月別アーカイブ: 2016年6月

くにたちの1学期 ①

国立校です。

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今、大学通ではいろいろな種類のあじさいがきれいに咲いています。

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国立校デザイン・工芸科の1学期は基礎力強化!

◎自画像
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◎細密デッサン
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◎写真模写
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1日体験講習
6月19日(日) 渋谷校 国立校
7月10日(日) 新宿校 渋谷校 国立校
に1日体験講習を行います。
無料ですので気軽に参加してください。
お待ちしています。

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コンテの削り方

こんにちは。油絵科の関口です。
皆さんはコンテという素材は使った事がありますか?油絵科だと、木炭デッサンの時に黒をしっかり付けたい、という時に使う人が多いかもしれませんね。
5552015年度芸大一次素描再現作品(部分的に黒コンテも使用)

さて、前回の記事でクロッキーの事を書きましたが、アトリエでは、鉛筆、ペン、水彩、木炭など様々な素材を使っている人を見掛けます。大きいクロッキー帳には、木炭が描きやすい。という人が多い様な気がしますし、僕も同感です。しかし、欠点としてフィキサチーフを掛けないと、後で裏写りしてかなり消えてしまうんですよね。それが唯一残念なところ。
そこで一度はコンテに手を伸ばすものの、使ってみると思いの外描き辛く、諦めてしまう人も多いのではないでしょうか?

 

コンテは何故使い辛いのでしょうか?理由は大きく分けて二つあります。

①調子のコントロールがし辛く、擦ると汚い調子になってしまう点。

②描いた時に意図しないこの「エッジ」ができてしまい、形になり難い点。

エッジ
このエッジが出来てしまうのは、コンテの形に原因があります。木炭とは違い、角柱の形をしているので、どうしてもこういうエッジが出来てしまいます。(パステルも同様です)

そこで今日はこのエッジ対策をお伝えします。
どうやらこのエッジができない様にするには、特殊な削り方が良いみたいです。
昔の人のデッサンに、コンテを使ったものをよく見掛けます。ほとんどエッジが出ていないので、ずっと疑問に思っていたところ、10年ほど前にとある方からこの削り方を教えてもらいました。
木炭の削り方なら教わる機会がありますが、コンテの削り方は教えてもらう事なんか、まずありませんからね…。僕にとっては、目から鱗でした。コンテの削り方
1.コンテを削る前の状態
2.削るイメージ(角の一つを頂点に斜めに削る感じ)
3.途中まで削った状態。折れやすいので大きめの紙ヤスリを使って慎重に削りましょう。
4.途中から少し左右に傾けて、AとBの2つの面が若干山なりになるように削って完成。削った状態
この削り方。一度試してみて下さい。コンテはクセがあるので、慣れは必要ですが、細い線も引けますし、腹のところを使うとソフトな線が引けます。クロッキーの時に稜線を描く時や、形のの回りこみを描くのに便利だと思います。

細い線説明付き
ソフトエッジ説明付き
写真は緑色のコンテを使っています。今はいろんな色があるんですね。右エッジ説明付き
反対にコンテを左側に傾けると、左側のエッジがシャープに、右側がソフトにできます。

シーレ
エゴン・シーレのデッサン

この削り方なら、こんな感じのシャープな線とソフトな稜線を組み合わせたクロッキーが出来そうでしょ?
あとは練習あるのみです。試験には直接関係ありませんが、油絵科の場合 何がキッカケになるか分かりませんから、是非チャレンジしてみてください。

6月19日にプレ夏期講習会。芸大デザイン科の「手」の構成デッサン授業です!!

雨降り季節の6月ですね。デザイン科総合コースの滝口です。

そんな6月で、はや1学期終わりも直ぐになってきましたね。
6月19日の日曜日に、プレ夏期講習があります。
今年は、新美の講習会の授業を1日しっかりと体験出来る様に、オープンスクールという形にして、講習会の雰囲気をしっかりと味わえます。

芸大デザイン科では、一言にデッサン試験と言っても、様々な課題もあって対応するには多くの内容が求められています。
短期間で色々と理解したいし、デッサン力もつけたい。
そんな要望をしっかりと応えるべく、ポイントをしっかりと説明して、1枚1枚のデッサンの中でステップアップ出来る様に指導していきます。

課題は、芸大デザイン科は「手」を含めた構成デッサンを行います。
そこで、先日授業で行われた「手」のデッサン課題の一部を、僕も参加したデモスト作品も踏まえて、そのポイントをいくつか挙げてみたいと思います。
※「両手を描きなさい」という課題で、画面サイズは芸大サイズです。

先ずは描き出し。
当たり前ですが、石膏と違って手は動きます。その『動いてしまう』というところが、形を取る上でポイントとなります。この描き出しは、大体15分程度です。
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次に調子を乗せてみます。
ここでのポイントは、石膏や静物デッサンと違って、『光の設定は自由に出来る』です。
その具体的な表現の仕方は是非指導で!!
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描写ですね。手って固有色もあるし、人それぞれ指の形ととか肉付きも違うから、描く所を見つけるのって苦労しますよね。
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フィニッシュワーク。いっぱい描く経験も大切ですが、ポイントをしっかりと理解出来たら、画面のサイズが変わっても、時間が少なくなっても的確に表現出来る様になります。
このデッサンは、おおよそ6時間?7時間程度で、芸大サイズ(木炭紙大よりも少し大きめ)です。時間に余裕があったので色々と細かい描写も出来ました。
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少し学生のデッサンの紹介と講評の具合も。
この学生は、何と手を描くのは初めてだったそうです。石膏デッサン等で、基本的なデッサン力はついていますが、初めてでここまで描けるれば十分ですね。
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次の学生の作品は、少し構成が小さくなってしまいましたが、とても光の設定や色合いが素敵ですね。
まだ形のズレもありますが、ポイントはしっかりと押さえられています。
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この学生の作品はまだ制作途中段階ですが、こちらも手の質感や色合いがとても奇麗です。構図の大きさも心地良いですね。
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先ずは手の基本的なデッサン力を身につけるのは大事ですね。そこから色んなポーズや関係等も描けれる様になって行きます。
夏期講習では、そこまでのレベルまで到達出来ていれば、手の構成デッサンはバッチリ!!
新美の芸大デザイン科構成デッサンコースでは、しっかりとそのレベルまでポイントを教えて行きます。勿論、石膏やモチーフのみの構成もあるので、他にも色々な課題への実力アップを実現します!!

先ずは、19日のプレ夏期講習会で体験してみて下さい!!
お申し込みはこちら。
https://pro.form-mailer.jp/fms/00160c9e93086
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新宿校基礎科の ”専門課題”

新宿校基礎科は、6月に入り本格的に専攻別の課題に取り組んでいます。

はじめての道具で、はじめて取り組む専門課題。
1学期はじめから特訓したデッサンの基礎をベースに、それぞれの専攻の作品作りで出てきた作品をご紹介します!

「油絵」
油の道具を揃えてはじめての油絵制作。
短い時間で集中して少し小ぶりのサイズで、静物油絵を制作しました。
オーソドックスなモチーフを、それぞれの感覚で切り取り描かれています。

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固有色の描き分けや、主役となる頭骸骨のレプリカの細かな描写もそれぞれ成功していると思いますし、モチーフの後ろに垂らされた白布の表現もなかなか美しくできているのではないでしょうか。
欲をいえば、固有色だけにとらわれず、隣り合ったモチーフや、周りの空気感もモチーフとして受け止めて、個々を描き分けるだけではなく、画面全体の色彩の響き合いや、個々と個々の隙間も表現することに挑戦してみるのも良いかもしれません。

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固有色だけにとらわれず、それぞれの色味の中から色彩を見つけて描写表現ができていると思います。また、画像上ではなかなかお伝えできませんが、油絵表現らしい絵の具の厚みや艶やかな表現も魅力的な作品です。
光側の描写や、絵の具使いは作者の思い入れを感じますが、影側の表現が黒色に頼った表現だけになっているのがもったいないところ、、。影の表現は表情豊かに各々のこだわりを出せるアイテムです、是非その部分にもこだわりを持って作品作りをしてみると良いかもしれません。

 

「日本画」
日本画、一番最初の課題はパパイヤを細密着彩してみました。
着彩と言っても、普段日本画の生徒が行っている着彩ではなく、「赤」「青」「黄」の三原色のみ、色を限定しての着彩にしてみました。
今回は「白」「黒」を使うことは禁止しています。

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よくやった!の一言に尽きる作品が出てきました。
しかも、この絵を描いた子はこういった水彩絵の具での細密は初めてでした。
紙の字の白さをうまく生かしてパパイヤの実のオレンジ色を表現しているところや、皮の独特の湿度や模様を上手く表現できています。
種もよく観察して、黒い色も一生懸命作って塗ることができています。
欲を言ってしまうと、影の色はもう少しこだわって欲しかったなぁというのはありますが、それにしてもまぁ上手で講師陣はびっくりした次第です。
三原色という限定した着彩だからこそ、よく考え、工夫を凝らして観察することができたのではないでしょうか。

 

「彫刻」
水粘土を使い彫刻科の塑像を行いました。最初の課題は片手の模刻。今回は構成の要素よりも形をしっかり作ることに重点を置き制作しました。新美で心棒から作って土付けをするのは初めて、シュロ縄の扱いや心棒の作り方まで、早く覚えてもらいたいものです。

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指先と手の平との接点や、腕の切り口などはまだまだ観察が必要ですが、全体的には手らしいフォルムがよく作られています。指を開いたポーズを作る時も、このような意識で作れると良いですね。
手は、構造をしっかりと捉えて手首・手の平をしっかりと作り、その土台に指を付けていけば短時間で手の全体感は掴めます。各関節や指先・爪など細かい構造はありますが、まずは全体を捉え、構造や塑像板上での空間を早めに掴みましょう。

映像科:武蔵美の「感覚テスト」って?

こんにちは、映像科の森田です。ついこの間一学期が始まったと思っていたのですが、気がつけばもう6月。今週末は武蔵美のオープンキャンパスもあり、少しずつですが受験ムードが出てきた気がします。

さて、今回は前回の「小論文」につづいて、映像科の試験で代表的な形式、武蔵美映像学科の「感覚テスト」について紹介したいと思います。映像に興味を持って大学の映像系学科を志望した人は、最初に思うはずです。「なんだ、この感覚テストって?」

与えられたテーマから発想して絵を描き、文章を書く試験ですが、作品によっては漫画のようなイラストだったり、抽象的なビジュアル表現もあったりして、評価の基準を掴むのが難しいという声を聞くこともあります。実際「感覚テストの対策について知りたくて」という理由で、新美の映像科に相談に来る人も多いです。ちなみに去年の問題はこんな出題でした。

【2016年度 入学試験問題 映像学科 感覚テスト(3時間)】
問題:下記の文から想起する場所のイメージ、あるいは出来事のイメージを解答欄に絵と文章で表現しなさい。
「この時が永遠に続くと思われた」

よく「感覚テストってストーリーを作る試験ですよね?」という質問をされることもありますが、厳密にいえば問題文には「ストーリー=物語」という言葉はありません。あくまでも「“場所”のイメージ」「“出来事”のイメージ」という風に書かれています。実は約10年前までは問題文に「物語(のイメージ)」という表記がありました。しかしその後はずっと「場所」「空間」「出来事」などといった言葉で出題されています。

これは「映像学科に入学してから作る映像作品は必ずしも物語のある映像だけではない」という理由もあるのではないかと思います。つまり明快なストーリーがない映像表現があるように、感覚テストの文章も、いわゆる物語ではなく、散文的な表現、あるいは説明文や日記のような形式…と、色んな文章のスタイルが許容されているのだと思います。実際の作品を見てみましょう。以下は新美映像科の学生の昨年の合格者再現作品です(点数は150点満点で135点でした)。

感覚テスト

主人公の「私」と「父」「兄」が登場するこの作品の文章も一種の「物語」と言えますが、人物の細かな設定や究極的な結末のようなものは示されていません。むしろ長い物語があるとして、その中の「(印象的な)ワンシーン」を切り取ったという印象です。このように感覚テストの問題文の「場所のイメージ、あるいは出来事のイメージ」を別の言葉で言い換えるならば、物語よりはやや短い「シーン=場面」を創作する試験問題だと考えられるかもしれません。

また、これもよく聞かれることとして「文章の“オチ”が考えられなくて…」という質問を受けることがありますが、「物語」という基準だけが求められているわけではないこともあり、わかりやすい結末や教訓(?)が必要なわけではありません。むしろ無理にオチをつけようとすることによって、説明的になりすぎたり、「これ、ちょっと都合良すぎるんじゃないか」という印象になったりするので、そこは逆に気をつけたいところです。

小論文と同様に感覚テストも、日頃の観察や発見が作品のアイディアに繋がります。カメラを持ち歩いている人がつねに写すものを探しているように、感覚テストのアイディアも気にしてみると色々なところにあるのだと思います。