作成者別アーカイブ: admin

読書ノススメ

建築科の小林です。

 

 

うだるような暑さだった夏も遠の昔、大分肌寒くなってきました。読書の秋の到来です。

今回は建築系の書店について紹介したいと思います。

 

書店名の部分に各書店のホームページへのリンクを貼っておきますので、是非調べて行ってみてください。

 

丸善 丸の内本店

東京駅丸の内北口のオアゾ内にあります。広大な店舗面積に莫大な書籍数。建築書に限らず、美術・デザイン、各種文庫、非常に充実しています。目星を付けずに片っ端から本を見ていたら、丸一日あっても到底見きれません。一日中本屋で本を漁る、そんな日があってもいいかもしれませんね。

 

南洋堂書店

神保町の店舗まるまる建築書の書店です。建築系書店の総本山。ここにない建築書はないといっても過言ではありません。店舗自体も有名な建築家の手によるものであり、また不定期で建築にまつわる企画イベントが行われていたりします。

 

GA gallery BOOKSHOP

副都心線の北参道駅すぐにある、有名な建築雑誌”GA”によるギャラリー&書店です。小さなお店ですが、希少価値の高い、海外の建築雑誌や書籍を多く取り扱っています。また併設のギャラリーで定期的に建築の展示が行われています。

 

ギャラリー間

千代田線の乃木坂駅すぐにある、TOTOの運営するギャラリー&書店です。運営には安藤忠雄氏らの建築家達が携わっており、面白い建築の展覧会が随時行われています。周辺には美術館も多数あるので、梯子して展示巡りをしてみるのもよいでしょう。

 

 

どの書店も、それぞれ特徴があり訪れるだけでも楽しい場所です。是非一度行ってみて下さい。色々な本に触れるだけでも、作品制作に繋がることがたくさんあります。

建築書に限らず、小説から絵本、様々な本の中の世界・空間に触れてみてください。それでは。

 

 

基礎科専門クラス紹介 ・・・油絵・・・

基礎科講師の岡田です。

今回は基礎科の専門クラス、油絵クラスを紹介します。

基礎科の油絵コースの授業では、最初に道具の説明からはじまります。
基礎油00

↑ オイル、筆、油絵の具、パレット、etc… 色々な種類があります。
描きたい絵によって道具を使い分けねばなりません。まずは皆それぞれで描きたい絵を考えて、それに合わせて道具をセレクト、どんどん使って慣れてゆくのが大切なのです。

今回のモチーフは
基礎油01
↑ 馬頭の石膏、紺とクリーム色の布、フランスパン。
限られた色のモチーフも、描く人によって色々な色で表現されます。
画面のどこにモチーフを配置するのか? 絵の具の厚みは? 背景は? 色々な事を考えながら描き進めてゆきます。

例えばこんな表現の人。
基礎油02

パレットは ↓ こんな感じです。
基礎油02
鮮やかなブルーが印象的に描かれています。

例えばこんな表現の人。
基礎油03

パレットは ↓ こんな感じです。
基礎油03 
メインのモチーフをモノトーンで、色々な太さの筆を併用し筆あとをいかしながら描いています。

例えばこんな表現の人。
基礎油06

パレットは ↓ こんな感じです。
基礎油06 
画面で絵の具を混ぜ込んだり、パレットで混食して色を重ねたり、ペインティングナイフを上手に使い描いています。

自分が描きやすい構図、筆、絵の具、色、それぞれ皆の個性が光る作品達です。

基礎油04

基礎油05

基礎科の油絵では、できるだけ色々な道具に触れて、型にはまらず色々な表現の仕方にチャレンジしています。
画集、参考作品、一緒に描く人たちの表現に刺激されながら、一枚一枚「自分らしい」作品が身に付いてゆくのです。

興味はあるけれど、難しそうだと思われがちな油絵ですが、実は楽しく自由に表現できるジャンルなのです。
是非皆さんチャレンジしてみてください!

金木犀の香りがし始めました。

新宿美術学院 国立校 基礎科です。

すっかり秋の気配になりました。
四季のある日本の景色は、目まぐるしく変わっていきます。
そして、夏には夏の、秋には秋の匂いがあるのも、
素敵なことです。

今週は同じモチーフで、デッサンと油絵の授業です。
マルス

「ふて寝のマルス、パンに囲まれて。」というタイトルをつけられました。
高校生は、何でも楽しんでしまいます。

全体

デッサン

デッサン

デッサン

同じモチーフなのに、それぞれ見え方が違います。

油4

油絵

国立校では、10/5(土)・10/26(土)・11/23(土・祝) 13:00~14:00 の3日間、
美大を目指すお子様をお持ちの保護者の方にむけての
進学説明会を行います。
授業の見学のみでも結構です。
美大を受験したいけれど、どんな学校や科があるのか、
どのように勉強したらよいのか、
簡単な疑問から、専門的なご質問まで、お答えいたします。
お気軽にお立ち寄りください。
お問い合わせはこちらまで。
http://www.art-shinbi.com/02kunitachi/access/index.html

もぅ10月…

こんにちは。工芸の松井です。

先週末に東京芸大初の入試説明会が行われ、そして昨日からセンター試験の出願も始まり…ソワソワ…してくる季節ですね。

新美工芸科も9月?10月は実技コンクールや特訓課題等毎週のようにイベント尽くし。

先週は合格者のデッサンデモンストレーション。

今回は入試再現も兼ねて、昨年度の1次試験のモチーフだった『ゲタ』です。DSC06233

描き出し…1時間

DSC06237

3時間…

DSC06243

完成の状態です。

そして今週から来週にかけては国公立や私立大学の対策が行われています。

DSC06244

普段芸大課題中心に進む工芸科では、それぞれの志望校に合わせた対策課題はとても大切。

DSC06252

9月は何となく気がゆるみがち…なんて言わせません!

日々ヘトヘトになるほど課題をこなし、必ず実り多い秋にするのです。

新美では11月16・17日に工芸科の公開実技コンクールが行われますね。

秋の時点での自分の実力を試す大事なイベント。それまでに1回りでも2回りでも成長を遂げて欲しいものです。

 

 

 

「小論文」の話し

 

こんにちは、先端科です。ここ最近は涼しさを通り越して朝晩は寒さを感じるようになってきました。体調には十分気をつけながら、引き続き頑張っていきましょう。

さて、今回は「小論文」についての話しを簡単にしたいと思います。以前もお話ししましたが、先端科の1次試験は「素描」と「小論文」とから選択することができます。

素描と小論文の共通点?

もしかすると、いわゆる「実技系」「制作系」を目指す人は素描を選択し、たとえばキュレーター(展覧会やイベントなどを企画したりするような仕事)や研究者のような「理論系」を目指す人が小論文を選択するのかと思っている人もいるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。そもそも、「実技系と理論系」といったような分け方自体便宜的なものにすぎませんし、むしろそこを分けて考えないことが先端科の特徴と言ってもいいかと思います。そう考えると、モチーフを描写したり、モチーフの新しい見方や側面を発見したり、モチーフに対して自分なりの疑問を見つけたりする力を問われると言う意味では、小論文の試験も素描の試験と共通している部分がたくさんあることが見えてきます。

 

「小論文は意見文ですか?」

新美の先端科では、基本的に過去の入試の出題形式に照らしながら、課題文(既存の評論文や批評文、小説等)に対してその人なりの考えを述べてもらうような問題に繰り返し取り組んでいきます。以前生徒に「小論文は意見文ですか?」というような質問をされて、「意見文とは違います」というようにこたえたことがありました。それは課題文を読んで自分なりの考えを述べるというのが、必ずしも課題文の中で言われていることに反対か賛成かを述べることではないということです。なぜなら課題文への応答の仕方は多様であるはずで、賛成と反対の2つだけではないからです。ここでは課題文を正確に読解する力はもちろん大切ですが、課題文の中のアイデアから自分なりに発想したり展開したり、あるいは大胆に読み替えたりする力も求められます。先端科の小論文が「自由」だと言われることがある理由のひとつはここにあるかもしれません。

自分が知っていることから出発する

さて、課題文が与えられるとしても、もちろん課題文はモチーフではありません。いざ実際に自分の考えを書こうとしたとき、まずは何か具体的な対象を見つけなければなりません。かといって目の前に何かあるわけではなく、与えられているのは自分の身体(と鉛筆と消しゴム)だけです。そうすると書くべきモチーフは、自分がこれまで見たり聞いたり体験したりした事柄、つまり広い意味で自分の「経験」の中から探し出さなければなりません。言い換えれば、まずはあなたが既に知っている事柄から出発しなければならないということです。しかしそれでは「自分の事」を書いているだけの「私的」で「主観的」な文章になってしまって、はたして小「論文」と言えるのか?などと心配になってしまうかもしれません。

 

文章を書くことで新しく発見する

確かに本人が既に知っていることだけしか書いていない文章は小論文としておもしろいとは言えそうにありません。なぜかと言うと、そういう文章はなによりもまず書いている本人にとって何か新しい発見がないからです。逆に、書き手が書きながら何か新しく発見した瞬間というのは、読み手にもかなり正確に伝わるものだし、おもしろい文章にはそのような書き手の発見の瞬間がいくつもあります。そしてそのような発見の積み重ねこそが文章を展開していく原動力になります。

 

知っていることから知らないことへ

「新しい発見」というと大げさに聞こえますが、粘り強く考えることを怠らなければ、それほど難しいことではありません。あたりまえのことですが、個人的な経験といっても、普通私たちはそれを文章や書き言葉のかたちで経験しているわけではありません。そういう意味では、まずは自分の経験を文章にするという事自体が、それまで自分が経験したことのないものと出会う経験になるわけです。絵では描きかたによってモチーフのかたちが変わるように、文章でも書き方によって物事のかたちがかわります。自分がよく知っていると思っていた経験も、文章にしてみると自分が知らないかたちをして現れるということがよくあります。このような初歩的な段階にも、新しい発見のきっかけはあります。また、これも考えてみればあたりまえのことですが、いくらそれが「個人的な」経験だと思っていても、そこには自分ではない様々な人やモノや出来事が介入しているはずです。文章を書くことは、この当たり前の事実に出会い直すことでもあります。

 

「自分の言葉で書く」?

加えて、「言葉」はどんなに頑張っても借り物です。学校の作文の授業などでよく「自分の言葉で書きなさい」と教えられますが、それは「言葉を新しくつくりなさい」という意味ではないわけです。言葉が借り物だという事が具体的にどういうことかというと、自分が書いた文章の中に、自分が言いたい事とは別の意味やイメージがいつでも流れ込んでくるという事です。言葉が常に誤解される可能性をともなっているのはそのためです。「誤解」と言ってしまうと否定的な感じがしてしまいますが、文章を書く事で物事を考える時に、言葉のこうした性質とむしろ積極的に取り組んでいくことも必要になります。なぜなら、実はそれは読み手のことを考えることだからです。自分が書いた文章を読み手の側にたって丁寧に読んでみる事で、書いているときには気づいていなかったモチーフやテーマが発見できることがあります。

 

?客観的であるとはどういうことか?

「客観的」な文章を書こうとかまえると、実はそこまで具体的に知らなかったり、興味がそれほどない物事を無理矢理書いてしまうことがよくあります。また、なんとなく社会的に共有されている考え方や論調に無意識に頼ってしまったりということもあります。そうするといわゆる「一般論」に近づいていってしまいます。そうならないためにも、自分が書いた事をよく読むことが重要です。「客観的」になるということは、まずは自分が自分の「読み手」になり、自分が知っていると思っている事のなかに、実は自分が知らなかったりそこまでつっこんで考えてこなかったことを発見していく作業を積み重ねることです。どんなにささやかな発見であっても、それを見逃したり簡単に捨ててしまわずに、小さな発見を積み重ねていく事が大切です。

 

さて、今回は「小論文」についてというよりは文章一般についての話しになってしまったかもしれません。ただ、ふだんの先端科でもまずは「小論文」という形式を無理に意識せずに、「自分の言葉で文章を書く」「文章を書く事で考える」ということがどういうことなのかということを、授業を通して考えています。もし先端科の「小論文」に対してかまえてしまっている人の印象を少しでもほぐす事ができればいいなと思ってここまで書いてきたつもりです。最後まで読んでいただいてありがとうございます。では、次回の更新をお楽しみに。