月別アーカイブ: 2014年10月

新美公開コンクール・東京芸大デザイン科(デッサン)

デザイン科総合コースの滝口です。
本日、新美の公開コンクール・東京芸大デザイン科のデッサンが行われました。
今年も多くの参加者により、浪人生/現役生も含めて色々な刺激になる機会だったと思います。今年は高校2年生の学生もいて、年々意識の高さを窺える内容でした。(もちろん11月2日、3日の色彩/形体の公開コンクールにも、高校1年生でも2年生でも参加は出来るんですよ!!)

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 今年のデッサンの出題は、マルス・ヘルメス・パジャント・モリエール・ゲタ・ジョルジョの6種類。芸大も2016年試験から構成課題も追加されるので、思い切って色んな石膏像をオンパレードで出してみました。

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今年は、上位は浪人生が中心になってしまいましたが、公開コンクールは現役生にとっても貴重な試験の雰囲気を味わえる時、結果に一喜一憂しないで、これから試験へと向かう経験として大事にしてみてください。
上位者は25枚ほど全体講評へ。始めに芸大の実際の試験の雰囲気や状況を説明して、現役生にとっても少し試験の感じを知っていけると良いと思います。ちょっと説明は長くはなりますが、色んなポイントを知ってもらえると思います。

その後分かれて個別講評へ。一人一人丁寧に作品指導をします。
終わった後も作品持参もしくは、作品画像でもあれば面談も可能です!!

今年の上位入賞者の皆さん。
しっかりとこの結果に自信も持って、気を緩めず今年のデッサンマスターを目指して下さい!!
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11月2日、3日の色彩・形体公開コンクールも、頑張ってください!!


映像科:公開コンクールの報告(武蔵美入試のポイント解説)

こんにちは、映像科の講師の森田です。すっかり秋も深まって急に寒くなったので風邪気味の人もいるかと思います。受験生の皆さんはどうぞお気をつけて。この時期は芸術祭のシーズンでもありますね。先週末は東京造形大、今週末は武蔵美、来週は多摩美ということで、受験生の中には芸大も含めて全部制覇するという強者もいるのでしょうか。全部と言わずとも、少なくとも第一志望の大学の芸術祭には行ってみることをおススメしています。

さて、先々週ですが映像科の公開コンクール(武蔵野美大映像学科型模擬試験)が行われました。今回受験できなかった人のためにも、あるいは受験する可能性があるけれども、まだ対策を始めていないという人のためにも、参考のために課題と評価のポイントを解説しておきます。

■感覚テスト
下記の文から想起する状況のイメージ、あるいは出来事のイメージを解答欄に絵と文章で表現しなさい。
「しるしを付ける」(B3画用紙/3時間)

感覚テストは映像学科を受験する学生の多くが選択する(一般方式では必須の)科目で映像学科受験の名物的な課題です。ここ数年は短い文章やキーワードをきっかけにして絵と文章で創作を行います。去年の入試の問題は「近づくにつれて」というものでしたが、これを聞くと「何が近づくんだ?」と思うはずです。このように具体的な場面に関わるイメージの「余白を埋める(書かれていない情報を想像する)」ということが発想の中心になります。今回のコンクールの課題でも「しるしを付ける」と聞いて「何のしるし?」とか「誰が付けるか?」など、なるべく具体的な場面を想像しなければいけないので、それが創作の中で明らかにされていることがひとつの(大きな)評価基準だと言えます。

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・制作の一例。この作品は主人公が父親の本棚から本を抜き取り、そのページの端にドッグイア(栞代わりの折り返し)を見つけることから、普段は感じない親近感を感じ、さらにそこに自分もドッグイアを付けてみるという内容です。言葉ではない密かな共有、コミュニケーションを題材としているところが良いですね。

■小論文(選択科目)
配布された「水準器」をこの場で使用することから、または使用される状況を想定することから、あなたなりの論点を発見して、「○○は○○である」と題して論じなさい。(600字以内/2時間))

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小論文では毎年モチーフが渡されて、そのモチーフを手がかりとして論を展開していくという、これも映像学科独自の小論文になっています。ちなみに昨年の入試では「工作キット(クワガタ)」という段ボール製の模型が配布されました。この小論文のポイントは「いま・ここで・自分が・体験する」ことから論を組み立て始める、ということに尽きます。工作キットの場合ならば、もし仮に本番で上手く組み立てられなかったとしたら、その「上手く組み立てられなかった」という経験から論点を見つける、ということが望まれているということです。今回のコンクールでも、小論文を書いている机の上に水準器を置いてみたら「水平だった」という人もいれば、「微妙に傾いていた」という発見をした人もいますが、どちらが正解ということではなく、それぞれその後にどのような論を展開したのか、その発想の独創性や論理的に一貫性かあるかどうかということが評価の対象になります。

■鉛筆デッサン(選択科目)
配布されたモチーフ3点を構成して描きなさい。(B3画用紙/3時間)
〈水準器・木片・布〉

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鉛筆デッサンは課題文こそシンプルですが、毎回他の学科のデッサンではあまりお目にかからないモチーフが出されます。というのもここ数年は小論文と鉛筆デッサンで同じモチーフ(あるいは一部同じモチーフ)が出題されているからです。小論文の方がテーマの設定などもあるため、優先的に考えられているのかもしれません(これは勝手な推測です)。いずれにせよ去年であれば先ほど小論文の解説で挙げた「工作キット(クワガタ)」がデッサンの方でもモチーフになっていました。大学が発行している資料によれば「オーソドックスなデッサン力が問われる」ということが評価のポイントとして挙げられていますが、とはいえ課題自体に「ひとひねり」あることもあり得るので、デッサン受験の人も映像学科独自の対策が必要になってくるかと思います。今回の公開コンクールでは水準器を含む3つのモチーフを描く、というオーソドックスな出題でした。木片の角度と水準器で何か試みたりする人もいるかと予想してましたが、意外とそういった「攻めてる」作品は少なかったように思います。

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・講評風景(最後の成績発表&賞状を渡す場面を撮ろうとして忘れてしまいました!)

*今回の課題や解説を読んで質問や相談がある場合は映像科の方まで。お気軽にどうぞ。

私立美大デザインコース

私立美大デザインコース講師の笹本です

日々の表現研究を踏まえて、各自のコンセプトに基づきのびのびと楽しく新宿美術学院のポスターを制作しました。

そのなかから一部の作品を公開します。

①.

1022沼田

 

②.

1022和田

 

③.

1022浅川

 

④.

1022菊池

 

⑤.

1022福士

 

⑥.

1022大島

size:木炭紙大

 

【お知らせ】

多摩美術大学グラフィックデザイン学科受験者を対象とした全国公開実力コンクールが11/9(日)色彩構成と11/16(日)鉛筆デッサンの日程で行われます。奮ってご参加してください!

申し込み締め切り日は、各模試の2日前までとなっております。

日本画科便り13-日本画科レクチャー④?

日本画科です。

 

日本画科では周期的なイベント、レクチャー、デモンストレーションを行い、生徒のブラッシュアップを図っています。口頭指導、個人指導の他、”直に見て学ぶ”というそんな学びのあり方も大切にしています。10月8日~9日は、新美基礎科の佐々木講師(基礎科日本画コース担当)による着彩レクチャーを開催しました。

 

「基礎科 佐々木講師(基礎科日本画コース担当) 着彩レクチャー」

10月8日?9日 静物着彩(マルス)

◆佐々木講師デモンストレーションによるデッサン指導。

1日目

AM佐々木講師レクチャー(1時間)?着彩開始

PMデッサン描き出し(1時間)

2日目

PM講評

 

基礎科の佐々木先生による着彩レクチャーは昨年に続き2度目。基礎科から学んできた生徒にとって、自分の成長を実感できるとてもいい機会となります。逆に、そうでない生徒にとっても普段あまり関わらない講師だからこそより客観的に対峙することが出来る機会となります。

また、受験科と基礎科の連係という意味でもとても意義のあるレクチャーであると考えています。基礎科で成長してきた生徒を受験科でしっかり引き継ぐということと同時に、受験科と基礎科の指導ベクトルをしっかり合わせていくというメリットがあります。このことによって、受験科及び基礎科の生徒の学習効率を上げていくことが可能です。

本レクチャーでは、佐々木先生がデモンストレーションを行いながらモチーフの組み方、構図の考え方、着彩時のデッサンの考え方、彩色、そしてクロッキー帳の活用の仕方まで丁寧かつ徹底的にご指導いただきました。

 

13-8?←デモンストレーションをする佐々木先生。

13-7←一日目終了時、中間講評の様子。

13-5←クロッキー帳(講評ノート)の使い方、活用方法について熱心に指導する佐々木先生。

13-1←佐々木先生の完成作品。佐々木先生は現在、東京藝術大学大学院在籍。受験から6年経過してもなおこの実力を維持。なかなかいません、こんなに描ける大学院生。力作です。

13-4←講評の様子。日本画科の漆原講師(手前)と。

13-3←講評終了後の個人指導。熱心に解説いただいています。

13-2←新宿美術学院日本画科には夜間制作があります。そこでもさらに手を動かす佐々木先生!

今回のレクチャーを今後の学習に活かしていきたいと思います。佐々木先生、2日間、本当にありがとうございました。

 

最後に。

10月13日と14日には「全国公開実力コンクール」が開催されました。課題は「着彩写生」。

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しかしながら、今年度はちょうど台風一過と重なり、参加者のキャンセル等もあり、例年より少ない人数でのコンクールとなりました。また、制作時間が繰り上げになるなど、受験生には大変ご迷惑をおかけ致しました。

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受講した受験生は、そんな台風の荒天にもめげず、よく頑張っていたと思います。この成果を今後の学習に繋げていきましょう!

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自分を計るもの。

油絵科の箱岩です。

台風一過で暑くなるどころか、かえって寒くなっていますね。関東は11月並みの寒さだそうです。受験生の皆さん、風邪などひかぬ様に着るものには注意してくださいね。

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さて、今日は我が家の全力思春期少女の悩みについて、少しお話ししたいと思います。

 

私は「才能」という言葉に対して、もの凄くアレルギーがあります。

どういう事かと申しますと、

「この子は才能が無い。」などと子供を計る先生がいます。

それは、その子に合う指導をするスキルが貴方に無いだけでは?と思います。

「好きなだけでは努力しても無駄です。」という先生がいらっしゃいます。

時間がかかっても、成果が出るまで努力したらどうなんでしょう?

「能力的に絶対無理です、趣味にとどめておいたらいかがでしょう?」なんて無難な事をいう先生がいらっしゃいます。

人類の歴史は、「無理じゃない」という強い思い込みと、弱点を補うアイディアによって作られて来ている事を否定するのですか?

世間で「才能」という言葉を使うとき、殆どの場合が逃げの理由になっていると思うのです。子供が夢を見て努力しようというときに、自分の能力やスキルを棚上げして「才能」のせいにするのは、古ぼけた権威主義の選民思想がなせる技だと思うのです。それは、自分には指導の才能が無いと宣言するようなものです。

子供達には、やりたい事をやる自由があり、頑張りたいだけ頑張る自由がある。人の能力には必ず親譲りの差があるでしょう。それは、人類の遺伝子を多様化させる生物学的な働きによる物で、優・劣どちらの個性が優位でもない。鈍感、無気力、持続性が無い子だって、その子の能力を最大限に生かしてあげれば人類初の素晴らしい業績を残すかもしれないという事です。だって偉人の多くが子供の時代は武勇伝になる程に酷いもんです(笑)

勿論、諦める自由だって保証されているのだから、疲れたらやめれば良いのだと思います。そこに「俺は才能が無い」なんて負惜しみはナンセンスだと思うんです。

つまり、何が言いたいかって?

 

一部の才能ある人間しか芸術表現はできないとしたら、それを理解できる人もごく一部の才能をお持ちの人しかいないという事になってしまいます。そんな芸術は無意味です。

芸術とは、もう一段階レベルの高い思想活動です。そこには究極や至高なんて了見の狭い基準は無く、「多様性の謳歌」が存在しています。

ですから、「才能」に縛られる事無く、各自の能力を究極的に伸ばして、多様である事を謳歌すれば良いのです。努力の仕方そのものを自分に合うよう工夫すべきなのです。

本人が好きで好きで、どうしても好きで仕方ない事を、本人が諦めてもいないのに、他の誰かにやめさせたり、諦めさせたりする権限は無いという事です。

それをなんとかしてあげようと思うのが親心です。

たとえ夢破れても、傷つく事から得るもののほうが多い。

だからこそ、全力になれる状況をつくり、そのサポートをするのが、指導者にもとめる事であると思うのです。

 

 

つい、興奮して、親馬鹿ぶりを披露してしまいました。すみません。。。

とにかく、みなさんも、自分を信じて夢中になってみて下さい。

きっと得るものは多いと思いますよ。ではまた。。