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夏期講習会パンフレット訂正について

夏期講習会パンフレットにて下記の内容に誤りがあります。
カリキュラム内容に関わる点ですので受講する方々は確認して下さい。

訂正1
夏期講習会パンフレットp6
彫刻科?後期CD総合力強化コース
8月14日、15日「塑像(外国人モデル)コンテor鉛筆」→「塑像(外国人モデル)」
8月15日「素描(外国人モデル)」→「素描(外国人モデル)コンテor鉛筆」

訂正2
夏期講習会パンフレットp13
中期DK 私立美大総合コース
(2)多摩美工芸・劇場美術カリキュラム
8月1日「静物デッサン(B3)」→「劇場美術カリキュラムは平面構成」
8月4日「静物デッサン(B3)」→「劇場美術カリキュラムは平面構成」
8月6日「静物デッサン(B3)」→「劇場美術カリキュラムは平面構成」
8月8日「静物デッサン(B3)」→「劇場美術カリキュラムは平面構成」
8月10日「静物デッサン(B3)」→「劇場美術カリキュラムは平面構成」

基礎固め

デザイン科夜間部担当の大島です。本年度もよろしくお願いします。

さて、4月からこれまで芸大系・私大系と合同のカリキュラムを制作していた夜間部ですが、今週からいよいよ志望校別クラスに分かれました。

デザイン科夜間部はおおまかには芸大・工芸・私大平面・私大立体の4コースに分かれています。多摩美のグラフィックや武蔵美の視覚伝達を対策する私大平面コースは例年人数が多くなりますが、今年度は多摩美に昨年から新設された劇場美術デザインコースが人気で、立体系を志望される方も多くなっていますね。

さて、私が担当している私大平面コースは最近こんな課題を制作しました。

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そうです。グレースケールをつくる課題です。 とても基礎的な課題ですが、大学生でも案外やったことない人が多いのでは?

とある学生から「この時期にこの課題ですか?」と驚かれたのですが、むしろある程度課題をこなしたこの時期だからでこそ、あらためて基礎を大切にしたいと思っています。

硬さの違う鉛筆でそれぞれ9段階のグラデーションをつくるというシンプルな課題ですが、人によって暗いほうの色幅が似てしまったり、明るいほうの色幅が表現できなかったり、各々のクセが見えてきます。

私大平面=手のデッサン、というイメージもありますが、基礎的なデッサン力さえ身につけば手は半年あれば充分に描けるようになるのではないでしょうか。

また、最近の多魔美や武蔵美の受験傾向をみている限り、もはや手だけが上手になっても通用しない受験問題になっていると感じています(個人的な見解ですが)。受験生の皆さんには「描きかた」よりも、ベーシックなデッサン力というものをまずは身につけて欲しいと思っています。

焦る気持ちもあるかもしれませんが、大丈夫です。
入試直前に仕上げます!

というわけで、夏までは基礎的な課題を積み上げていく予定ですので、これから美大受験をお考えの方も「もう間に合わないんじゃ?」などと思わず、どうぞお気軽に。5月や6月からといった途中入学者の方もたくさんいらっしゃいます。丁寧にイチから教えます!!(←これは宣伝です。)

ではまた。

石膏像を含む室内空間。

こんにちは。彫刻科の小川原です。今回は昼間部の生徒に自由に石膏像を選んでもらい、室内の任意の場所に配置し素描する。という課題を行いました。かなり自由度が高い課題なので、完成度と同時に個性も出していきたいです。思えば僕の受験時代はあまり空間ごとモチーフを描くということはやらなかったです。というより全般的にシンプルなものが多く、基礎力を徹底的に上げていく、という感じでした。でも入試も歴史が積み重なれば多様化してくる訳で、受験生は修得しなければならないことが自然と多くなっていくということですね。一つ一つしっかりクリアーしていきましょう!
さて、作品紹介に移ります。
R.Y君の作品。木炭紙に鉛筆。
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実物のリアルな触覚感がなかなか出ず苦戦していましたが最終的にはいい着地が出来たと思います。自分が思ったより2段階くらい質の高い見方と描写を常に意識しましょう。作品は最終的には「これで決まり!」といえるところまで持っていきたいので、出来るだけ的確な仕事を重ねたいです。荒い探りは後半邪魔になってしまいます。大まかな見切りは良くてもそれがそのままフィニッシュにならない以上、もう少し慎重に、丁寧に、そして正確にするよりほかは無いと思います。
もう少し、ジョセフ以外の描写が良かったらな?(笑)

T.U君の作品。木炭紙大M画に鉛筆。
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高いところに像を置き、蛍光灯を含めた空間を描きました。最後までマリエッタの顔の調子のコントロールは上手くいかなかったですが、ちょっと手を入れただけ(色を抜いた)で良くなったのははっきり分かったと思います。描写力や完成度を上げる為のテクニックは素晴らしいですが、作品としての理想の完成のビジョンは明確に持てていないようです。どんな状況でも作品を最高に良く見せる為に何が出来るか、それさえ掴めれば今よりずっと作品は向上していけるはずです!

Y.Mくんの作品。木炭紙にコンテ。
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出だしから馬頭単体は非常に良くかけていました。裏を返すとこの構図での肝となる奥の壁までの空間感が不足していたり、箱のパースの狂いが目立ったりと、途中経過では雑味が多く、良さをかき消してしまっているのがもったいなかったです。どの段階においても常に作品としての魅力が画面全体に十分行き渡っていることを実感しながら描くことが重要なのですが、やや「途中段階」としてしか作品を捉えていないように感じます。最終的に画面に盛り込みたい要素は開始直後からそれを意識して線や調子に置き換えていきましょう!

さて今回はここまでです。皆大分伸びてきましたが本当にもう一歩と言ったところですね!あと1段階理解を深めると助言など無くても自分の力で自由自在にいい作品に仕上げていくことが出来るようになると思います。それを手に入れる為にはテンションを上げて毎課題楽しんで取り組めること。これが一番大切です!いい作品を生み出す原動力は「義務感」であっては不十分なのです。描くのが「楽しい」と思えたらしめたもので、吸収力は天と地の差となるでしょう(いつも思いますが、常にこんな状態が普通だというタイプの人はあっという間に抜けて出る人です)。浪人生の一番恐い落とし穴は「慣れ」です。新しいものを吸収しなくなればなるほど上達を実感できなくなり、向上心も失われていってしまいます。皆はまだまだ伸びる余地が沢山あるので自分で限界を決めることなく、もっと貪欲に、一番いいものの一段上を目指して頑張りましょう!

作家の言葉

油絵科 松田です。

 

今回は、授業で使用するために集めた資料の中から一部を紹介しようと思います。

資料というのは、過去のインタビュー、レポートなど書籍からの引用ですが作家自身の生の発言集です。

授業ではこれらの資料を使ってディスカッションを行い、各々の制作行為について探っていく内容になります。

断片的で、限られた作家の発言ではありますし、主に平面を扱った方ばかりですが、よかったら読んでみてください。

 

●魂はもがき苦しむことで磨かれ、生まれ出づる。この試練の時代の恐れや喜び、そして悲しみといった生の感情に、芸術家はもはや惹かれない。 もっと研ぎ澄まされた、まだ呼び名を持たぬ感性を呼び起こそうとする。 芸術家の複雑で繊細な人生と同じく、その作品は、そうした感性を感じ取ることのできる人々に言葉を超える感情を与えることができるのだ。                                        (ワシリー・カンディンスキー)

●私の作品が、社会や世界にとって何を意味するのかを聞かれた・・・自分の作品が本当に理解されるのは、資本主義や全体主義の終焉の時だろうと答えた。  なぜならば、私の作品は物を並べたり、空間や形あるものを配置したものではないので、・・・・・そうした意味では、私の作品が社会に与える影響は、開かれた社会への可能性を意味するのだと考えていたし、今でもそう思っている。                                                                        (バーネット・ニューマン)

●私は精神的な存在としての人間を理解しようとしてきた。 人は現実を超えて、さらに自らを高めようとすることを学ばなければならない。 森羅万象においてまったく異なる次元に到達できるような、霊的な方法を作り出すべきだ。                                                             (ヨーゼフ・ボイス)

 

●アートはいつも周りにあるものだと思っているし、自分にはそれが分かるから、[制作するのも]そんなに大したことではないんだ。                                                           (デミアン・ハースト)

●自分にとって一番大切なのは、それがオリジナルなイメージであるということ。 すでにあるなにかを再表現するということではない。 そのために、なんらかのリアリティーを一度自分の中に取り入れたうえで、さらにツイストしたり、モディファイしたり、違った解釈を加えることで、作品的な表現に変えているんだ。
イメージするものの内部に、さらにイメージするものがあるんだ。 私の絵の中に存在しているのは一般的な人たちであって、特定の誰かではない。 イメージしているのは、より一般化されたものだよ。 そうしたものたちによって、何かがうまく再生されていると驚くんだ。 再生のまた再生。 そういうところを表現しているといえるだろうね。 そうすることで主題との間に距離が生まれて、自分が今どこにいるかも確認できる。                                                      (ミヒャエル・ボレマンス)

 

今回はこの五人の作家さん、他の作家さんの発言も載せたいのですが、長文になりそうなのでまた次回にでも。

皆さんの制作の何かのきっかけになればと思います。

木炭で描くアグリッパ。

こんにちは。彫刻科の小川原です。基礎の課題でアグリッパを描きました。解説を加えながらのデモンストレーションだったので前半撮影が出来ませんでしたが途中からのものを紹介します。
1段階では構図を考えながらアタリをとります。輪郭内の作業では面の変わり目に出来る稜線を探り、立体を掴むようなイメージを深めます。正中線に対する左右の稜線の角度の精度も高め、今後大きく形を直す必要がないことを確認します。
2段階目では光源を設定し、明確に日向と日陰で調子を分けていきます。もちろん調子は最初に捉えた稜線上で変化させます。
そして3段階目。構造にそって調子をコントロールしています。より実際に近い起伏を追い、短時間でアグリッパの持つ印象に限りなく近づけていき、全体を微調整します。大抵の場合はこのくらいの進度で明確な狂いがある場合、アドバイス無く自力で修正するのは困難です。もしモチーフが捉えられていたらこの段階で十分に合わせきれるはずです。逆に合わせられない人はもう少し慎重になってここで精度を上げる努力をすることと、クロッキー力を上げることが求められます。1
4段階目ではガーゼを使って空間を作っていきます。奥行きのある面と逆行側は基本ガーゼで形を起こします。光側はガーゼを使わず、ザラ目を利用し、奥行き面とのコントラストのギャップを高めることで空間性を強めます。
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5段階目では4段階目でつくった下地に具体的な起伏をどんどん詰め込んでいきます。光源設定が崩れない限り、やや黒っぽくなっても良いです。ここでの探りは完成に直結するものなのでじっくり時間をかけて行いたいです。
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最終段階では特に何を重視して描くということは必要ありません。あえて言うなら具体的な描写と、バルールのコントロールは欠かせませんが、そのとき必要だと思ったことは何でもやるべきです。理想とする作品が見えてないと何となく時間が過ぎていってしまいます。どのような作品にしたいのか、その為に何をするべきなのか考えながらいろいろなことを試していくことが大切です。
このくらいで十分かな?というレベルでは実際のところ到底不十分なので、常に自分の限界を超えていくつもりで挑むつもりで向き合いましょう。
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完成作品をフォトショップで加工してみました。出だしでの光源設定では明確な光線状況の説明をしていきたいです。
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色数を4色に減色しました。たった4色でも十分に像の印象を引き出すことが出来ます。どこにどんな色を置いていくか、描き出す前に作戦を立てましょう!
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今回は時間がなかったので2時間半くらいで仕上げました。ちょっと無理がありましたがなんとか間に合わせた感じです(笑)
僕は受験時代も描くのは早かったですが、その当時とはモチーフに対する見方や描き方は全く変わりました。デッサンは普段あまり描かないので日々の特訓の延長で段々変わってきたと言う訳ではなく、どちらかと言うと自分の作品制作の中で形に対する追求度や視野の範囲が変わってきた為にいつの間にか変わっていたと言うのが正直なところです。
受験時代ではいかに奥行きを深く、細部を緻密に、画面全体を明解に描けるかにこだわりを持っていました。やや実際のモチーフの状況を置き去りにしていたところがありましたが、今はどれだけ実際のモチーフの魅力を引き出すことが出来るかと言うことに興味の方向性が変化しています。
皆さんも自分のデッサンに作品としてのこだわりを持って取り組んでほしいです。最初は「こんなデッサンが描きたいな」でいいのだと思いますが。最終的にはそれを越えていくべきだし、自分で理想を見つけていくことがおもしろさでもあります。

さて、プレ夏期講習が近づいてきました。彫刻科では6/22日にプロセスから学ぶモデル首像、29日にプロセスから学ぶ石膏デッサンを行います。どちらも1日で完成させます。まだ未経験でこれからはじめるという人、とにかく早く上達したい人、制作に行き詰まっている人は是非参加してみて下さい。丁寧に制作のコツを伝授します!
基本は現役生対象の講座ですが、学外の浪人生も是非。参加無料です。各日3日前までの申し込みとなっているのでお見逃し無く!!