月別アーカイブ: 2015年8月

映像科:写真展のお知らせ

こんにちは、映像科講師の森田です。
世間がお盆休みになると朝の電車がちょっとだけ空くのが有り難い今日この頃ですが、いよいよ夏期講習も後半戦。このまま最後まで駆け抜けたいものです。

今回は現在開催中の写真展のお知らせです。去年新美映像科で一緒だった3人が下北沢のギャラリーで展示をしています。僕も今日行ってきたのですが、3人3様でなかなか見応えのある展示でした。週明けの17日までですがぜひ足を運んでみてください!

「写真ワークス」ギャラリーHANA
2015年8月12日(水)~17日(月) OPEN 11:00-19:00

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油絵具の色ついて(青色編)

こんにちは。油絵科の関口です。
前回はルネサンスの頃に油絵に使われていた「赤」について書きましたが、今日は「青」について書こうと思います。

現在使われている、コバルトブルー、セルリアンブルーなどのコバルトを原料としている青色顔料は19世紀の中頃から使われる様になりました。プルシャンブルーは18世紀から使われています。
名前は色んなものが付いていますが、サファイアブルーやコンポーズブルーなどのフタロシアニン系の混色でできる青も20世紀に入ってからの絵の具です。

 

ウルトラマリンブルー
この色は、昔はラピスラズリから採取されていました。ヨーロッパでは殆ど取れない鉱石でしたので、アフガニスタンや西アジアから「海(地中海)を越えて来た色」として伝えられ、それで「ウルトラマリン」という名前が付いたそうです。原石は綺麗な青い色をしていますが、実はかなり不純物が多く、石を砕いただけでは綺麗な青い顔料になりません。cristaux de lazurite sur calcite (Afghanistan)
ラピスラズリの鉱石

チェンニーニの「絵画論」の中で紹介されている精製法を簡単に説明すると、粉砕したラピスラズリを油や樹脂で練ってパテを作り、薄めた灰汁の中で揉むと青い顔料だけ抽出されるそうです。ヨーロッパでは輸入に頼るしかなく、精製法が複雑な為、高価な色として知られ、17世紀では何と金よりも高価だったそうです。
先日の芸大説明会で技法材料研究室を訪れた時、奥の方にラピスラズリの鉱石と青い色の塗布サンプルが置かれていたので、気になって助手の人に尋ねると、やはりチェンニーニの技法で天然のウルトラマリンを作ったそうです。

その昔、この青をふんだんに使えたのは、人気と実力のある画家だけでした。初期ルネサンスを代表する巨匠、ジオットは壁画に惜しみなくラピスラズリを使いました。
PadovaScrovegni1305
パドヴァにあるスクロヴェーニ礼拝堂、ジオットによるフレスコ画 (1305年頃)

真珠の首飾りの少女1655
17世紀の画家、フェルメールの「真珠の首飾りの少女」(1655年頃) のターバンのところに使われている青もラピスラズリです。

ちなみに現在使われているウルトラマリンは人工のもので、化学組成は殆ど天然のものと同じです。人工のウルトラマリンの方が不純物がない分、色が鮮やか。粒子が細かく、均一で絵の具にしやすい。化学反応で作れるので安価です。僕のオススメはマツダスーパーのフレンチウルトラマリン。通常のウルトラマリンよりもちょっと高いですが、発色の良さは国内外にある他のどのメーカーと比較しても群を抜いており、本当に絶品です。

 

よくウルトラマリンブルーを和名で「群青」と表現する事がありますが、ラピスラズリの和名は「青金石」とか「瑠璃」と表現します。
日本画で使われている「岩群青」という色はアズライト(藍銅鉱:らんどうこう)と言われる鉱石を砕いたもので別の色です。昔は日本にも豊富なアズライトの鉱床がありましたが、今では取り尽くしてしまったため、現在では輸入に頼るしかなく、かなり高価という事です。
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海外で採取されたアズライトの鉱石

 

ここのところず?っと暑い日が続いていましたので、青い色で少しでも爽やかな気分を味わってもらえたなら幸いです。夏バテしないように、しっかりご飯を食べて、元気に暑い夏を乗り切りましょう!

彫刻科 夏期講習中期!!

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こんにちは!彫刻科講師の稲田です。夏真っ盛りで暑い日が続いていますね。彫刻科の夏期講習も毎日、緊張感を持って課題に取り組むみんなの姿勢が熱くていいですね!
内部生も講習会に参加している外部生のみんなもお互いに良い刺激になっていると見ていて感じます。
まだまだ、夏は長いです。最後まで全力で楽しみながら課題に取り組みましょう。

では、さっそく夏期講習の課題から今回も作品を紹介していきましょう!!

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ミロのヴィーナスの大きさと量感が良く捉えられています。ここから1つ1つの形にもっとリアリティが備わって行くとぐっと魅力が増すと感じます。

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首像としてモデルさんの印象を大切にしながら丁寧に作り上げた作品だと思います。少し離れて見ると人間性を醸し出す緊張感のある作品になりました。この作者は時々、作品がかたくなることがありますが、かたさが良い方向に出た作品になりました。
ここからは、僕が実際に浪人時代制作した模刻を少し見ていきたいと思います。
みんなの塑造の模刻を見ていて感じるのがスピードとパワー不足です。限られた時間の中で作り上げていくには、どんどん量をつけて粘土をコントロールする力が不可欠です。全体から部分、部分から全体と絶え間なく切り替えて進めていく事に慣れていってほしいです。下の塑造は、あばたのヴィーナス、シーザーの模刻です。制作時間は6時間です。

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自分で今振り返ってみると足りない部分も見えてきますが、模刻をする際の密度は最低でもこのくらいしっかりと作れるようになっていきましょう。
みんなにも本物よりも本物らしい模刻をつくり出せる力を付けさせる事を目標に指導しています!!どんな条件下でも怯まず作り上げる力を身につけるように一緒に頑張って行きましょう!!

今回はこの辺で。次回のブログ更新は講習会も佳境です!みんなの力を発揮した作品を紹介出来るように期待しています。

夏スペシャル!!

デザイン科総合コースの滝口です。

夏期講習Ⅱ期、Ⅲ期に入り、講習会も8時間講習で、朝9時から6時までとハードな日程になってきました。
夏期講習会では、毎年夏のスペシャル授業と称して、デザイン科でも現役芸大生のデモンストレーションや、特別レクチャー等を行っています。
芸大デザイン科コースでは、Ⅱ期に平面構成、Ⅲ期に立体構成のレクチャーとデモンストレーションを行いました。

Ⅱ期の平面構成レクチャーでは、7月に制作し現在新美チャンネルにもアップされている芸大系平面の作品を制作した芸大2年生の村上先生に、プロセス撮影してある映像を見ながらの解説をして行きました。
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↑撮影画像が悪くてすみません。僕の携帯カメラが故障気味で・・・

作品はモチーフと◯△◇がテーマという内容で、基本的なモチーフ描写や表現技法が中心になっています。
新美チャンネルはこちら。
https://www.youtube.com/watch?v=tS6GvVC471M

新美チャンネルでは伝えきれない、より具体的な描写や表現の仕方を解説しているので、フィニッシュまでの細かい内容まで突っ込んで話す事が出来ました。特に描写のテクニック等は、なかなかデモンストレーションで伝え難い部分。早送り再生で、しっかりと最後までの細かいポイントも解説出来たのは凄く良い機会だったと思います。
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その後、その日の同じ課題でデモンストレーション。手と想定の「本」というちょっと一風変わった課題でしたが、村上先生らしい表現の魅力や、見ないでも美しい花の線を描く事が出来る描写力はさすがです。
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Ⅲ期では、立体のレクチャーを三上先生に解説してもらいました。
テーマは「デザインとは?」
立体での発想やアイデアを形にして行く過程や重要なポイント等、分かりやすく図式化してもらいました。
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また、初心者には、粘土や紙の基礎となる道具の使い方やちょっとした作り方のコツ等を実演。初めてで色々と分からない事も立体では多いですが、この基礎の作り方を知るだけで、随分と立体の楽しさが分かったりもします。
普段は私大コースで立体を全く作った事のない学生も、今日初めて作ってみましたが、上位作品に選ばれていて、デザインの考え方がしっかりとして行ければ、経験数が少なくても全然大丈夫なんですよね。
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デモンストレーターには、芸大の3年生の倉持先生に作ってもらいました。課題は、紙と粘土で「火水風土」から2種類選択して。
倉持先生の粘土のちょっとしたテクニックは神業もの。シンプルな作り込みも凄く上手く見せる事が出来て、引き込まれて行くような精度があります。粘土で作ったライターの描写は、シンプルだけど色んなテクニックが使われているんですよ。
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実際に間近で作品の作り方を見れるのは、大事な体験です。
夏もまだ中盤戦!!
夏は本当に伸びて行く時期。普段の授業より大人数で色々な作品に触れて行きながら、どんどんスキルアップをしていきましょう!!

基礎科 夏の講習会上半期ダイジェスト!!

新美基礎科の夏期講習、ちょうど半ばもすぎました。
続々と夏の成果があがってきています。
今回は皆さんの頑張っている授業の様子、傑作の一部(上半期)をご紹介します!

【デッサンコース】

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【油絵コース】

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【彫刻コース】

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【日本画コース】

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【デザイン・工芸コース】

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まだまだ、下半期へつづきます!