日別アーカイブ: 2016年6月18日

彫刻科、1学期後半へ!

こんにちは!彫刻科の小川原です。新たに1年始まるって時は入試まで長く感じたりしますが、実際始まってみるとあっという間に時間が過ぎていってしまいますよね。そんなにすぐに上達するわけではないので焦りだす頃でもあります。新美彫刻科では今年の目標を「見る力を鍛える」に照準を合わせ、4月から集中的に練習してきました。その成果が徐々に出てきた感じが見て感じられるので、これからの成長が更に楽しみになってきました!昼間部はさすがの実力を見せてくれますが、夜間部も今年は素晴らしいです。課題を追うごとにメキメキ上達していてこちらも指導していて面白いくらいです!この調子で1学期後半戦も気合を入れて頑張っていきましょう!

さて、今回の優秀作品の紹介です。
昼間部、自刻胸像。この課題は物量に対して短い時間設定でしたが内容の濃い作品も出てきました!
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凛とした雰囲気が魅力的な作品です。日常の1コマを感じさせるようなポーズの選び方も良いです。

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シンメトリックな構成で、静かなイメージに表情もよくあっています。作者の内面も感じ取れそうです。
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動きのあるポーズですが、人体として自然に作れているところがとてもよいです。顔の造形感も形態感に反応できています。
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自分というテーマに向き合って、これから何かを乗り越えていく意志の強さを感じる作品です。この作品にかける思いも感じ取れます。

それでは夜間部生の作品です。
ヘルメス。
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現役生とは思えないレベルの高さを感じます。モチーフに対する素直な見方と、それを画面に置き換える技術と、その両方に対して妥協すること無くやりきっていることに好感が持てます。

自刻像。
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初めての自刻像です。人間として自然な形になっている以上に生身のリアルさも感じ取れます。髪の毛の扱いも魅力的です。

自画像。
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この作品は制作中後ろから見ていて飽きさせない進め方をしていたのが印象的でした。何が面白かったかというと、とにかくメチャメチャ乗りに乗ってかぶりつくように描いていたことです。自らどんどん魅力を発見し、それを画面に詰め込んでいく行程に楽しさを感じて取り組めていました。技術の高さも作品を高める重要な要素を持っていることに変わりないですが、それ以上に「自分のこうしたい、を形にすることを素直に目指す。作品をつくるってこういうことだよね。」って改めて感じさせてくれた、そんな作品です。この感覚を大事にしながら成長していって欲しいです。

今回僕はヘルメスを描いてみました。今回はいつもと違う描き方をしています。どんなテーマで描いたかというと、「調子で形を模刻する」です。受験で石膏デッサンを学ぶと、セオリーから入って、ベースの形の重要性について説かれます。短時間で描き切るにはそれが一番手っ取り早いし、間違ってはいないですが、じゃあ最初から大きな構造も細部も全てベースとして描いていったらどうなのかなと言うのと、(ベースの作業を形式的に単純化せず、はじめから見た目通りうに描いていく)できるだけタッチに頼らず、色の変化を利用して形に起伏を作っていく(模刻するように)という考え方で描きました。
1段階目。描き出しでは慎重に印象を捉えていきたいです。
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2段階目。日なた、日陰を分けて、調子を乗せていく計画を立てます。
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3段階目。色幅を増やして実際的な印象に近づけていきます。
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4段階目。ガーゼやサッピツ、消し具はとりあえず置いておいて、細部も含め、調子を乗せ切ります。スカスカしないように詰める感じで。この段階で1回完成させる気持ちです。できるだけ短時間で。
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5段階目。ガーゼで奥行きに差をつけます。
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6段階目。どんどん描き込んでいきます。
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7段階目。そのまま描き込んで完成。
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まだまだこれからですが、4時間で区切りました。いきなり大きく変化したところは無かったと思います。常に今やっている作業の延長に次の作業が生きてくる積み重ねの感覚で描きました。基本的には特別なテクニックがあるわけではなく、よく見てよく描くというだけなのですが、ちゃんと一つ一つの作業が印象に反応して手が動いているということが重要です。
去年辺りにこの考え方で実践してみているのですが、いわゆる受験的なデッサンの描き方の延長で描いていた頃に対して、同じ時間で完成度がより上げられるようになりました。
とりあえずこの描き方は「受験的」ではないので、まずはセオリーをしっかり理解し、こなせるようにしておいて欲しいです。最終的にはどんな描き方であれ、自分なりに明確な理論に基づいたプロセスを手に入れて欲しいです。

さ、1学期後半に向けて頑張りましょう!