部では、4月は合同クラスとして共通の課題を制作していきます。その後、5月中旬ごろになって皆さんの志望校が少しずつ決まってきた段階で本格的なクラス分けを行います。

デザイン科は「芸大コース」「芸大私大併願コース」「私大コース」の3つ、そして工芸科専門の「工芸コース」を合わせて、計4つのクラスに分かれますので、自分の志望校や受験のスタイルによりフィットしたコースを選択することが可能となっています。当然のことながら各コースは年間を通じてそれぞれ別の講師が担当しています。

 

芸大コース
その名の通り東京芸術大学を目指すクラスです。普段は東京芸術大学の試験に合わせた課題が主になりますが、希望者には私立美大対策も短期集中でしっかりと行なっています。最終的には私立美大との併願を考えている方でも安心して芸大受験に取り組むことができます。

併願コース
東京芸術大学と私立美大(多摩美術大学と武蔵野美術大学)を並行して対策していくコースです。東京芸術大学を目指しつつも、私立美大の対策も多めにやっていきたい人にオススメのコースです。毎年、武蔵野美術大学・視覚伝達デザイン学科や多摩美術大学・グラフィックデザイン学科といった高倍率の学科への合格へはもちろん、過去には現役で東京芸大合格者も輩出しています。

私大コース
私立美大に絞って対策していくコースです。多摩美術大学と武蔵野美術大学の対策を中心としながら、入試直前には必要に応じて女子美術大学、東京造形大学、日本大学芸術学部、東京工芸大学、横浜美術大学なども合わせて対策することができます。また、各私立美大の推薦入試の対策も可能です。

工芸コース
東京芸術大学工芸科の対策は当然のことながら、各国公立や私立美大の工芸科受験にも対応しています。東京芸術大学工芸科への合格者数全国1位を誇る新美の工芸科です。現役合格も決して夢ではありません。実績と信頼のある充実した指導をおまかせください。

 

 

さて、ちらっと授業風景のほうもご紹介したいと思います。
先日はちょうど夜間部の芸大コース・併願コースの合同デッサンコンクールでした。

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初めてのコンクールということもありみんな緊張した面持ちで講評を聞いています…..。

 

 

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と、思いきやこんな笑顔になるワンシーンも。
現役生のこの時期としては悪くない作品が並んでいたのではないでしょうか。
夏期講習が始まろうとしているこの時期からが勝負です。

他のコースの様子については、また今後お伝えしていきたいと思います!