日別アーカイブ: 2019年12月10日

いよいよ2学期末!構図を楽しもう!

12月になり冬本番!という寒さになってきました。
皆さんもそろそろ二学期も終わりますね。

冬季講習に入る前にこれまでの自身の作品を振り返る時間も作ってみてはいかがでしょうか?
ということで基本のように思われる”構図”について考えてみましょう。

あなたは絵を描く時に構図にどれくらいの重みを置いていますか?

私、個人的には絵の制作者が誰かに向かって何かを伝える武器(道具)の一つになる大切なものだと考えています。
そこで、西洋絵画の印象派にも影響を与えた浮世絵の中から北斎の絵に隠された技のほんの一部を、ご紹介します!

北斎は毎回、人々を飽きさせない工夫を凝らした大胆な構図や奇抜なアイデアを「富嶽三十六景」に盛り込んでいたのです。近景は大きく、中景、遠景と行くに従い小さく様々な遠近法を用いて描いている。

「尾州富士三原」など最たるもので、手前の大きな桶の中に遠く小さく富士が描かれた、遠近法を巧みに用いた大胆で斬新な構図です。

強風で大変なことになっている「駿州江尻」は曲がりくねった街道が画面奥へと小さくなっていく奥行き感が楽しいですね。現在の絵画では一般的な描き方ですが、当時の浮世絵版画にとっての風景の扱いは背景やあしらい程度のものでしたので、ちゃんとした西洋絵画の遠近法を取り入れた「富嶽三十六景」は大変目新しく映ったのだと思います。

北斎は「北斎漫画」の中で「三ツワリの法」という独自の構図法を紹介しています。
西洋絵画の基礎的な構図法に三分割法というのがあります。これは簡易的に黄金分割の安定感を画面にもたらす便利な手法で、オランダから入ってきた絵を独自に分析し、その法則を発見したのは、おそらく北斎が初めてなのではないでしょうか!?

画面の上下左右を三等分して「二ツを天とすべし、一ツを地とすべし」と地平線の取り方を教え、縦の等分線では透視図法の消失点を説明しています。

「江戸日本橋」は消失点のある遠近法を用いた分かりやすい例です。川を中心に両岸の蔵をだんだんと小さくして目線を誘い、消失点の先には江戸城が配されて富士のお山と肩を並べるという構図、考え抜かれた緻密な構成なのです。

また北斎は絵手本「略画早指南」の中で、「規矩の二つをもって諸々の画なすの定位を教ふ」
つまりコンパスと定規で作図の原理を教える。幾何学的な視点を重要視していたのです。
そのコンパスと定規を駆使して描いたのが、「神奈川沖浪裏」。
大小いくつも描ける円と、山と波の三角、静たる山と動の波、緻密な計算の上での大胆な構図は時代を超え、海を越えて絶賛されています。

おまけにもうひとつ、北斎の遊び心を感じる“隠れ富士山探し”なる楽しい構図もご紹介します!!
「江都駿河町三井見世略図」などの瓦屋根の三角と富士の三角をリズミカルに並べた美しい構図はよく知られていますが、よ~くみると一見それとはわからないように富士山のシルエットが隠されている絵があります。

↓この中の隠れた富士を探せるかな??↓

このように視線を誘導しながら見せたい物へ誘っていくことなど今後の制作に役立てられればとおもいます。

では、冬季講習も頑張っていきましょう!!!!