カテゴリー別アーカイブ: 建築科

秋の立体!!!

こんにちは

建築科講師の半田です。

 

夏が過ぎて、受験の近さをやっと感じてきた顔つきと言動が、教室内の雰囲気を変えたように思います。

 

 

立体構成も段々それっぽくなってきました。

 

 

春過ぎには精神的な叱咤激励ばかりだった講評が、デザイン構成やディティールの収め方に

ついての講評になっていることに、ふと気が付きました。

 

きちんと成立している作品を見ると、時間内に完成させるという、試験における一番大きな課題をへの意識が伺えて、安心しました。

 

これはもちろん立体構成に限ったことではなく、どの課題にも当てはまることです。もはや勉強の試験にも同じことが言えますし、実際社会に出ても、期限内であることが大前提なことばかりです。

 

その感覚を一番養えるのが、やはり立体なのだと思います。

立体が成立しなければ、評価はくだされないことがほとんどですから、初めに思いついた案がどう変わろうと、それをポジティブに臨機応変に展開していく技術が身につくのだと思います。

 

なにより、生徒の楽しさが伝わってくるのがいいですね。

 

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少しずつ、頑張れ受験生!!

オスカー・ニーマイヤー

こんにちは。建築科講師の半田です。

私がまだ受験生だった頃、建築とは一体何なんだ、という怒りのようなものが胸の中にありました。 「記号的すぎる」「生っぽい」「かなしい」という、意味の分からない講評をされても、「そうか、失敗だったなあ」とすぐに納得できるものではありません。厳しい先生であったことは確かですが、なぜ自分の生み出したこの作品が建築空間として魅力的になりえないのか、疑問ばかりの日々でした。

 

時間が経ち、建築に明け暮れる日々を過ごしているうちに、不思議とそれらの講評が何を意味していたのか分かるようになりました。 建築は、すこしずつ理解を深めて行くものなのでしょう。すこし分かったと思えばまた分からない領域が現れて、完全にすべてを把握することなどできません。

ひとつには、建築と時代は切り離せない関係にあるからです。時代が更新されていく以上、建築の何たるかも更新されて行くのです。まるで生き物のように。

 

そもそも、理解するという意味の「分かる」という単語は、一体何を分けているのでしょうか。 これは哲学者の鷲田清一が投げかける疑問ですが、改めて考えてみると不思議な単語です。何を分かったのか。何をディバイドしたのか。 分別という言葉があります。物事が持つ意味やコンテクストを、自分の経験上のファイルにカテゴライズし(分けて)、しきりを作って(別にして)その現象を把握することです。「分別がある」というのは、物わかりの良い人を形容したりします。

物事のもつ由来や履歴や所在を、その意味区分で分けることによって、我々は物事を理解し、「分かった」と言うのではないでしょうか。

 

こう考えると、はっとします。 建築を考える上では、建築以外の分野に興味を持つことがとても重要です。社会や経済や文化や歴史やスポーツや食やアートやデザイン。人と環境。建築はそれらすべてと密接な関係にあります。それらに頸を突っ込まなければ生み出せないデザインがあります。

何とも分けることが出来ない建築なのですから、分かるわけはないのです。

 

しかしもちろん、冒頭で示唆したとおり、すこしずつ分かる領域というのは増えて行きます。 私はたくさんの先人達から、知恵をもらってきました。その一人、ブラジルの英雄建築家、曲線美の巨匠、オスカーニーマイヤーの展示が現在東京都現代美術館で行われています。

 

 

2 SA/NIEMEYER 67035987279://www.mot-art-museum.jp/exhibition/oscar-niemeyer.html

私は建築に思い悩んでいた受験生のときに、ニーマイヤーの作品を知りました。その哲学や理想を知って、その光の美しさを知って、建築物を周辺環境に同化させるのではなく、異物として挿入することによる調和の方法があることを知って、

そしてそれらが自分のどこかのファイルにすとんと分けられたとき、建築への理解がすこし深まった記憶があります。

 

受験生のみなさん、たくさん知って、たくさん考えて、たくさん挑戦してください。

新美の「雰囲気」

こんにちは学生課です。
今日は新美を紹介します。

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正面玄関。
エレベーターで各アトリエとつながっています。

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スロープを挟んでもう一つ入り口があります。
こちらは総合受付で、申込みなどの窓口です。

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エレベーターで2階にあがると学生課と基礎科のアトリエがあります。
各美術館のチラシや割引券、招待券もあったりするので気軽に来てください。

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自習室や学科の教室

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5階には画材店のtoolsがあります。
画材だけでなく、お菓子にも力を入れてくれています!

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新美の油絵科には大量の書籍があり
授業後は学生たちが日々研究をしています。

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デザイン、工芸、日本画アトリエ

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彫刻科の道具たち。

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ざっくりですが紹介してみました。
これからも新美の「雰囲気」を紹介していきます!
では。

グループ立体

こんにちは。建築科講師の半田です。

先週は初めての立体構成をグループ課題として行いました。

まずは簡単に道具のレクチャーをし、スチレンボードで立方体などをつくる練習をし、部材の勝ち負け、接着の方法、綺麗な切断方法を学びます。

その後チームに分かれ、各チームに1500円を渡し、立体を作ってもらいました.

今回のテーマは「霧」です。作品は後ほど写真を上げます。

立体構成01_201505010

 

立体構成は各美大の主要試験課題でしたが、最近はなくなる傾向にあり、「大学新入生は模型の施工がよろしくない」と方々で耳にします。

立体構成は、頭で考えるだけの空間構成とは次元が違います。3次元なのです。

立体構成という課題ははじめて、建築科志望の生徒が「構造」と「施工」に向き合うとっても身になる課題でした。造形力もこの課題で養います。

この入試課題がなくなってしまうことはとても残念でしかたがありません。建築がフォルムだけを気にする時代が終わったとはいえ、それでもやはり美しい形を自分で創造する経験は必要であると、新美建築科は思っております。ディティールへの感性もここで養うのですから、予備校では当然、立体構成をするべきだと考えている次第です。

立体構成の面白いところは、思い通りに行かないところにあると個人的には思います。

時間が足りなかったり、部材の計算を間違えたり、しなってしまったり、思っていたように成り立たなかったりしたとき、それらの事件を瞬時に捉え直し臨機応変に対応して行くことで、自分の頭のなかを超えたデザインが生まれ、ボキャブラリーが増えるのです。Serendipityという語がありますが、まさにそれで、手を動かさないと気づけないことがあることは、建築をしている人なら誰でも知っています。

しかしそれも、ある程度作れるようになってからでないと気づけないような楽しさであるとは思います。

ですからもちろん今回、生徒は悪戦苦闘しながら、はじめてらしい立体作品をつくりました。

施工や時間配分やデザインはまだひどいものですが、現象の抽出は悪くないと思います。

半年後にはきっちり表現できるように、鍛えていく所存でございます。

 

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ケンチクカのデッサン

 

こんにちは、建築科講師の櫻井です。

もうすぐ四月が終わります。この春から新しく入った生徒の皆さんも、少しずつ建築科のデッサンになじんできたように思います。
建築科のデッサンってなんだろう。
他科のデッサンと並べた時に少しちがってみえる建築科のデッサンについて、今日はお話したいと思います。

以前主任の半田先生がこのブログに書いていたのですが、デッサンは数学的だし、工学的なもの。理論はしっかりとあります。目で見てその通りに描くのももちろん大切なのですが、建築科のデッサン、こと芸大入試に関して言えば、実在しないものを描くことばかりです。だから他の科のデッサンと並べたときに、違って見えてくる。

目の前で静物デッサンのように組まれてはいない、自分の頭のなかで考えるモチーフを、スケール感や影の形を正確に描く。

これだけ聞くとすごくとっつきにくく思えるかもしれませんが、いろんなものは、立方体を一つ正確に描けるだけで描けちゃいます。立方体に一度おきかえてみれば、直方体だって円柱だって円錐だって描ける。その時の「置き換え」の思考回路にさえ慣れてしまえば、どんなものだって描けるようになります。
影も同じ。床に対して水平な一枚の板が床に落とす影のかたちさえわかれば、立方体の落とす影が描けるようになって、「置き換え」をすればどんな複雑な形でもおもしろいくらい! 影を追えるようになります。

いま、この春から入った生徒の皆さんは、この練習の真っ最中です。少しずつ慣れてきたので、いろんなカタチを出してもっとがんばってもらおうと思います。笑
それでは!