日別アーカイブ: 2023年4月15日

彫刻科 2023年度新学期開始!

こんにちは!彫刻科の小川原です。

新たな気持で新学期スタートです。この1年、より効果的に上達の波に乗っていくために、昼間部では基本的な課題に力を入れたカリキュラムで制作を開始しています。

大事なことはやり方を学ぶことではなく、大前提として自分自身で「リアリティ」について深く考え、常にその上限を突破していくことに関心と喜びを感じられる状態に体質を変えていくことです。
美大受験も「学び」によって合格を達成するということは他の学問とさして変わりないことなのですが、「学び方」については違うと思います。「自分自身がどう考えるのか、自分自身が良いと思ったものが客観的にどのような評価を受けるのか」そしてこのレベルを上げていくことが重要です。「こうするといいらしい」とか、「こうしないといけない」みたいなかんじで、受動的な姿勢では成長しないし、そもそも制作している本人が絶対に楽しめないはずです。

主体的に作品を良くしていくこと!「魅力」に敏感になって、作品やモチーフに感動していくこと!これです。
僕ら講師は生徒の伴走者として全力で支えていきます!

それではこの1週間での預かり作品を紹介します。

昼間部生の作品。
最初は椰子の実の模刻からスタート。なんてことないモチーフと思いきや、自然物であるがゆえ、整合性の取れた構造を持っていたり、内側から張り出してくる強い緊張感もあり、表面には個性がある。しっかり作ろうとするならば、まずは理解しなければなりません。


表面を作り始める前にすでに緊張感のある形がベースとして表現できていました。べーすがよかったのでマチエールの表現が無駄なく最後まで効果的に完成度を上げてくることができました。


全体の形態感がよく表現されています。加えてこの椰子の実の細部の特徴も印象良くまとめられました。


コロッとした感じ、また硬い質感がよく出せています。割れの表情もリアルです。


シワの多い個体で難しかったと思いますがよく作り込めたと思います。表情にリアリティがあります。

次の課題は束ねた大根の素描です。ただ形や色を写していくだけでなく、モチーフの質や状況、空間のリアリティまで考えて表現を深めていきたいです。

どーんと大きく構図を取りました。迫力があって魅力的な作品です。描き出しからそのものらしさによく反応して手を動かせていました。


丁寧に大根の質感に迫れています。物が台に置かれれた状況の客観性も感じられて良いです。


おおらかな表現ですが、大根の質がよく出せていると思います。作者の視点も感じられるデッサンです。


丁寧な描写が目を引きます。新鮮な大根の表情がよく捉えられています。

続いて牛骨の素描です。牛骨そのものが形として洗練されていてかっこいいモチーフです。実物の魅力に負けないように画面に再構築したいところです。


床面から立ち上がる牛骨の存在感にリアリティを感じます。光の当たり方も美しいです。


繊細な調子で完成度を上げてきました。床面におちる影の印象も良いです。構図もよく考えられています。


生命感を感じさせる表現が魅力的です。特に上顎の完成度は高く、形に抵抗感が感じられます。

次は夜間部生の作品です。


形のつながりをみっちりと感じながら丁寧に詰めきれている所が良いです。光源の捉え方にも意識の高さが伺えます。


荒削りではありますが、ヘルメスの印象に食らいつき、かなり似せてこれています。回り込みや形のつながり部分の表現について、少し意識するだけでさらにに向上しそうです。


丁寧に、また実直に印象や状況を構築していきました。出だしですでに構図や印象、全体の設定が自分の中で整理できていたので安心して見ていられました。


現役生ですが昼間部の課題を6時間で挑戦してもらいました。短い時間ですが、これだけいい作品を出してこれる意識や技術の高さに驚かされます。受験としてのデッサンの枠を超えて本当に「作品」と言えるものを目指している成果だと思います。

 

以上です。皆制作に気持ちが入っていて良いです。とはいえそれがこの世界では当たり前だし通常モードなので、ここをさらに突破していけるように常に理想を高く(無限大)もって取り組んでほしいものです。

1年後、全部やりきった成果を入試にぶつけよう!!