彫刻科の氷室です。いよいよ師走に突入!あとは、冬期講習と直前講習を残すのみとなりました。
最近首像を作る課題がありました。
人体それ自体が自然の産物であり、そこに動き呼吸をし見えている量と輪郭。それをどの様に探しに行くのか。
簡単には答えが見つからず、じっくり形を観察し自分の頭を通して手に伝える。時間をかけることが許されている彫刻という分野。瞬発力が要求される受験。その中で皆さんはどの様に受け止め、目の前の課題に取り組んでいるのでしょうか。
ロダンはー 彫刻では、面の肝腎な線を求めながら肉付けをして行く。一つの体の中にある箇所に抑揚をつけて他を顧みないようではいけません。おのおのが比例を保ちながら存在しています。つねに全体と関連して強めていくべきものです。その度合い、律度は各芸術家によって違います。それに依って彫刻家の気質が翻訳されるのです。
言語も、どの様な日本語に訳するかで、雰囲気が変わってきますからね。どの様に皆さんが、観察したものを翻訳していくのか。もちろんある程度のルールがあってこそですが、最後は自分の決断です!
最後は、自信が必要です。それには、どれだけ自分の目で観察し、目の前の自分に向き合ったか。その事実が背中を押してくれると思います。やはり苦手で克服したい箇所は誰にでもあります!まだ時間はあるので、最後の1日までしっかり向き合っていきたいですね。
さてさて、前置きが長くなってしまいましたが、最近の作品を紹介します。
塑像板上で与えられた空間の中へ、両手の構造を使った流れを意識し、綺麗に表現できています。作り込みもある程度のレベルまで持って来れているので、離れて見ても、近くで見ても魅力が感じられます。
こちらは自主的にモチーフを選び、時間を見つけて描いた1枚です。空間を簡単に出すために、ついつい逃げやすい細部や奥の形へ突っ込みながら、かつ手前も描き空間を感じさせる、そんな、こちらも近目と遠目に絶えうる作品になりました。なにより描く楽しさが伝わってくる1枚です。
まづは、モチーフの持っている印象を大切に!それが大事なんだと言うことを感じる1枚です。ジョセフの頭部のズーンと迫ってくる迫力や表情の、にまっと笑っているかの様な印象が上手く表現出来ています。
自刻像課題です。単体では良く出来ている作品をも追い越し、並んでみると、不思議と生命感が見えてくる魅力的な作品です。本人の持っている、人体への素描力が粘土へ伝わっています!何においても、素描力は物を言いますね!大切に自信をもっていきたいです。
余談ですが、塑像で使う水粘土は、原型から、ブロンズや石膏、焼き物、ポリなどに置き換えないと存在が持続させられない素材です。残念ながら受験においてが前提である予備校では、課題として作り上げられた作品達は、解体される事が常です。
こんなに大作で、しかも時間と体力と頭脳を駆使し作り上げられたものが壊されて行くことが、寂しくもあり、それは私が歳を経て来たからなのか…。以外にも軽快に?現実を受け止め、解体していく生徒たち。そこには未来があるからこそのエネルギーを感じました!!
そんなこんなで冬期講習も、まずは描くことが楽しい! 作ることが楽しい!と思えるそんなアトリエの空間を作っていきたいすね! 体調にはくれぐれも気をつけて、頑張っていきましょう!!
次回は小川原主任にバトンタッチです。