年別アーカイブ: 2013年

新美NEWS夏季休業期間中の更新について

こんにちは。ブログ担当の大島です。毎日暑い日が続いていますね。

こんなに暑かったら体調を崩しちゃう…というタイミングでちょうど(?)1学期が終了しました。この3ヶ月で成長した人、なかなか掴めないで苦労している人、それぞれ感じていることもあると思いますが、受験はまだまだこれからが勝負です!充実した夏期講習になるように、しっかり準備をしておきましょう。

さて夏季休業期間(7月11日?19日)は各科ブログの更新は基本的にはおやすみです。
(でも、講習会や一日体験などのお知らせもあると思うので是非チェックしてくださいね!)

今年度から始まった新宿美術学院のブログですが、更新は以下のようになっています。

月…油絵科
火…日本画科、彫刻科(週ごとに交代して更新)
水…デザイン科
木…国立校基礎科
金…映像科、通信教育(週ごとに交代して更新)
土…新宿校基礎科
日…先端芸術表現科、建築科(週ごとに交代して更新)

デザイン科や油絵科など、クラスが多い科は各先生や各クラスごとに持ち回りで更新しているのでそれぞれの先生方の趣向によって、毎回違った印象を受けるかもしれませんね。

これまで更新されてきた記事を見ればお分かりの通り、ここまで定期的に毎日きちんとブログを更新している美術予備校も他にはないと思います!ので、今後とも新美NEWSをよろしくお願いいたします。

1学期授業は最後の日なので、ちょっとした夏休みの合間に

 

デザイン科総合コース主任の滝口です。

今日、新宿美術学院の1学期授業は最後の日となりました。
デザイン科総合コースでは、学期初めと終わりに必ずコンクールをしているので、みんなそれぞれ1学期に学んできた成果を実践として試してみて、達成出来た事や問題点も色々と出てくると思いますが、それらを20日から始まる夏期講習会で気持ち新たに頑張っていきましょう!!

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↑立体コンクール課題:「スターフルーツ」と「伸縮」をテーマにのモチーフたち。

先にしっかりと告知を。もう夏期講習会の申し込みも新美生は済まされていると思いますが、夏期講習の申し込みは終盤へとさしかかっています。

夏期講習の申し込み状況によっては、締め切りも出てきますので、「講習会 コース定員状況」を確認してお早めに申し込みをしてください。

また、7/14にはプレ夏期講習会が実施されます。作品面談だけでも大丈夫です。明日11日までの申し込みなので、興味ある方は是非ご参加ください。ネットからの申し込みはこちら。参加は無料です。

 

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話変わって今回は、ネットならではのデザインや実技表現の刺激を受けるテーマで紹介します。
僕は音楽を聴くのがとても好きなのですが、美術を志す皆さんも音楽がとても好きな人も多いでしょう。そこで、もう今となっては音楽のPVもYouTubeなどで自由に見れる時代になって、その中から僕が見つけたとてもデザインとして面白いPVを紹介していきたいと思います。

<注意>音楽のPVなので、音が出ます。音量や見る場所にはお気をつけください。音がなくてもある程度楽しめるかと思います。特に、始めにCMなどもあるのでご注意ください

まず一つ目は、ロックバンドArctic Monkeysの「Do I wanna know?」というPV。
”線”という視覚表現の基礎ですが、その”線”が動きを持ったり、イラストとして表現されることで、様々なデザインが産まれていきます。パースをつけることで空間も現れてきます。そして最後には色彩が入ることで、さらに画面が生き生きとしていくことが分かります。

 

次はロックバンドHot Chipの「One Pure Thought」です。
こちらは、まるで昔の絵本のような可愛らしい手描きのイラストと模様で表現されています。何かを伝えることも大事なデザインもありますが、こういった単純に楽しいとか可愛いとかって、とっても人の心を和ませる表現も大事だと思います。

 

3つめにいきましょう。これは上のHot ChipのメンバーJoe Goddardの「Gabriel」というPVです。
芸大のデザイン科の色彩構成では、絵の具のにじみ表現なども使う機会があるかと思います。そんなにじみ表現って楽しいなって感じる人も多いと思います。そんな表現がこんな風にデザイン出来るなんて刺激的ですよね。

今度は、エレクトロニカという電子音楽でLusineの「Two Dots」。
僕は数学や数式ってとっても苦手なんですが、ビー玉や毛糸、積み木のようなもので、こんなにも美しく可愛いデザインで数学や数式を表現できるとは思いませんでした。発想の自由さって大事ですね。

もう少し行きましょう。こちらは、Mattew Dearの「Slowdance」。
デッサンや平面においても与えられた画面に対する構図や明度の美しさなどって、とても大事な要素の一つですよね。こちらは女性や建物、油のような映像が合成された物ですが、動画であってもその画面の明度や構成の美しさが際だっています。

それでは、最後は芸大デザイン科の卒業した人で、映像と音をリンクさせた作品を作っている大西景太さんの「Forest and Trees」を。12個の分かれたシンプルな図形のみを使って音とリンクさせていますが、シンプルだからこそ何度も見てしまう面白さがあります。

ちょっと一風変わってPVでデザインや実技表現で使えそうなものを6つほど紹介してみましたが、他にも色々な試みがされています。1学期も今日で終え、夏期講習まで10日間ほどありますが、ちょっとしたその休みの合間に見て楽しんでもらえたらと思います。

番外編として、新美デザイン科総合コースのTwitterに、他の面白いPVを紹介しておきますね。

7月14日 1日体験申し込み受付中

新宿校 古関です。

◎プレ夏期講習を受けてみよう!

まだ進路がはっきり決まっていない人、新美の雰囲気や指導を体験したい人は、
まずプレ夏期講習を受けてみましょう。
使用画材はすべて用意してありますので気軽に参加してください。

参加者には小さなスケッチブックも全員にプレゼントさせて頂きます!
お気軽にお申し込みください。

◯場所 新宿校
◯日 時 7月14日(日) 9:00?16:00
◯締 切 7月11日(木)

詳細はホームページ、パンフレットでご確認ください。

▽ 夏期講習についてはこちら。
http://www.art-shinbi.com/images/pdf/2013summer.pdf
夏期講習会は締め切りが近づいているコースもあります。お早めにお申し込みください。

▽ プレ夏期講習についてはこちら。
http://www.art-shinbi.com/01shinjuku/onedaysp/index.html
プレ夏期講習は7月11日が締め切りになります。こちらもお早めにお申し込みください.デッサン風景

夏期講習に向けて、気持ちを引き締めていきます!

こんにちは!彫刻科の小川原です。いよいよ1学期も終わりですね。時には学んだ事を振り返って整理してみることも大切です。是非、1学期を有意義なものとして締めくくって欲しいです!
さて、それでは1学期後半の学生の作品を紹介します。まずは昼間部からです。

実材実習課題で、テラコッタ(素焼き)の自刻像を制作しました。去年までは石膏取りを行っていましたが、より完成度の高い作品に仕上げて欲しいということで、今年はテラコッタに挑戦してもらいました。土は信楽土(薄い肌色)黒泥(グレー)テラコッタ土(オレンジ)の三種から選び、技法としては掻き出し(原型完成後、中の土を刳り貫いて作品を空洞にし、厚みを薄く均一にする)での制作です。K.S君の作品。彼は黒泥で制作しました。
自刻
意思の感じられるような、魅力のある作品になりました。表情に強い説得力がある半面、それ以外の部分が迫りきれておらず、やや簡単に仕上がってしまっているので、内側の構造にこれまで以上に敏感に反応出来るようになるとさらに質の高い作品に出来そうです。
完成作品は頭部の一部(主に後頭部)をワイヤーでカットし、その断面から中の土を掻き出していきます。空洞になったらカットした部分を戻し、修正と更なる密度上げを加えて乾燥させます。完全に乾燥したら窯で焼成します。今回は800℃での素焼きです。
↓縛った髪は焼成後接着します。この段階では修正のしやすさ(いろいろな角度で置ける)を優先して切り離しています。大体乾燥しました。焼成後の色味もこんな感じです。1学期が終わって、夏期講習までの間に台座の制作と、焼成を行ってもらいます。
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木炭デッサン、奴隷像です。M.Nさんの作品。形の張り出しと量感のある仕上がりです。炭使いもやわらかく、魅力を高めています。やや正面から見たときの顔が似ていないのと、トップライトが定まりきっておらず、光の空間が明解でないのが今後の課題です。
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素描の課題で、自分の好きな石膏像をアトリエに自由に設置し、空間ごと描く。という課題を行いました。普段描きなれているシチュエーションとはまた違った切り口で石膏像や、それを取り巻く空間に迫る事で、見方の幅を広げ、表現力を強化します。
K.S君の作品。コンテで描きました。モーゼの印象もよく取れていて、窓枠のシャープな表現も心地よいです。やや床面に奥行き感が足りないので、パースの理解を深めるだけでなく、描画テクニックや質感に対する感覚的に反応出来るよう修練していきたいです。
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次は夜間部の作品です。段ボールと竹ひごを構成(造形)し、それを描く。という課題を行いました。ここ2年芸大2次素描ではこのようにモチーフを自分でつくらせる試験が続いています。デッサン力だけでなく、受験生がどういった造形に対するセンスを持っているのか、あるいは今後展開していくだろうかというところをを見るような内容です。何もポイントを知らない状態だと不利な課題なので、ある程度対策をしていく必要があります。でも受験対策ということ以上に、自ら考え、自らの責任で作品にする。という事は美術を志すものとしては基本中の基本です。
K.Kさんの作品。空間、質感共に良く描けています。割と短い時間での課題でしたが、作品的なボリュームを十分に感じます。パースが正確でないので、確実に合わせられるよう経験を積んでいきたいです。
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U.T君の作品。鋭い先端での接地が魅力的な作品で、密度も十分です。段ボールの面のタッチをパースに合わせると、段ボールの内側の空間がさらにきれいに描けたと思います。
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石膏デッサン、ラボルトです。この像は基礎の練習課題でよく出される像ですが、意外に難しく、バランスや量感、印象を合わせるのはなかなか難しいです。
U.T君の作品。特にこの位置でのラボルトは絵になりにくいですが、全体に必要な事が一通り出来ており、質の高い作品に仕上がっています。通常より短い時間での制作でしたが、粘って描ききる事が出来ました。欲を言うと、台座を中心に、頬や首など、広い面(変化の少ない面)になった時、表現が単調になるようなので、さらに観察を深め、表現力を高めて深みのある描写を目指したいです。IMG_0543

さて、こうして1学期を過ごしてみてどうでしたか?きっとあっという間だったんじゃないでしょうか?頑張って取り組めた人、頑張りきれなかった人、何かを掴めた人、掴み損ねた人。いろいろな想いがあると思います。でも忘れないで欲しいのは、入試は必ず訪れるということと、それまでに与えられた時間は誰にも均しく平等であるという事です。だったらやる事は一つですよね!自分がやれるだけの事をすべてやって、ほんの少しずつでいいから、成長の歩みを止めないで下さい!
少しでも上達の手助けが出来るよう、講師一同全力で指導に当たります。夏期講習での皆さんの成長に期待しています!一緒に頑張りましょう!

愛すべきアーティストの卵たちへ

油絵科の関口です。

いよいよ一学期も終わりに近づいてきましたね。皆さんは充実した一学期を過ごせましたか?入試はまだずっと先にある(と思いたい)ので、この時期にモチベーションを高く保つのはなかなか難しいですよね。

さて、油絵科には毎年バラエティに富んだ人達が集まってきますが、他の科とは明らかに違う特徴があるようです。今日はそんな油絵科の人達を今日は紹介し、何故それを許容しているのか?を書こうと思います。

 

とっても油絵科な人達
※ 決して推奨している訳ではありませんよ。でも本人の性質や周りの人を考慮した上でギリギリまで許容しています。

・アトリエにナワバリを持っている。

・新美には来ているのに、アトリエにはほとんどいない。

・制作は基本が地べたリアン。

・好きな課題しかやらない。

・石膏像の名前をほとんど知らない。

・汚いツナギ姿のまま平気で外に買い物に行く。

・アトリエをまるで自分の部屋にいるかの様にくつろぐ。

・ごくたまにしか来ない。けど良い絵を描く。

・テンションの高い時と低い時の差がムチャクチャ激しい。

・とても貧乏。

・うまく描けた、と思う作品しか講評に出さない。

・年齢不詳。正体不明。

・鼻毛の伸びが異様に早い。(木炭が…ね。鼻をかむと真っ黒だし)

・存在自体が反則。

・木炭やら鉛筆の粉やらで、身体中とにかく真っ黒。

・他の人には見えないものが…見える。

・ツナギの腿の上にある絵の具の層が、布地よりブ厚い。

・バイト先で普通の人(一般人)と折り合いがつかない。

・見かけは怖いけど、実はすごく良い人。

油絵科の学生の中には、このブログを読んで「何だ、当たり前じゃん」と思ったり、或いは「ギクッ」とした人も多いのではないでしょうか(笑)? まだまだ、思わず笑ってしまう様な、面白すぎるエピソードは沢山ありますが、個人が特定できてしまうものが多いので、残念ながらこれ以上は書けません。

 

さて、ここまで読んで「けしからん」と思った人も多い事でしょう。一般常識から考えたら、少々(余りにも?)逸脱しているのは十分に承知しています。しかし、クリエイティブな道に進む人達を一般常識だけで育てられるでしょうか? ちょっと変わっていて、扱いが難しい。そんな彼ら(彼女たち)だからこそ、出せる魅力も沢山あるのです。一般社会では批判されたり、煙たがられたりする様な人達にも十分に魅力や力を発揮できる道がこの世界にある。と我々は考えています。実際上記の様な人達の中から芸大や美大に合格した人達も多数いますし、アーティストとして活躍している人も大勢いるのです。

油絵科講師陣は新美に通ってくる学生を、将来はスケールの大きい、有名アーティストになる可能性を持った「本物のアーティストの卵」と捉えています。
そんな彼らをイキイキ、ノビノビと育てるにはどうしたら良いのか? どこからがワガママとして注意し、どこまでが自由として許されるのか? を常に考えながら、彼らと真剣に向き合い、時には我々も一緒に思い悩み、学んでいきます。

 

ちなみにこちらは新美出身で、現在活躍中のアーティスト達です。

麻生
麻生知子さんの作品。 https://sites.google.com/site/wataridorikeikaku/asou-no-peji

Exif_JPEG_PICTURE武内明子さんの作品。 http://aceimnorsu.jimdo.com

阿部阿部ふみさんの作品。 http://hirota-b.co.jp/artists/2010/07/post-15.html

佐藤
佐藤岐夜美さんの作品。 http://satoh-kiyomi.com

 

あと、くれぐれも断っておきますが、他の科にもいる様な、ちゃんとした人や真面目な人も大勢いますよ。彼らはしっかりと新美の設備や独自のカリキュラムを活用し、ちゃんと絵の勉強をしてスクスクと育っています。放課後だって、いつものメンバーが画集を見にきています。こういう人達もいるのが、新美の油絵科の層の厚さだと思います。

一歩間違えたらカオスで無法地帯。でも色んな人がいて、刺激を受け合い切磋琢磨できる場所。そんな中から将来本物のアーティストになる人が出てくるのだ、と心から信じています。