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デューラー

こんにちは、油画科昼間部の仲間です。
授業の参考としてデューラーのエッチング(銅版画)を使用したのですが、面白いものを発見したので紹介したいと思います。

アルブレヒト・デューラー(Albrecht Dürer)(1471年 – 1528年)はルネサンス期に活躍したドイツ人の画家です。ダヴィンチより19歳若いといえば分かりやすいでしょうか。
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こちらの自画像がとても有名なのでご存知かもしれません。精巧な画面で威厳がありますが、どこかほにょんとした人間らしさも感じます。少し離れた眼球は鑑賞者を見つめているのかその奥を見ているのか、神秘的な雰囲気を醸し出しています。

Adam and Eve
こちらが授業で使用したエッチングの『アダムとイブ』です。木炭紙大に拡大して見せたのですが実際は24.92×19.21cmと、小さな作品です。拡大してもものすごい密度でした。

この作品は、旧約聖書の一節で蛇がイブを誑かし、アダムと食べてはいけないと言われている知恵の実を食べようとしている場面を描いています。アダムさんネズミのしっぽを踏んでいますね。よく見ると色々な動物を発見することができます。右上の空が見えているところにはヤギが、その右下の3つの点々は鳥が飛んでいる様子です。知恵の実のなる林にしたのかと思いきや真ん中の木は他の木の葉っぱと違いイチジクの葉に似た形になっていますね。さりげなく植えられていて私なら間違って食べてしまいそうです。
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部分を拡大してみると、蛇の頭に何やらついていますね。これはなんでしょうか。針か何かを刺されていじめられているのでしょうか、実はアンテナで後ろに操作している奴がいる?いやいや、、ぶすぶすと痛そうですね。とても細かい絵で実は蛇の頭の長さが1cm程度です。見えないところでデューラーが遊んだのでしょうか。

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気になって他の作家のアダムとイブを調べてみました。
こちらはハンス・バルドゥングのアダムとイブに登場する蛇です、やはりなにやら頭についています。こちらの蛇はすごい顔ですね。

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こちらはどうでしょう、デューラーの別作品ですが、どうやら針ではないように見えます。頭飾り?なのでしょうか。
調べてみると実は聖書の世界の蛇はもともと足と翼と王冠を持っていたそうで、イブを誑かした罪でそれらを取り上げられ地を這う生物になってしまったそうです。針やら何かが刺さっているのではなく生えていたのですね。話は逸れてしまうのですが、ゴジラに出てくるキングギドラはよく考えると足と翼そして王冠っぽいものをもっています。罪を犯していない立派な蛇なんでしょうかね?

技術的なことの参考に探してきたのですが、面白い発見があると見ていて楽しくなってしまいます。人の心を動かすことってすごいですね。勉強も重要ですが新鮮に作品を感じていきたいものです。

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