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彫刻科 近況&お知らせ

こんにちは!彫刻科講師の稲田です。5月も終わりに近づいてきましたね。彫刻科では新学期はじめからの基礎課題も一段落しました。それぞれに自分の課題が明確になってきたのではないかと思います。停滞気味な気分になる季節ですが彫刻科は夏まで全力で走り抜けましょう!!

今回紹介する授業作品は「頭蓋骨の模刻&自刻像」です。
自刻像やモデル首像でよく指摘される問題点として骨格感の欠如や歪みがあります。生徒のみなさんも指摘された心当たりがあるのではないでしょうか?表面の下にある骨や筋肉を想像しろと言葉で言われても実際は中々難しいものです。人体彫刻では形を構成する重要なポイントである骨格感は絶対に外せません。なので今回の課題では、まず頭蓋骨の模刻を行い、それをとなりに並べながら骨格、筋肉を肉付けするように進め自刻像を制作しました。

Hさんの頭蓋骨模刻と自刻像

Sさんの頭蓋骨模刻と自刻像

H君の頭蓋骨模刻と自刻像

3人ともこれまでの自刻像よりも自然な佇まいの魅力が増していますね!土台のしっかりした骨格感から魅力のある表情にまで到達しています。表情の豊かさは表面的な形の作り込みだけでは現れません。大部分は骨格感とパーツのバランスです。この感覚を大切にさらに磨きあげましょう!!

僕は学生時代よく首像の参考に舟越保武、シャルル・デスピオの作品をみていました。2人の作品に共通するのは見る人を安心させる骨格のバランスを作品に取り入れているところではないかなと感じます。2人の作家の首像からみなさんは何を感じるでしょうか?作品集でもいいですが実際に作品をみる機会があるといいですね。シャルル・デスピオは箱根彫刻の森美術館に作品が収蔵されています。舟越保武は岩手県立美術館に多くの作品が収蔵されています。

 

最後に彫刻科から2つのイベントのお知らせです!!
過去のブログでも告知していますが再度お伝えします。

彫刻科では6/4(日)に1学期全国公石膏デッサンコンクールがあります!
*参加費は無料。本番用木炭紙は支給。当日はカルトン、木炭デッサン用具を持参してください。
停滞しがちな1学期中盤に夏までの課題発見、目標設定に学外生の方も大歓迎なので気軽にご参加ください。

6/11(日)はワークショップ「手を型取りして描いてみよう!」を開催します!
*こちらも参加費無料。鉛筆デッサン用具を持参してください。

どちらのイベントも詳細は過去ブログ記事「彫刻科イベント」を参照お願いします。
イベント参加予約は過去のブログ記事内の予約フォームか新美ホームページ内の予約フォームからお申し込みください!!

デザイン総合コース 2017.5.8 対談 vol.2

デザイン総合コース 2017.5.8 対談 vol.2

 

参加者 増田 新宿校 デザイン総合コース副主任
川村 東京芸大デザイン科2年 新宿校デザイン総合コース講師
川名 東京芸大デザイン科2年 新宿校基礎科講師
武田 国立校校長 デザイン総合コース主任

 

テーマ 受験勉強で大切にしたいこと

 

前回に引き続き学生講師のお二人と対談した内容をQ&Aでお送りします。
今回は、川名くんです。

 


川名:東京芸術大学デザイン科二年の川名です。新宿校で基礎科を担当しています。よろしくお願いします。

 

Q1. 芸大を目指したきっかけはなんですか

A.川名:元々絵を描くの好きだったので、美大に行きたいと思うようになりました。
他の大学も考えていたんですけど、金銭的に余裕がなかったので学費が安く、制作環境の充実している芸大に一番魅力を感じて第一志望に決めました。

 

Q2. 受験勉強を振り返って(受験勉強は順調だった?)

A.川名:全く順調とは言えなかったですね(笑)最初に受験科になった時は、ベタ塗りの課題で色面を半分も埋めることができなかったり基礎科との制作時間の差に驚いていました。シンビは講師と生徒との距離感が近かったので、気軽に質問できたり、授業後も相談する時間が多く取れたので上達しやすかったと思います。

 

Q3. 受験時代の作品について

A.川名:僕は元々他の人と比べて一度にできる仕事量が少なかったので一つのモチーフにかける時間の配分に気を付けていました。一からモチーフ構成をしなければならない構成デッサンは他の石膏デッサンや静物デッサンに比べて一見難しいように感じるんですが、逆を言えばメインのモチーフに時間を最大限掛けられるので、足りない観察力を時間配分と構成で補っていました。

 

 

Q4. 上達のきっかけは

A.川名:最初デッサンで大事なことは、まずシルエットや形を合わせて、次に明暗を分けて、最後に稜線やキワを描くことだと思っていたんです。でも講師の先生のデモンストレーションを見ていたら、“もしかしたら稜線が大事なんじゃないか”と思って、入試直前に描き方をガラッと変えてみたんですよ。そしたら稜線を最初に描くだけでシルエットや形だけじゃなくて、固有色や空間まで出せることに気に付いたのでそれからはその描き方で進めることにしました。
入試の直前も直前で描き方を変えるのはどうかと思ったんですけど、結果的にはいい方向につながったと思います。

 

Q5. 入試のこと

A.川名:ひょっとこが出た時はびっくりしましたね(笑)でもそれが最終的に石膏像を描いてる人たちと比べられると思ったら気が気じゃなかったので気合を入れて描きました。本番も対策の時と同じで時間配分に気を付けようと思ったので、PPロープや手を描くことも意識しつつメインのひょっとこに1番時間をかけられるようなに構図と時間配分に気をつけました。お昼の時間はイーゼルにお面を掛けてにらめっこしながらご飯を食べてましたね(笑)

 

Q6. 講師になって、教わる側から教える立場になって気づいたこと、考える事はありますか?

A.川名:僕は二浪したので、だいぶ予備校的な考え方が強いまま講師として入ったんですが、基礎科の生徒たちは自分が感動したことや楽しいと思ったことをそのまま絵にしてくれるので、すごく新鮮な気持ちになりますね。基礎科自体としては既に力のある子たちが多いので、みんなで刺激しあってとてもいい盛り上がりを見せていると思います。

 

Q7. 受験生にアドバイスはありますか

A.川名:高校生はいつも教えているので、特に浪人生になんですけど、“自分は自分、他人は他人”で自分は何ができて、逆に何が出来ないのかをよく見極めることが大事だと思います。講評を重ねるとよく他の人と比べることが多くなってくると思うんですけど、自分の場合そういうときはびっくりするくらい成長しなかったので、自分のいいところを見つける努力が大切かなと思います。

渋谷校、デモスト制作

こんにちは、渋谷駅から5分、駅チカの渋谷校です。

今回もデモスト制作行っています。

今回は石膏と手のデッサンをやっています。

石膏の描き出しと

手の構成デッサンをやっています。

 

今週の後半は、平面構成と立体構成(粘土)の制作予定になっています。

興味のある方は、まずは無料体験や6/17(土曜)の1日体験などから参加してみましょう。

無料体験はこちらからお申し込み下さい。

映像科:木金日コース授業紹介&映像と音楽について

こんにちは、映像科講師の土屋です。

映像科では5/7(日)に、先端芸術表現科と合同で
ゴールデンウィーク課題発表会を行いました。

これから「自分が作りたい作品」や「作ってきた作品」、
あるいは「好きな作品や映像に関して各自で研究したこと」について、
プレゼンテーションを行ってもらいました。

先端と合同ということで、生徒のみなさんも
新鮮な気持ちで発表/傾聴できたことを期待します。

さて、ここで講師の私も
気になっている映像表現について発表してみようかと思います。

今回は、
【映像ジャンル研究】「電子音楽のライブにおけるスクリーンの多様性」について。

何故この話かというと、
上記のプレゼンの前の週に「映像ジャンル研究」という授業を行ったのですが、
①『音楽の演奏+(とともに投影される)映像』
②『音楽(DJ)+映像(VJ)』
③『ミュージック・ビデオ』
この3つの違いが分からない…という声を聞いたため。

確かに音楽と映像が絡んだ表現って複雑です。
特に色んな音をシンセやラップトップPCから出して演奏してると…
それは録音されたものなのか、ライブで今演奏してるものなのか?
といった観客にとっての疑問が、映像にも生じてくるのでしょう。
音に対して計算しつくされた映像が出るのか、もっと演奏のようなものなのか。

とはいえ、音楽のある場所にもまた、映像の可能性があるということが
ここに出す例のような表現から感じられるのではないでしょうか。
今回は映像のコンテンツ(内容)から一歩引いて観察してみる、という意味で
スクリーンのバリエーションに注目してみたいと思います。

Radiohead – Live at Tinley Park (2012)

いきなり純粋な意味で電子音楽ではないですね。すいません。
2012年に行っていたステージ演出では
正方形のLED?スクリーンが、それぞれ巧妙に移動して、
さまざまなパターンを作り出していました。
そこに映像が出力されることでまるでミラーのように見えたのです。

+

Squarepusher – 303 Scopem Hard [Live at Hackney Empire, October 2012]

門のような形状が少しずつ奥行きをもったスクリーン。
しかもよく見るとSquarepusherの被っているマスクも映像装置になっているという。

+

Flying Lotus – Live Show Preview (2014)

ティザー動画のため短くて分かりにくいかもしれませんが、
半透明のスクリーンが層になって、Flying Lotusを囲っています。
ライブではなかなか映画館のような3D上映システムは難しいので、
手軽にそんな体験が出来るのではないかと予想。

+

Amon Tobin ‘ISAM’ Live (Trailer) (2011)

プロジェクション・マッピングをいち早くステージ演出に取り入れた好例ではないでしょうか。
最近では’ISAM 2.0’にバージョンアップしているらしい。

以上はスクリーンの形状に注目してみた例ですが、ここで紹介した2012年前後の例は、
「音楽の演奏(=音の電気信号)の出処(=演者)を巧みに隠す、あるいは顕著に見せるための
光/映像の変化」なのではないかと思っています。

ステージにある様々な要素や特殊な造形は、私達を音楽とともに撹乱させます。
しかし趣向を凝らしたステージ演出でも、そこに演者がいなければ、私達観客は観るのを止めてしまうような気がします。

今現在の2017年は
VRやペンライトシステム、3D(ホログラム?)といったテクノロジーが更に発達しているので
観客(私達)と演者の関係がもうすこし複雑な話になってきそうな時代です。

やはり音楽を耳だけでなく、様々な感覚をもって体験したいという欲求なのではないかと思います。
その要素の一つとして、人が集う場所にもたらされる映像(つまり大きなスクリーンが存在する)は演者と私達観客の関係において、効果的に使われているのだと思います。

いかがでしたでしょうか。
映像科の生徒のみなさんはどんな感想を抱くか気になります。