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【油画科夜間部】藝大現役合格体験記

こんにちは、油画科夜間部鷹取です。
ゴールデンウィークも終わり、このまま暑くなっていくかと思いきや暑かったり寒かったりなかなか安定しない空模様ですね。体調崩しやすい時期ですが、健康第一で頑張っていきたい所です。
夜間部では今の時期は基礎力をガンガン高めるデッサン中心で制作をしています。昨年度藝大に現役合格した生徒も基礎力をしっかりとつけていた印象です。これからも皆さんもどんどん枚数重ねていきましょう。

さて、昨年度の合格体験記、最後は夜間から藝大に現役で合格した生徒の体験記です。

【東京藝術大学油画入試 現役合格体験記①】

油画科夜間部 高森恒成

7月に留学から帰ってきて、夏期講習から本格的に受験対策をするようになった。受験を早く終わらしたい気持ちや、自分の留学経験を活かせるムサビの総合型選抜を受験したが不合格だった。今思うと準備する期間や作家性も合格レベルに達していなかったのだと思う。

そこから心機一転し自分の第二の受験が始まった。ムサビが第一志望だったので静物を描き続けた。自分の狙い、迫力が良く見えてくる構図を選んで描くことが多かった。自分が画面の中でしてしまう癖を意識してやらないようにするのが難しかった。また使いこなせないオイルや白と黒の絵の具、ナイフを使うのをやめた事で、悪く見える処理的な絵を描いてしまう癖がだいぶ減り、絵画としての深みや自分が持つ独特な筆致を出せるようになった。体力には自信があったので、時間との勝負である私大対策で1日に木炭と油彩それぞれ2枚描くことが多くなった。完成しないことも多々あったが、自分の資質上、走り続けないとダメになってしまうので諦めないで最後まで描きあげることを意識した。私は私大を3つ(ムサビ、多摩美、造形)受けたのだが、入試が8日間連続になってしまい、かなりキツかった。しかしそんな中でも頑張れたのは、家族が全力で応援してくれていたことや、担当の鷹取先生が「今、目の前のキャンバスと向き合うこと」の大切さに気づかせてくれだからだ。そして自分が心から感動できるモチーフや空間を見つけてテンションを上げながら描き出していくことが気持ちが良かった。

私大が終わってからは緊張が解け、モチベーションが下がってしまった。一番の目標だったムサビが終わって気が抜けてしまい作業に集中できなくなったのだと思う。しかし鷹取先生と二人三脚で、「ここまできたなら最後まで上手くなってやろう!!」という決意が自分の情熱を再燃化させた。また私大が全て受かっていたのも改めて自分を最後まで貫こうとする気持ちにさせるキッカケになった。それからは藝大に向けて、自分の狙いを全力で出せるような絵を課題ごとに自分なりに描いた。受験を通して感じたことだが、ムサビでの静物対策は全く無駄にならず、逆に自分の純度を高めてくれたと思う。

一次が終わってからは、度重なる疲労や二次に向けて頑張れる気力が湧かず辛かった。一次で落ちてて欲しいとまで思ってしまったが、それを鷹取先生に話したら突き放されてしまい、それは嫌だったので、最後までやりきってから大学に入りたいという気持ちになった。そこから二次まではあっという間だった。

今振り返ってみると、私の受験は自分1人ではどうにもならなかったなと思う。家族、鷹取先生、予備校の友達、高校の先生などいろんな人たちの助けがあったからここまでやって来れた。だからこそ本番では自分の力を信じて、自分自身とキャンバスにしっかりと向き合って集中してやり切ることができた。

※現役合格再現作品、新美ギャラリーにて展示中

【東京藝術大学油画入試 現役合格体験記②】

油画科夜間部 仲田響

私は高校1年生の冬から基礎科に通い始め、絵画について学びました。2年生の頃は、高校の授業中や、予備校終わりの帰宅後などに毎日趣味のイラストを描いて、気分転換をしていました。基礎科の頃に身につけたデッサン力や油絵の具の扱いは、受験科に進んでからも大きな武器になったと思います。

体調面での不便が多かった入試直前は、家で寝ても疲れが取れず、予備校でも眠ってばかりでした。少し描いて寝て、起きてまた少し描いて。もしくは少し長めに寝て、起きて一気に描き進める。といった調子でした。またどうしても朝、貧血が酷く起きられない日などは、無理をせず遅れて予備校に行くこともありました。人にもよると思いますが、私は体調が悪い中で無理をして良い絵が描ける自信がなかったので、本当に辛い時は一旦休憩して、頑張れる時に頑張っていました。
限られた時間の中で絵を完成させるために、描きたいモチーフの質感もしくは光に着目し、描きどころを一番綺麗に見せ、その他の部分の描き込みを絞った構成にするよう工夫をしていました。
私の場合事情を話していたこともあり、理解してくださった担当の先生からは作業時間中の睡眠や遅刻に対しては特に何も言われず、焦らず自分のペースを守りながら描かせてもらえたことで、試験当日まで落ち着いて絵を描くことが出来たと思います。
生活面でも精神面でも支えてもらってばかりでした。家族と講師の方々には感謝の気持ちでいっぱいです。
本当にありがとうございました。