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彫刻科:赤い季節到来告げて

講師の新妻です。今年は命の危険を感じるような酷暑で、NUMBER GIRLが久しぶりに聴きたくなりました。

今年は大きな展示が多くて、良いインプットが得られる機会が夏の間にたくさんあります。講習が休みの日に何か一つでも観に行ってみると良い刺激になるのではないでしょうか。

夏期講習は前期日程が早くも最終日、体調管理をしつつ、一作入魂で作品作りしていきましょう!

最近の秀作紹介です。できるだけ作者が被らないように選んでみました!

手と任意の質感の物体の構成という課題です。難しい設定をかっこよく仕上げてこれました。手はもっと観察したいです!

同じ課題で三角錐が手に張り付いてくる様子を作品にしました。制作のリズムを自分でコントロールできていたのが良かったです。あとはアクセル全開で!

高2の基礎科生の作品です。何度も作り直しながらもこだわって作品に向かっている姿勢が素晴らしかった!任意の形の空間的な魅力が効いています。

現役生の作品です。トルソは石膏像の中でも難しいモチーフですが、本人史上過去1で精度を上げてきましたね。顔も似ていると思います。

逆光らしさが出ていて、モチーフに食らいついて隆起の形を追っていて良いです。

学外から受講してくれた基礎科生の作品です。初めての石膏デッサンとのこと。。すごい!どんどんアドバイスを吸収して短い期間でしたがメキメキ上達しました。

最終的に印象をあげてくるところはさすがだなと思います。初手で理解やイメージが曖昧なところをぐっと耐えて観察できると尚良いです。

頭部の量感の魅力があり、今までよりも人間のリアルな凹凸に反応できました。今後首回りの観察理解を深めていきましょう。

現役生の作品です。モデルさんの佇まいをダイレクトに引っ張ってくるエネルギーがとてもあって良かったです。

組石膏デッサンならではの構図や持ち前の形態の起こし方が魅力的です。2体の間にある空間や張り出してくる形にここからさらにこだわりたいですね。

ぐんと迫り出してくるような微笑みの天使の圧を感じますね。まだ形や空間のもつ情報量が整理されすぎているきらいがあるので表現力に見合うリアリティを追求していきましょう。

基礎科生の作品です。色味が浮かずにボリュームに表現できているところがグッと成長を感じました。2体の接近している空間の見え方も丁寧に見ていますね。

木炭を量や光といった体感できる表現に変化できていて、綺麗だなと素直に感じさせるデッサンでとても良いと思います。

今回は以上です、ではまた。

 

 

彫刻科 前期終了

彫刻科の臼田です。早いものであっという間に前期が終わってしまいました。

学生はそれぞれ自分の弱さと強さがわかってきたと思います。夏期講習では失敗を恐れずに積極的に自分の弱さにトライしていき克服していきたいです!失敗から学べることはたくさんあるので一つ一つの課題に真摯に向き合っていきましょう!

さてそれでは前期終わりの作品紹介をしていきます。昼間部では昨年度の入試課題である『アバタのヴィーナスをモチーフとし、任意の要素を一つ加えて塑像しなさい。」をやってもらいました。

 

出だしから作品のフニッシュを強くイメージして制作できていて良かったと思います。アバタの造形については中盤でやや印象が膨張気味でした。像の持つ印象をもっと精度を高く認識できると良いです。

こちらの作品は高さを使ってダイナミックに空間を使えています。出だしは完成のイメージが弱くそれに伴い中盤あたりでは構成が消極的な感じがありました。このような課題では完成のイメージを強く持てているほど良くなると思うので次回からは心がけましょう!

こちらの学生は集中的にデッサンを特訓していました。前期の終わりまでにかなり間隔を掴めてきたのではないでしょうか。色と形をリンクして考えられてきています。やや単調な部分がありますがこのリズム感でどんどんいきましょう!

前期の終わりに夜間部昼間部参加のコンクールがありました。結果が振るわなかった人もいると思います。結果は全く一切気にせず記憶が新しいうちになぜうまくいかなかったのかをよくよく考えるようにしましょう!落ち込んだり自信を無くすのではなく、常に失敗を次に活かせるようにしていきたいです!それでは上位作品をいくつか紹介していきます。

デッサン『ヘルメス』

1位の作品 背景付きで描きました。よく印象を拾えていると思います。ただ背景がうまく馴染んでいないところがあったり、奥行きの部分を少し逃しすぎてしまったり、少しだけまだ弱さを感じます。最終的な着地点についてはもっと高いところを目指しましょう!まだまだ行けると思います!

2位の作品 こちらも印象良くヘルメスの印象を拾えています。黒に関しての扱いはまだしきれておらず落ち着きが悪いです。また空間に対してのアプローチもさらに研究していけると良いと思います!

 

3位の作品 ヘルメスらしい柔和な感じをよく表現できています。全体の色味のバランスはもう少し調整できると良いと思います。黒や反射光の絵の中の統一感を意識してみてください。またやや全体の丸みが似ているのでもう一段階踏み込んで形を起こしていけると良いです!

4位の作品 カラッと明快にかけていて遠目から目立ちました。空間的なアプローチに関してはもっと研究していきたいです!全体的に起こしすぎて手前奥の空気感が少し窮屈な感じがします。全体の色味のコントロールやコントラストの調整をしたいです。

続いて塑像を紹介します。課題は『自刻像』でした。

1位の作品 かなり自然な人の印象を拾えていると思います。眼差しも良いです!欲を言うと細かいですが細部周りの三次局面のつながりはもう一段階追いたいです。また下瞼の上に入るキラッとしたハイライトも作れると良いかなと思います!

2位の作品 力強く表現できていて目を引かれます!目ジリあたりの造形がやや流れているのと黒目の表現とこめかみに入ってくる影が少し強すぎて違和感を感じます。最後の影の色味の調整はさらにシビアにしていけると良いと思います!

3位の作品 かなり作り込んでこれています!この時期でここまでできること正直驚きました。下を向いている角度にやや後頭部や耳の位置・向きが外れてしまっていることが人体的に不自然でした。構造的な正確性は気をつけましょう!

4位の作品 こちらも力強く土付の感じもかっこよく仕上げられました!髪の毛・細部周りの三次局面の形・耳・目周りの形のつながり等は少し大味な感じがします。ここからもう一歩そこまで追えると良いと思います!

5位の作品 非常に丁寧に作り込まれていて印象がよかったです。作り込んでいる分やや頬周りや首周りの形のちょっとした少なさが気になりました。(ゴツゴツ影を落とせば良いというわけではない)張りの美しさ強さは絶妙な形の変化で成り立っています。さらにマニアックにそこまで拾っていってほしいです。

最後に休みの日に自主的にデッサンをした学生の作品を紹介します!

難しい位置ですが、マルスらしい動きを捉えられています!輪郭周りの表現が少し浮いているのが惜しいところです。線的にパキッと分かれすぎていて空間への抜けが止まってしまいます。細かいですがそこの表現まで研究していってほしいです。

こちらもマルスらしい印象をよく拾えています!ただ頭部と胴回りの面展開が少ないことでやや平面的に見えてしまいます。顔胸筋周りで綺麗に量を出せてきているので勿体無いです。断面の形、面展開はよくよく像の観察をして確認しましょう!以上になります!!

夏期講習暑さに負けず、しまっていきましょう!!!!

彫刻科 夏期講習に向けて 7/16(日)石膏顔似せテクニック実践講座

こんにちは!彫刻科の小川原です!

1学期も終盤ですね!新年度入ったと思ったらあっという間にここまできてしまいました。受験生の皆さんはどうでしょうか?すでに確実な実力をつけることができたという人はほとんどいないと思いますが、重要なのは今年度末に待ち受けている受験で合格を果たすために、今何をしておくべきで、どこまで出来るようになっておきたいかということをしっかり意識しておくことです。
漫然と日々の課題をこなしていっても上達はしますが、結果勝負ができるほどの実力がついてこず、入試に間に合わない!ということになってしまう人が多いと思います。(せっかく頑張っているのにもったいない)
どう学んでいくかが最も重要です!入試を乗り越える上で最高の条件を整えましょう!

↓僕の考える最強4箇条!!
・心身の健康を心がけよう!(どのような理由であれ、欠席や遅刻が多いほど上達は遠のきます!)
・自分が今何を集中的に学ぶべきか、目標を明確にしよう!(何も考えずに頑張っていても問題は解決しません。また、変に考えすぎてもそれはそれで上達にブレーキをかけてしまいます。大事なことをシンプルに理解していくことが大切です!)
・毎回作品に対してやりきることを前提に取り組もう!(たとえ失敗したとしてもやりきることを連続で経験する中で、どう対処していくべきかが見えてきます。いい感じだけど途中だね。だと、「頑張って完成させてみよう」という話にしかならないです!)
・制作に取り組む上での「ワクワク」「ドキドキ」を忘れないでください!(受験生とはいえ学生の皆さんは表現者としてすでにスタートを切っています。作者の気持ちがこもっていない作品に対して第三者は共感できません!)

彫刻科はほぼ全ての人が素人の状態から始めるので、差がつくとしたらこの辺かなと思っています。もちろん感覚的に能力の差はあるでしょうが、そうした微々たる差よりも圧倒的にこれらによってついてくる差の方が大きいと思っています。

さて、夏期講習を目前にして、今できること。ということですが、7/16(日)のイベントで、「石膏像顔似せテクニック実践講座」を開催します。
石膏デッサンは顔が命というほど顔を似せることが重要ですが、大体の人は苦手意識を感じていると思います。例年合格していく生徒を見ていて思うのは、「顔によって制作のペースを乱されない」ということです。顔が重要と言いつつも、顔を必死で似せようとしている人は結果似ないし、物凄い時間のロスをしていて結局全体での完成度も上がりきらないのではないでしょうか。
顔に苦手意識を感じていない人は、顔に時間をかけないし、その分画面全体に意識を回せるので圧倒的に優位に立てるのです。
この問題については夏期講習を目前に控えたこの時期にしっかり対処しておく必要があります。(もちろんこの講座1日で解決するわけではないですが、確実に良い方向に軌道修正をすることができると思います。そのうえで今後の特訓で解決していくことが可能です!)
それこそこの先ずーっと苦手意識を持ったまま2学期、冬期講習、、入試直前、、、と問題を先延ばしにしてしまうとまさに入試に間に合わないことになってしまいます。
顔が苦手という人から、むしろ全体的にクロッキーが苦手という人まで、必ず参加してほしい内容になっています。問題解決に向けて一緒に頑張りましょう!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

↓イベントは新美ホームページから申し込んでください
https://www.art-shinbi.com/event/2023/23event-s_s_s/s_s_s-F.html

それでは前回のブログからここまでの預かり作品を紹介します。

昼間部生の作品。
石膏像のマスクを「有機的」というテーマで制作しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マスクを2つつくるのはなかなか大変ですが、かっちり作りきれていて良いです!2つのマスクが引っ張りあっている間の現象の表現についてはさらにイメージを深めて欲しいです。(普段から様々な現象によって起こる形の変化について敏感になってほしいです)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

水の流れのようなものに乗っているマスクです。陰の見え方が彫刻としてかっこいいです。(この手の表現は陰の落ち方が単調になりやすいですが、この作品は複雑な状態で完成度を上げてきています)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マスクが「何か」に変化していく状態を魅力的に彫刻しています。「何か」の形が一定でないのも良いです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マスクがしっかり作られている分、溶けている表現が映えますね。溶けている状態についてはよりリアリティのある表現を目指していきたいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらも溶けている状態を作品にしています。地面に落ちたところの表現に関してはさらに選択肢を増やしていけると思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マスクから菌類が生えてきています。個人的にはさらにマニアックに増殖させたものを見たくなりました。

続いて以前の芸大入試課題の過去問。「ヴィクトルユーゴーの写真と、ロダン作、ユーゴーのマスクを資料としてユゴーの肖像彫刻を作りなさい」という課題を行いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人物として自然なポージングで表現しました。微妙に動きをつけるのは良いですね。完成度もいい感じです!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

粘土の質感がとても魅力的な作品です。マスクを主に参考にした場合、マスクそのものがロダンの強烈な感性によって作り上げられた作品なので、その生き生きした土付に自分の感性を乗せていくのは難しかったと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

思い切った動きをつけました。肖像彫刻としてかっこいいですね!毛の表現も自分なりにやりきれていて良いです。カッティングについては逆に作品の魅力を下げているのでさらにセンスを磨いて欲しいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回の課題は模刻ではないので、参考資料をどう捉えていくかが重要です。その中でこの作品はユゴーを人間臭く表現できていると思います。

昼間部生のベルベデーレ1日描き

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

調子が張り付くように表現できています。美しい炭使いが良いですね!逆に強い動きや大きな空間によって起こる見え方、感じ方の変化が感じ取りにくいところもあります。さらに研究を深めていきましょう。

ここからは夜間部生の作品です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

首肩がついてくる像の模刻は難しいですが、かなりの精度で合わせてこれ、同時に似ていることも素晴らしいです。あくまで模刻も人物彫刻として捉えることが重要です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本人が常に状況を判断して作品をコントロールできているところがとても良いです。とはいえまだまだ出だしの立ち上がりにはかなり不感を感じる場面もあるのでより意識を高めて完璧を目指していきましょう!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

感覚的なタイプなので時間の経過とともにだんだん良くなっていきます。今回はなかなか頭部の動きがはまらず、そこが最終的にもネックになってしまっているのはもったいないです。(まだ手放しで似ている。とは言えない。)出だしに関してはまだ理解と把握が追いついていないので、意識的に取り組んで解決していきましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

6時間での制作です。短い時間でのやり切りは素晴らしいと思います。かなり良いのですが、首が形になっていなくて顔が浮いて見えたり、若干顔が似ていなかったり、惜しい点が先に見えてきてしまいます。弱点になってしまう要素に気ずきさえ出来ればそれ以外は全く問題ないのでさらに注意してみてください。

以上です。
1学期以降、より実践的に経験を積み重ねていきましょう!この夏で自分なりの成果を一つでも多く獲得できるよう頑張りましょう!

彫刻科 6月の秀作

彫刻科の臼田です!

梅雨入りしじめじめしてどんよりとした日が続いていますが、負けじとガツガツ頑張っていきましょう!

作品紹介の前に実技のリズム感が上手く掴めない時について話せればと思います。

自分の制作のリズムが上手く掴めず良い作品が作れず落ち込んでしまう経験は誰しもあると思います。落ち込んではダメ!とは言いませんがあまり長い期間その気持ちを引きずらないようにできればと思います。それを乗り越えられればさらに上手くなれるチャンスでもあると前向きに気持ちを持って行けるようにできるといいと思います。

どうして上手くいかないのか、を自発的に自分なりで良いのでよく考えていく姿勢がとても大事だと思います。その姿勢は上手くなる上で必要不可欠なことだと思うのでしんどい時でもその心持ちを大事にしてほしいです。大学に入り制作していく上でも自発的に考え問題を解決していくことはとても大切になってきます。

もちろん僕ら講師にも気軽に相談してください!客観的にみんなの流れをみているので一緒に打開策を探り解決していけると思います!

とにかく前向きに、決して焦らず、ガッツを持って、自発的に思考して実技をしていきましょう!

前置きが少し長くなってしまいましたが、最近の秀作を紹介していこうと思います!まずは昼間部の作品から

奴隷らしいしなやかな動きの流れや光をよく拾えています。向かって右側の形に関してはややぼこぼこしていたり、肋骨下の緊張感のある反りの印象が作れていません。もう一段階モチーフの形を追求できると良いです!

綺麗な光源設定と空間が魅力的です。手前の張ってくる形については弱いです。形の面展開や、張りや反りをもう一歩踏み込んで表現できると良いです!

非常に印象良くジョセフを表現できていると思います。ジョセフらしいパキパキとした形やエッジの強さ、ラインの鋭さをさらに追い込んで表現できるとよかったです!

頭部の前に出てくる空間を出すのが難しい位置ですが自然に引き出せていることが素晴らしいです。形や、キワの処理に関してはやや大味な感じがします。さらにモチーフに迫っていく心掛けを大事にしましょう!

こちらも破綻なく自然に印象を引き出せていて良いです!上の作品と同じく形とキワの処理に関してはもう少し意識を高くして攻め込んでいきたいです!

自分でテーマを設定しそのテーマにに沿って『手』を制作する課題です。出だしからイメージを持って制作でき、また完成度もあげてこれたことはとても評価できます。最終的なディテール関しては作る中でもっとリズム良く考えていきたいです。

完成度高く仕上げられたと思います。作品全体の流れやシルエットも美しいです。個人的にはもう少し高いところに設定してあげても良かったと思います。塑像板から作品までの距離が近く作品自体の軽やかな印象に対してやや重たく感じます。手のしなやかな形のラインはもう一歩折っていきたいです。

塑像盤上の高さがある垂直のラインがとても緊張感がありかっこいいです!作っていくリズム感に関しては作り込んでいくまでが少し遅いです。自分でそのタイミングを自信を持って決められるようになりましょう!

6hと短い時間ですがかなり良く印象を拾えています!光、空間性も素晴らしいです。腹下の黒に関してはやや潰れている印象があります。またもの同士が重なる部分のキワに関してはもう一歩ピリッと決めていけるとなお良いと思います。

劇的に美しい光を表現できていてとても目を惹かれます。腹下の面の展開、胸筋、左腕のさらに具体的な形、脇の前鋸筋のギュッと詰まった感じをさらにさらに深く追っていきたいです!

とても綺麗な発色で美しく描き上げられました!空間性もバッチリです!向かって左側の伸びの黒の色味が似ていることでやや動きが固く感じます。腰から脇までで向いている面の方向性が変化していくのでそれに合わせて色味を設定できると良いです。この位置の魅力は圧倒的な伸びの印象の力強さなのでそこまでしつこく追っていきたいです!

ターバンの細かなディテールまで追えていて作者の模刻に対しての意気込みが感じられます。印象もかなり似せてこれていて良いです!細部のエッジはもっとキツくあててあげても良いと思います。また頬周りの圧倒的な張りの緊張感ももう一歩ほしいです!

頬周りの張りの緊張感が出せていてグデアらしさがあります!ターバンに関してはもう一歩同じように張りと反りを捉えて緊張感が出せるとよかったです!

大きな塊感、光の印象、空間を高い精度で画面の中に作り出せています!体周りはもう一段階反りの形を表現したいです。反りがあるからこそ奴隷像には緊張感があるのだと思います。顔のパーツに関しても見上げがとても強くなってくるので普段の像よりもパーツの配置感などのアールが強くなってきます。そこも気をつけていきたいです!

短い時間ながら円盤らしい伸びと縮みを上手く出せています。出だしから中盤にかけてなかなかリズムが掴めてなさそうですが自分で考え堪えここまで持ってこれたことは本当に素晴らしいことです!!

続いて夜間部の作品になります。

自刻像の課題 出だしからかなり印象良く自然に制作できていました!最終的なフニッシュに関しても申し分ないです。最終的には良いですが目の陰の黒の色味についてはその作品の中で自然な黒の色味になっているのかを細心の注意ももって設定するようにしましょう!人物彫刻において目は非常に大事なポイントです。

こちらの作品もかなり自然に捉えられています!表情もとても自然で良いです!出だしにおいてやや大きな人体的なポイントを外すことがあるのでそこだけ注意しましょう!

この作品もバランスよく全体にしっかりと手が回っていて素晴らしいです!もう一段階細部、首周りの形をしつこく追っていけると良いと思います!

非常に丁寧に形を追っていけていて素晴らしいです!顔の表情も自然で良いです!今回は少し出だしでバランス感を外してしまったのでそこだけ気をつけたいです。

非常に高いレベルで印象を引き出していることに驚かれます。白の色味を美しいです!また制作のリズム感もしっかりと自分で作れていたので素晴らしいです!欲を言うともうワンパンチ白い印象を崩さないレベルで黒を入れられると印象が締まったかなと思います!

いつもなかなか終わりきれず気にしていましたが今回こうして完成に持ってこれて非常に良い経験になったのではないでしょうか。大事なことはゆっくり落ち着いて観察して、それをちゃんと画面の中に置いていくことです!今回のリズム感を大事にしてください!

6h制作ですがかなりレベルの高いものに出来ました。毎回しっかりと完成のビジョンを持って制作できていることが素晴らしいと思います!手前の腕の黒の色味がやや強すぎて全体のイメージにのっていないのと、大きな形の変化が緩やかな部分の説得力がもう一声ほしいいです!

こちらも6h制作ですが完成度が高いです!トルソに関してはもう少し大きな動きの連動感を感じ取って観察する意識を高めていきましょう!

最後に基礎科生の自刻像です。長い時間をかけましたが、この時期にここまで自然に作れていることは素晴らしいです。人体的な形の特徴や、細部周りの3次曲面の複雑な繋がり、髪の表現などたくさんのことを学べたと思います!この調子で頑張りましょう!

長くなりましたが以上になります!

 

 

 

 

彫刻科 近況

こんにちは。彫刻科の小川原です。新年度も、はや2ヶ月が過ぎようとしています。受験って結局夏が大事だとか、2学期が大事だとか、当然入直だ!だとか言いますが、結局1年通して全部重要ってことなんですよね。ただ時期ごとのふんわりとしたイメージってものはあって、1学期は基本的なことをとにかく当たり前のように出来るようになりたいし、夏期講習は荒削りながらも実戦的に作品を考えていきたいところがある。2学期はより作品について深く考えていくことに重きを置きたいし、冬季は本番に向けた準備期間。入直は仮想本番のように考えてじっくりシュミレーションを重ねたい。
どの期間がたるんでも僕はダメだと思います。日々目的と意欲を持って取り組むこと。これは大学生になっても同じなので、大学に入る前にそうした心構えを身につけておくことは大学生活を価値あるものにするためにもとても重要なことです。
ちょっと慣れてきちゃったな〜という人は今一度緊張感を取り戻して日々の制作に励んでほしいと思います。

それでは直近の預かり作品を紹介します。

昼間部生の作品


とても印象良く、完成度も上げてこれています。毎回このくらい実感を持って仕上げてこれればその先のレベルも早々に見えてくると思います。


この作品もジョルジョの印象が上手く引き出せています。形の厚みに関しても面展開を丁寧に捉えていくことで自然に表現できています。


やや描き出しの精彩を欠きましたが、最終的には納得できる出来まで持ってこれました。今行なっている仕事が本当に後半に生きてくるのか、しっかり考えながら進めましょう。


白を生かして完成にこぎつけたのはなかなか良いです。逆にまだこの表現に関して全体ではどうあるべきか、だったり第三者から見たときの見え方についてさらに考えを深めていけたら良いです。


バランスや構造が自然に捉えられていて良いです。特に目の印象に関してはさらに寄せていきたいところですが、これを直していくよりも、細部に入る直前のベースの作業の段階でさらに粘っておきたいです。


こちらの作品も動きや構造が自然に捉えられました。目尻がやや下がっているのでキリッとした印象が十分でないのが惜しいです。


落ち度のない仕上がりになっています。それだけで好感は持てますが、作品としては淡白なのでさらに魅力を高めていきたいです。


頭部のゴロッと感が良いですね。着衣に関してはやや輪郭線が目立ってリアリティを損ねているのと、目付近の印象はまだハマりきっていないので、さらに自分の作品の弱点を見極められるように客観的に見ていきたいところです。


夜間の時間に自主トレーニングとして鉛筆で制作しました。顔以外の仕事がやや簡単に終わっているので画面全体で魅力について考えていけるとなお良いです。

夜間部生の作品


背景付きで描きました。印象の良さもさることながら、どこを見ても(もちろん全体を見ても)こだわりが行き届いているのがすごいです。


現役生でここまでの作品が作れることに感心します。中盤まで関係性にガタ付きがありましたが、気づいてから急速に良い方向に持ってこれました。


こちらも優秀な作品です。作りが丁寧で、最終的に動きや構造もしっかり一致させてこれました。


タマビ対策として制作しました。2時間半という短い時間でしたがものすごい画面の展開力で一気に仕上げてきました。

クロッキーです。やり方に囚われず、自然体で像と対峙できていますね!素晴らしい感覚です!


全体にかっちりまとめられました。描写も無理がなく自然で良いです!


この位置は光の印象が判断しづらく、難しかったですがよくまとめられました。何より似せられていることがとても良いです!

留学生の作品


サイボーグをモチーフに、人の心について考えました。メカの作りがとても魅力があります!

以上です。着実に実力を上げてきていますね。だからこそより意識を高めて成長を加速させたいです!頑張りましょう!