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通信の5月

こんにちは。
通信油絵科の福本です。

5月に入り、少しづつ通信の生徒も増えてきました。
通信は到着した4月タームの作品の添削をし、それぞれ生徒へ返送しています。

通信油絵科の1学期は「デッサン力や観察力」を身につけていく課題を中心にカリキュラムを組んでいます。通信は現役の高校生から浪人生までの生徒がいるため各生徒の経験に応じてそれぞれ課題を用意しています。

通信教育は基本的に自宅での制作が多く、一人でやっているとなかなか集中が続かなかったりします。個人的な経験ですが、そんな時は無理して続けていてもあまり良いこともないので、私の場合は本を読んだり、10分ほど外の空気を吸いに散歩したりして、一度絵のことを忘れ、脳と体をリフレッシュさせてあげた方が新鮮な気持ちでまた制作に集中できることがあります。ずっとやっていても煮詰まってくることもあるので、一度目の前のやっていることを忘れることも大切な気がします。受験勉強は集中力が大切になってくるので、今の時期から自分なりのリフレッシュ方法を何か1つでもあるといいかと思います!

最後に油絵科の生徒に[オススメしたい本]の紹介で終わりたいと思います。

昔、読んで面白かったのが藤原えりみさんの「西洋絵画のひみつ」です。
油絵科の受験勉強で静物を当たり前のように描いていると思いますが、そもそも静物画という
ジャンルはどのようにして生まれたのか、知ってますでしょうか?
この素朴な疑問をしるために、西洋美術史を分かりやすく書かれいるのがこの本です。
アートを志す者は知っておくべきことなので、ぜひ読んでみるといいでしょう。

うて、うて、考えるな

デザイン科総合コースの滝口です。
GWはいかがだったでしょうか?
寝続けてしまった人、帰省してのんびり過ごした人、休みも実技や学科に燃えていた人、色々な刺激を求めに展示等にいっぱい足を運んだ人もいるかと思います。
僕は本屋イベントに参加したりして、新美用に面白い古書を安く購入出来たので、ちょっと充実した感じです。田名網敬一さんと横尾忠則さんの作品集だから、たまたま似たようなチョイスになってしまいました。

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さて、今日のタイトル「うて、うて、考えるな」ですが、これは僕がもう10年前にもなる写真新世紀という公募展で参加した時に、同じ会場で個展をされていた写真家の内原恭彦さんの展示のタイトルでした。
ちょうど前回の油絵科の先生の記事とふと関連してしまうような感じですが、予備校等で実技を教えていると、どうしてもその言葉の説明(概念)ばかりに頭が行ってしまい、もっと感覚的な部分や無意識の部分とかを信じられなくなってしまうことも多々あると思います。

この『うて、うて』というのは、写真だとShootと英語では言うこともあるので、何を撮るかとかどんな風に撮るかなんかを考えずに撮ってしまえという決意や想いなども込められているんじゃないでしょうか。
デッサンや絵等では、クロッキー等がそれにあたると思いますが、じっくりと練って考えることも大事ですが、もっと感覚的に、瞬発的にとらえられる何かを発見する為に、短い時間で多くの枚数を描くこともとっても大事な部分があると思います。

写真ではなくクロッキーだと「描け、描け、考えるな」ですが、何かかっこ良くない感じがするので、やっぱり「うて、うて、考えるな」が良いですよね。
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そんなテーマで、GW前に石膏デッサンで着彩クロッキーを皆で何十枚も描いてみました。
指導にあたっていた講師たちも、一緒になって無心で描きました。

数 枚描いて行くと、やはり集中力も切れて来てしまいますが、描いていて感じた事は、見てじっくりと描く行為ではなく、感覚的に全体や像のイメージなんかを 追って描いて行く方が、計って描いているよりも活き活きすることもあって、自分が日頃思っていたり感じていたりする以上の力が、絵から現れることもあっ て、思い悩んでいるときとか、無心で対象を追いかけてみるのも凄く良いことだな?って、改めて思いました。

そんな課題から生まれた着彩クロッキーたちを幾つか紹介しておきたいと思います。
1枚あたり大体10分から30分程度でしょうか。

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新年度も始まって1ヶ月。GW休みで5月病にならないように、がむしゃらな時期を過ごしても良いかもしれないですね!!

そろそろ専門課題に挑戦してみましょう。

5月に入り、皆さんも新美の基礎科授業にも少し慣れてきた頃でしょうか?

デッサン課題が続いている基礎科ですが、夏に向けてのこの時期からは、それぞれの専攻の課題がはじまります。
新美の基礎の専門課題は、在学生も、体験でいらっしゃる校外の生徒さんにも、自由に課題を選択してもらえるようになっています。

各画材の説明から購入。
各専門課題の描き出し方法。
専門の講師が指導にあたります。

自分の進路はどうしようか?
絵は好きだけど、どんな専攻があるのかわからない。
自分にあった専攻を悩んでいる。

そんな方たちは是非この機会に、色々な専攻の課題を試してみてはいかがでしょうか?

【 油絵課題 】
oiloil02

【 デザイン・工芸 】
des_heimen
des_heimen02

【 彫刻?】sozousozou02

【 日本画 】
jap
jap02

映像科:小論文特別授業とオススメ展覧会

こんにちは。映像科の森田です。木金日コースもはじまって約一ヶ月が経ち、最初の週から通っている人は徐々に教室の雰囲気に慣れてきたかな?週に3日のコースだと他の科に比べてまだ少し堅さがとれてないかな??というような今日この頃です。

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先週の授業は「小論文特別授業」でした。毎年春にやっているワークショップ的な授業なのですが、映像科が対象としている「映像メディア」全体ををカテゴリー/ジャンルに分けてマッピングした上で、それぞれに該当する具体的な作品名や作家などを教室の全員で挙げてみるという内容です。以下のプリントがその一部分ですが…

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どうでしょう。もちろん他の専攻でも同じだとは思うのですが、映像メディアは新しい技術やサーヴィスが登場することで、つねにジャンル自体に変化が起こる分野でもあります。だからジャンル分けが難しい…と言うとやや言い訳っぽいですが、しかしこのたった数年で「実写かCG(アニメーション)か」という枠組みがほとんど意味をなさなくなり、また「テレビかネットか」という区分も、それを見る媒体の違いでしかなくなっています。そうした中で例えば「ライヴ・パフォーマンス」と「プロジェクション・マッピング」などであれば、表現の可能性が模索されていく中で、映像の使われ方としてかなり重なる部分があるかも…、などなど。こうしてジャンルに分けてみることによって「映像」というものの全体像が意識できたような気がします。

同時に授業でもポイントになったのは「面白い作品や表現、活動は必ずしもカテゴリー/ジャンルにかっちり収まるわけではないのでは?」ということでした。むしろいくつかのジャンルを横断しているような作品こそが新鮮だったり、ついつい気になって何度も見てしまったりすることもあるような気がします。皆さんも自分なりに(映像科以外の専攻の人は自分の専攻にあてはめて)考えてみることから、新しい発見があるかもしれません。

さて、そんな「ジャンルに収まらない作品/表現つながり」ということで(やや強引ですが)ちょうどこの5月に開催されていた二つの展覧会を紹介したいと思います。

石田尚志『渦まく光』横浜美術館(~5/31まで)

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石田尚志の作品は、手法としては「コマ撮り(手描き)アニメーション」と言えると思いますが、さらに展示の形態からは「(ビデオ)インスタレーション」と捉えられます。普段アニメーションを観て、元の絵が描かれた「空間」を想像するということはほとんどないと思いますが、石田尚志の作品ではむしろその「描かれた(撮影された)空間」が重要で、さらにその「描かれた空間」と「展示された(投影された)空間」の関係がひとつのテーマであるような気もします。と、そんなことを考えずともプロジェクションされた映像を前にすれば、その映像が作られるまでの膨大な時間に圧倒されるはず。ぜひ体験してみてください。

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小泉明郎『捕われた声は静寂の夢を見る』アーツ前橋(~6/7まで)

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展覧会の説明テキストにも「ドキュメンタリーや映画とは異なる映像表現」と書かれていますが、小泉明郎の映像作品を観ると、いつも普通に使っている「フィクション」とか「ドキュメンタリー」とかって何だろう?…というか、その二つはそもそもそんなにはっきり分けられるものなのか??とあらためて考えるかもしれません。一見すると「インタビュー」のような形式を取っている映像も、撮影時の制作者の介入の仕方、そして編集や展示の方法によって、結果的にまったく別の鑑賞体験になっています。ちなみに展覧会は映像作品だけでなく、立体作品やテキストなどもあり、相当に見応えあります(僕の場合は3時間くらい観てました)。

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個人的には受験生の一年の中での「一学期」という期間は、とにかく手当り次第に色々観てみて、自分の表現の幅を広げる時期だと思ってます。どちらも新宿からは少し離れていますが、、ぜひ足を運んでみてください!!

アーテイストを目指す者達へ

こんにちは、油絵科夜間部です。

前年度までの謎解きマンガ「入試の件」は、只今リニューアル中です。ご迷惑?おかけしますが、しばらくお待ち下さい。

ということで、今回は、いよいよ今年度、美術大学を目指す皆様にあらためて、言葉を贈りたいと思います。(特にファインアート、油絵科の人かな?)

画学生のあるべき姿とはーーめったにできないことではあるがーー人生のすべてを費やして、自分だけの感覚を愛し、育ててゆくことである。自分の感情を大切にし、けっして見くびらず、それを他人に知らしめることに喜びを感じ、最も純粋な表現を熱烈に追い求めることである。素描の腕を磨くのは、いつか画家になったときに役立つだろうから、などという理由ではない。そんな時間はないのだ。彼は生まれつき芸術家であり、すでに自然から与えられている快感と感情を表現するための線と形体を発見するのに忙しい。知識がなくても、必要なものが目の前にあれば、すぐに見つけられる。

教師たちがこんなことをいって、邪魔することも多い。

「あせってはいけないーーー画家になりたいなら、まずデッサン力をみにつけなさい!」

ああ!デッサンの勉強に明け暮れたあの長く憂鬱な年月!
そんな苦行を重ねた末に画学生は、人体モデルや古代の石膏像を見るたび
この頭部の比例は全体のどれくらいだろう?といようなつまらない感情しかもてなくなる。

子供のころに抱いた、人間や物に対する幻想を忘れては行けない。それらを大事にする心は、冷静な計算と分析によって簡単に汚されてしまう。人の抱く幻想を無視してはいけない。むしろ、仕事を通じてその興奮を持続し、広げていくべきだ。

古代の石膏像をいくら眺めても、その彫刻が表現している美に感動をおぼえなければ、すぐれた作品は生まれない。

石膏像や人体モデルを前にして、なんのテーマも思い浮かばず、そのまま何時間も目的なしでデッサンを続けたりするのは、自分の感受性を硬化させる第一歩である。ーーー見たものから喜びを引き出す力が失われてゆくばかりだ。デッサンやスケッチで表現すべきは、

「どんなモデルだったか」ということではなく、

「自分の感覚がどこにあったか」である。

そのモデルの外見のどこにいちばん強い印象を受けたかをはっきりと示すことである。

以上

と偉そうに書き連ねましたが、実はこの文章は、2年前ぐらいに

話題になりました、「アート・スピリット」という本からの引用です。

私もこの本は高くて買えず、学生に借りて読んだのですが、この作者

非常に熱い!!

ロバート・ヘンライさんという、美術の教師らしいです。

熱すぎて、突っ走るところは、アート教育会の松岡修造と言っても

過言ではないでしょう。

興味のある方は、読んでみてください。