月別アーカイブ: 2014年11月

公開コンクールが終了して

油絵科 箱岩です。

先日の公開コンクールに、ご参加いただいた皆さん、お疲れ様でした。油彩&デッサンのダブル受講をされた皆さんは疲れがたまったことでしょう。外部からの受講者も多数有り、大変活気あるコンクールでしたね。

僕も2週連続の日曜出勤と、別件の仕事でのトラブルが立て込み、必要以上に充実した日々でした。

しかし、ストレスの捌け口が作れない日々が続いてしまうと、メンタルの弱い私はすぐ体調を崩します。まんまと、鼻風邪をひいてノックアウト寸前の日曜日でした。お恥ずかしいw

それでもせっかくの休みなので、一切、心を「空」にして水辺の景色を楽しんできましたよ。

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気持ちの切り替えの方法は人それぞれですが、いろいろと悩まずに何かしら行動を起こすことで脳はポジティブ・シンキングへと切り替えやすくなるそうです。メンタルが疲れたなと感じたら、思いつきのワンアクションを心がけると良いかも知れませんね。

さて、先日のコンクールで感じたことを今日の本題にしたいと思います。

率直な感想として、受験生の大多数の考えが窺い知れて、個人的に大変参考になりました。

講評しながら感じたのは、イメージや、テーマに対する取り組みの甘さです。

大多数の人が「そこそこのイメージ、そこそこのコンセプトでも、絵的な部分でクオリティーを上げりゃ良いんでしょ」と言わんばかりの絵を描いているなぁと感じました。もちろんその考えでは、構図も、モティーフの使い方も消極的で希薄になってしまいがちです。

上位であっても、作品の第一印象がそうなっている作品は「伸びしろ」が感じられず、逆にそこが充実している作品は、技術度返しに高評価につながっていたのではと思います。

とある生徒の個別講評で、本人の絵が上位だったこともあり、褒めるべき所から話し始めたのですが、どうも本人の顔色が冴えないので、???となった私は質問してみました。

「あれれ、表情が曇ってるね。上位だったけど何か思いどうりにいかなかったのかな?」

すると、ウンとうなずいて自分の最初のイメージやコンセプトを話してくれ(正直、内容が難しく、表現するのは厳しかった様子)て、自分で納得できなかったのに高評価でも喜べないということのようでした。

だとすると私の褒め言葉はさぞ追い討ちをかける事になったでしょう。本当に、ごめんなさい。

皆さんこの方はなんと現役高校3年生ですよ!!本当に末恐ろしい「アートの鬼」の出現です。受験やコンクールの順位よりも、今自分が表現したい事に、これほど本気でいられる精神の強さ。本当に素晴らしいと思いました。

常々、担当の生徒に話していることですが、試験さえ突破すればどんな方法でも良い。そんな薄っぺらな即興の受験対策で大好きな絵の世界を汚してしまっていいのでしょうか?

確かに受験は競争です。けれども、美術は盲目的な修行の果てに体得する技術ではないのです。

努力とは、目標を実現するための思考量です。「すればいい」のでも「やらなければいけない」のでもありません。受験は、いうなれば絵画という遊びにおいて、誰が一番、絵画好きであるかの意地を比べていると思ってもらえばいいのです。新美では、そんな熱い想いの実現と、それを認めさせて志望大学合格を勝ち取る。この欲張りな目標を意地でも実現したいと思って指導しています。

冬の到来を予感させる寒さが続きますが、インプット、アウトプットのバランスを整えて健全な心を手に入れるのと同時に、今一度、アートに生きたいと願う皆さんの「本気」を表現の原動力として出してしまえばいいのじゃないかと思います。

最近どうもお説教くさくて駄目ですね。次回は何か面白いネタが用意できるといいのですがw

 

先端科ラジオはじめました

こんにちは、先端科です。

今回から、新たな取り組みとして、先端科講師3名によるトークの音源をアップしていきます。

先端科について、現代美術について、3人の雑談も交えながらの鼎談を、毎回20分くらいずつnoteにアップしていく予定です。今回は初回ということで、少し長めですが、気楽に聴いて頂ければ!

もし質問や、話してほしい内容の要望など、ラジオのはがき感覚でnoteのコメント欄に書き込んで頂ければ、次回以降のトークで応答できるかもしれません。

下記のnoteのリンクからどうぞ↓

https://note.mu/shinbisentan/n/nef6e20798537

enart 国立です。

大学通のイチョウもようやく色づき始めました。

大学通11月15日

新宿校では毎週 公開実力コンクールが行われています。
国立校の学生も積極的に参加しています。

先日の東京芸大デザイン科のデザインⅠ(色彩)では、国立校のM君が
全体の6位(高3生1位タイ)の好成績を挙げました。
他の学生も健闘しています。

今週は東京芸大工芸科と多摩美グラフィックデザインが行われます。
入試に向け、今の実力をしっかり出し切れるよう頑張りましょう!

2学期中盤の優秀作品。

お久しぶりです!彫刻科の小川原です。さて、今年も残すところもう2ヶ月無いんですね。時が経つのは早いな?と実感させられます。
1学期は基礎力の拡充!
夏期講習は一気に経験値を稼ぐ!
で、2学期は何かと言うと「作品追求!」これに尽きます。これまで学んできた事で、かなり多くの事が出来るようになってきているはず。その分落ち着いて作品と向き合い、さらに良くしていく事についてじっくり考えられるようになっているのではないでしょうか?冬期講習からはもう実戦に向けての最終仕上げに入っていきます。なので腰を据えて作品を研究できるのは今のうちです。抜かり無く自分の作品の方向性を見極めていって下さい。
それではこれまでの優秀作品を紹介します。

自刻像
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2日制作課題でしたが、ほぼ1日でこの状態にまで持ってこれていました。完成度が高く、良いと思います。この先の作品のビジョンがしっかり持てるようになると、同じ時間でもさらにレベルの高い作品が目指せるようになるはずです。髪の表現はもう一つ研究を深めたいところです。

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頭部の表現がとても良いです。ちまちま細部に走っている訳ではないのに、しっかり端々の表情が作れているし、全体を一つとしてみたときのまとまりも良いです。逆に首、肩、胸が曖昧になってしまっていて、作品の説得力を壊してしまっているのがもったいないです。

素描、両手。木炭紙にコンテ。
T.U君の作品。
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夜間残って自主的に仕上げた作品です。コンテは最近使い始めたばかりですがすでにモノにしたようですね。さすがです。指一本一本のクオリティがさらに高まると尚良いです。

片腕
H.Iさんの作品。
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非常に丁寧に形が探れていて、強いリアリティを感じる事が出来ます。切断面をあえてすっきりさせたのも、他の部分との兼ね合いとしては正解だったと思います。

Y.T君の作品。
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力強い筋肉の表情がリアルに表現できています。筋肉を作る時、筋肉の方向ばかり探ってしまうと変に表面的で筋っぽくなり、つたない表現に見えてしまいがちですが、輪切りの断面方向に形を探る。という事がしっかり理解できてとても良い作品に仕上がりました。

T.F君の作品。
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こちらも力強い男子の腕っぷしが良いです。張りのある表現に魅力的があります。手のポーズはもう少し変化のある魅力的なものが探せるといいです。

F.Tさんの作品。
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全体での動きに連動感があり、自然な表現が出来ていると思います。特にマイナス印象なところは無いので、もっと早い時間帯からどんどん攻め込んで、仕上げてしまった状態からさらに追求の1手が入れられるようになると良いです。

ラオコーン
A.Sさんの作品。
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体の表現が魅力的です。光から陰への無理矢理感の無い自然な変化が深い探りとともに表現できているのが素晴らしいです。頭部はやや描写に走った部分があり、立体感が弱まってしまっているので、ごちゃごちゃしているところも出来るだけ整理し、それを大事にしながら描き進められるよう努力してみて下さい。

ガッタメラータ
H.Iさん。(現役生)
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素晴らしい内容です。粘り強い作業の積み重ねが強い説得力となって作品に魅力を与えています。
後頭部はやや色がつぶれてしまっていますが、マイナスにはならないところまで持ってこれているので、次回からまたこの問題が克服できるように頑張ってみて下さい。

Y.T君の作品。(現役生)
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形の精度が高く非常に似ているのが魅力です。回り込みの処理が甘く、奥まっていく空間性が弱いものの、手前に引き出す強さがあるのでぎりぎり持っていると言えます。あとは単純に技術を高めてくれれば良いです。

石膏像床置き。ブルータス
K.S君の作品。
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全体を包み込むように大きく捉え続けていたのが印象的でした。全体が見渡せているので外しが無く、安定して完成まで持ってこれました。非常に頼もしいです。

ジョルジョ
R.Y君の作品。
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これまで課題であった、画面にピントを合わせる。という事が少しずつ出来るようになってきました。顔と首のつながりに関してはもう少し自然に出来たら良かったです。とは言えやはり安定感のある作品だと思います。

ガッタメラータ
Y.M君の作品。
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序盤からしっかり完成をイメージして作業が積み重ねられたように感じます。モチーフを「石膏像」として、そして表現を「石膏デッサン」として型にはめるのではなく、あくまで静物もチーフとして丁寧に観察し、描写する姿勢に好感が持てます。

ジョセフ
T.U君の作品。
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とにかく上手いです。デッサンもしっかりやりきるとこんなに描けるもんなんだなと改めて実感させてもらったように思います。これからも自信を持って突き進んで下さい。期待しています。

ラオコーン
H.Iさん(現役生)の作品
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ラオコーンの躍動感溢れる動きが良く出せています。炭使いはまだまだつたないところがありますが、粘り強い観察と描写に好感が持てます。炭の扱いに関しては、感覚的に動かしていくだけでなく、作業の重ね方によってどのような効果が出せるかいろいろ試してみて引き出しを増やしてみて下さい。

さて、どうでしたでしょうか?実は裏課題で、皆が自刻像と手を取り組んでいる時に一部の人には自刻像(トルソー)に挑戦してもらいました。その作品は来年度パンフレットに掲載予定なので楽しみにしていて下さい!

2学期も後半戦に入りますが、この時期公開コンクールがあったり、入試も近づいてくるので周囲のレベルと自分の作品を比べてしまい、それが気になって作品に乱れが出てしまう人も多いです。そんな人に一つアドバイス。「そんなの気にする必要ないですよ?。」

もちろん入試を乗り切るに当たってどの程度のレベルで合格できるのか、という水準を意識するのは当然の事なのですが、大抵の場合、周りを意識してしまっている人はその水準のトップグループより先のレベルの事は考えていないと思います。
僕が何を言いたいのかと言うと、「受験で合格できる目安」にばかり目が行ってしまい、本来目指すべき、本当に魅力的な、あるべき作品の姿が見えなくなってしまってはいけないという事です。
もし、あなたが芸大に合格したい、と思うなら、「受かるレベル」を追いかけるだけではダメです。「こう描けば評価されるんでしょ?」を元に表現されたものは本人の美的実感を伴わない表面だけで、中身の無い作品にしかならないのです。まずは自分の作品としっかり向き合い、足りないものがあるなら一つ一つ焦らず埋めていきましょう。その上で、上限を定める事無く常に表現の可能性を見極めていって欲しいです。何事にも通じる事ですが、その道のトップを切り開いていく人は周囲のレベルなど気にしていないはずです。常に先を見据えて突き抜けていくからトップになれるのだと思います。そのくらいの気持ちがあって、やっと勝ち取れる合格なのです。
頑張りましょう!応援しています!

次回、彫刻科は11月25日(火)に氷室先生による更新です。お楽しみに!