日別アーカイブ: 2016年6月8日

新宿校基礎科の ”専門課題”

新宿校基礎科は、6月に入り本格的に専攻別の課題に取り組んでいます。

はじめての道具で、はじめて取り組む専門課題。
1学期はじめから特訓したデッサンの基礎をベースに、それぞれの専攻の作品作りで出てきた作品をご紹介します!

「油絵」
油の道具を揃えてはじめての油絵制作。
短い時間で集中して少し小ぶりのサイズで、静物油絵を制作しました。
オーソドックスなモチーフを、それぞれの感覚で切り取り描かれています。

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固有色の描き分けや、主役となる頭骸骨のレプリカの細かな描写もそれぞれ成功していると思いますし、モチーフの後ろに垂らされた白布の表現もなかなか美しくできているのではないでしょうか。
欲をいえば、固有色だけにとらわれず、隣り合ったモチーフや、周りの空気感もモチーフとして受け止めて、個々を描き分けるだけではなく、画面全体の色彩の響き合いや、個々と個々の隙間も表現することに挑戦してみるのも良いかもしれません。

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固有色だけにとらわれず、それぞれの色味の中から色彩を見つけて描写表現ができていると思います。また、画像上ではなかなかお伝えできませんが、油絵表現らしい絵の具の厚みや艶やかな表現も魅力的な作品です。
光側の描写や、絵の具使いは作者の思い入れを感じますが、影側の表現が黒色に頼った表現だけになっているのがもったいないところ、、。影の表現は表情豊かに各々のこだわりを出せるアイテムです、是非その部分にもこだわりを持って作品作りをしてみると良いかもしれません。

 

「日本画」
日本画、一番最初の課題はパパイヤを細密着彩してみました。
着彩と言っても、普段日本画の生徒が行っている着彩ではなく、「赤」「青」「黄」の三原色のみ、色を限定しての着彩にしてみました。
今回は「白」「黒」を使うことは禁止しています。

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よくやった!の一言に尽きる作品が出てきました。
しかも、この絵を描いた子はこういった水彩絵の具での細密は初めてでした。
紙の字の白さをうまく生かしてパパイヤの実のオレンジ色を表現しているところや、皮の独特の湿度や模様を上手く表現できています。
種もよく観察して、黒い色も一生懸命作って塗ることができています。
欲を言ってしまうと、影の色はもう少しこだわって欲しかったなぁというのはありますが、それにしてもまぁ上手で講師陣はびっくりした次第です。
三原色という限定した着彩だからこそ、よく考え、工夫を凝らして観察することができたのではないでしょうか。

 

「彫刻」
水粘土を使い彫刻科の塑像を行いました。最初の課題は片手の模刻。今回は構成の要素よりも形をしっかり作ることに重点を置き制作しました。新美で心棒から作って土付けをするのは初めて、シュロ縄の扱いや心棒の作り方まで、早く覚えてもらいたいものです。

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指先と手の平との接点や、腕の切り口などはまだまだ観察が必要ですが、全体的には手らしいフォルムがよく作られています。指を開いたポーズを作る時も、このような意識で作れると良いですね。
手は、構造をしっかりと捉えて手首・手の平をしっかりと作り、その土台に指を付けていけば短時間で手の全体感は掴めます。各関節や指先・爪など細かい構造はありますが、まずは全体を捉え、構造や塑像板上での空間を早めに掴みましょう。