月別アーカイブ: 2015年10月

芸大建築対策 【相貫体訓練 ? 総合表現】

こんにちは、建築科の半田です。

 

先日、新宿美術学院建築科では、芸大対策として相貫体の特訓をしました。

じつは幾何形体同士の貫入は、練習すればどんな角度の貫入でも描けるようになるのです。。。角度を振った立体を描くためにパースの軸をずらしていく技術に似ているのですが、これらの力に必要なのはデッサン力ではなく、単純な作図能力です。そう、みなさんの嫌いな算数です。

つまり、、お勉強的アプローチがモノを言う技術です。

一日特訓するだけで全てを理解する人もいるくらい、すぐにでも身につきやすい。デッサンに自信のない人は、まず!形とパースとスケールを完璧にしましょう!!!!!

 

さて、相貫体に関しましては、一般的に知られる相貫体を眺めているだけではこの力は養われません。どうなるのか分からずたくさん考えてみて、自分の解答を出し、正解を知ってやっと身につくものです。

 

そこで、今回は6つの異なる立体を与え、そこから3つの立体を選び出す組み合わせ総数(X=

6C3)をそれぞれ貫入させることによって解答させるという問題を出しました。

 

難しく言いましたが、実はただただ各組み合わせを書き出していけば良い問題です。

正解は20通りです。指定はしませんでしたが、B3用紙にどのようにこの20個を配置するのかという美的感覚を、同時に観察していました。

 

生徒作品をいくつか紹介します。

 

 

 

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補助線の具合が、貫入を分かりやすく伝えていて好印象。しかしスケッチとは言え、球と円柱はもっとしっかり描いて欲しいですね。

DSCN9679

 

こちらもだいぶ形が(特に球と円柱が)取れていませんが、、、シングルラインとメッシュ部分が画面に対して美しく仕上がっていました。

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画像が切れてしまって申し訳ありませんが、こちらは配置がきれいになされています。

 

 

近年、芸大建築科の入試は貫入と切断の嵐です。

今回は微妙に角度を振ったような貫入が見られなくて残念だったのですが、どんな貫入でもかけるようになる必要があります。

 

なぜなら入試当日、どんなに難しい問題が出ようとも、「似たようなことを考えたことがある」経験が応用力の糧になるからです。今回作成した20個の立体の中にも、それぞれ似たような立体がありました。ひとつ目よりはふたつ目のほうがみんなよく描けています。入試はその延長です。

 

 

さて、この問題は続きがありまして、総合表現へ引き継がれます。

今度は、機能に合わせて造形するのではなく、造形に合わせて機能を読み解く訓練です。

受験生の初心者は無から有をつくりだそうとする傾向が強い印象があります。

しかしデザインやアートの世界にはこんなキーワードもあるのです。

「転用」「分解再構築」「レディメイド」

今ある物体に別の意味付けも出来なければ、良い空間は生まれません。

空間とは、物体と物体の間にある、物体の無い部分だからです。

 

映像科:おすすめの本/多木浩二『生きられた家』

こんにちは、映像科講師の森田です。
冒頭から非常に個人的な話で恐縮ですが、近々自宅の引っ越しを予定しています。数年とはいえ自分が住んだ場所を離れるのは、やはり感慨深いものがありますね。

日頃時間があるとふらっと本屋行くことが多いですが、そんな個人的な理由もあって、最近はついつい「家」や「住宅」についてのコーナーに吸い寄せられて、気になった本を手に取ってしまいます。その中で「おや」と発見したのは、平凡社の「くうねるところにすむところ」シリーズから出ていた奥山明日香さんという人の『「生きられた家」をつむぐ』という本でした。2013年に出版されていたこの本は、多木浩二さんという人の『生きられた家 経験と象徴』の文章が下敷きになっています。

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多木浩二さんは数年前に亡くなられましたが、美術、写真、建築…など非常に幅広い対象について評論をした人です。森山大道という人や、やはり最近亡くなられた中平卓馬という人たちと60年代後半に伝説的な写真雑誌『プロヴォーク』を出版した…と言えば、写真に興味を持っている人にはわかるかもしれません。そうした幅広い活動の中にあって、この『生きられた家』という本は、ベースには建築を対象とした批評がありますが、文章も比較的柔らかく、多木さん自身の幼い頃のエピソードなども書かれていて、評論文というよりはエッセイという感じです。
一方奥山さんの本の方は、多木さんのテキストを引用しながら、自宅の写真や文章が加えられていて、こちらもなかなか素敵な本でした。

ちなみに『生きられた家』という本は、1976年に出た本ですが、たびたび版を重ねています。岩波現代文庫版ならば手に入りやすいと思います、と書いた流れで調べてみたら(amazon)そうでもないみたいですね…。でも図書館などには置いてあると思うので、ぜひ手に取ってみてください。先ほど評論文というよりはエッセイ、と書きましたが、むしろこういう柔らかい文章、自由な書き方も評論にはあるんだなということを知ったという意味で、個人的にもとても好きな本です。
個人的にとても好きなので映像科の小論文の授業でも紹介したこともありますし、数年前には武蔵美の学科試験にも使われていて(確認したら2014年度入試のB日程でした)、ちょっと嬉しく思ったりもしました。まぁ、受験生にとってはなかなか手強い文章なので嬉しくはないと思いますが…。

いずれにしても、エッセイでも、評論でも、ぐっとくる文章を読むと思わずヴィジュアルつまり映像、そして物語が頭に浮かぶことがありますね。そういう感覚って映像科の実技課題ではもちろん必要ですが、何かを作る人にとってとても大切なことだと思います。
最後に『生きられた家』の一節を引用してみます。あなたならばこのテキストからどんな映像が浮かびますか?

+

「人が立ち去ったばかりの部屋に入ると、この活動の残したエネルギーが頬をうつ。空洞化した部屋の壁や床や天井には無数の痕跡が見出される。壁や柱の上の落書き、原因がそれとわかるようなしみ、わからぬ汚れ、残していったカレンダー、はがされたピンナップのそこだけが妙に白い痕などが、謎めいたことばを語りはじめる。空虚なはずの家がことばで充満し、叫び声を押し殺しているように見える。(略)痕跡を眼にしたとき、われわれはすばやくこれを読みはじめているのである。」

バルールについて

こんにちは。油絵科の関口です。
さて、皆さんはバルールという言葉の意味を理解しているでしょうか?
え?バルールなんて聞いた事もない?油絵科では既に死語になりつつある言葉なんでしょうかね…。僕も年に1?2回言う程度ですからね。でも絵を描く上でとても大切な概念なんですよ。

バルールという言葉を調べると、必ず「色価(しきか)」という言葉が書かれていますが、日本語に訳されたこの言葉を見て「なるほど、意味が分かった!」という人は殆どいないのでは無いでしょうか?この文字を初めて見た人の多くは「色価?何それ?」となる事は間違いありません。誰が最初に訳したのか分かりませんが、もう少し分かりやすい(伝わりやすい)言葉は無かったのでしょうか?と考えてしまいます。

この言葉を理解する上で、よく例に出されるのは、ボナールの作品です。ボナールの絵を白黒画像に変換すると、まるでデッサンのようにちゃんと明度が合っていて、空間的にも全く違和感を感じません。bonnard1at-sea-1924

あと、マティスの「緑の筋のある婦人」もバルールの話になるとよく出てきますね。自分にとっては、もう見慣れてしまってよく分からなくなってしまいましたが、初めて見た人は顔の真ん中にある緑色の筋が気になるようです。

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要するに、バルールとは、色彩(有彩色)を明度で置き換えた価(=値・あたい)が、画面上で相対的に正しく表現されており、それが画面の空間に正しく収まっているのか?を問う言葉として、一般的に使われているようです。

 

ちなみに英語で明度の事をvalueという事があります。
実際にアクリル絵の具・リキテックスのラベルには、その色のVALUEの数字が割り振られています。例えばチタニウムホワイト(一番明るい色)にはVALUE:9.6という数字が、マースブラック(一番暗い色)にはVALUE:1.5という数字が書き込まれています。?Ê?^ 4

全ての色に数字が割り振られているので、色を選ぶ時にどちらが明るくて、どちらが暗いかを数字で判断できます。(リキテックスでは数字が大きい程明るい)

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上の絵具をパレット上に出したもの。左側が明るいのが分かりますね。

なので、リキテックスに関してはこの数値を気にして色を混ぜていけば、理論上正確な明度で絵が描ける事になりますね。例えば、同じ数字同士の色を混ぜれば、同明度で色相を変えたり、彩度を落とす事が可能です。リキテックスを使っている人は試してみてはいかがでしょうか。
リキテックスのVALUEは数値化されているので、音楽でいう絶対音感みたいな感覚なのかもしれませんね。

 

さて、もう一度バルールの話に戻します。
何故日本ではバルールという言葉を「明度」と訳さなかったのでしょう?
確かにバルールは狭義では、明度と空間的な位置関係の事を指します。では明度が合っていて、彩度や色相が合っていない場合はどうでしょう?

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パソコン上で彩度や色相を変えてみると、分かりやすいですね。明らかに色が飛んでいたり、鑑賞者に変な印象や違和感を与えてしまいます。これではバルールが合っているとは言えません。

つまり、バルールとは色の三要素である「明度、彩度、色相」と絵画上の空間の関係が正しく表されているか?を指す用語なのです。 え?やっぱり分かりにくい?・・・これ以上簡単に説明できなくて、申し訳ありません。

では、仮に画面上で色が飛んでいたとしても、他の方法でその色を空間的に収める事が出来たとしたら、バルールは合っている、という事にならないでしょうか?
・・・こんな事を考えていくと、まだまだバルールという言葉を死語にしてしまう訳にはいかないですね。

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最後に宣伝です。10月19日(月)?29日(木)に銀座のギャラリー和田で、個展を開催致します。
お時間のある方は是非見に来て下さい。

日本画科 せっかくの秋なので

こんにちは、日本画の佐々木です。

日本画科は前回の大作に引き続き、今週は葛西臨海公園に校外スケッチ授業に飛び出しました!

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海です!
この日は台風の直前で天気にも恵まれ、絶好の校外授業日和でした。
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私も久しぶりに海に行きましたが、浪人中は夏休みも冬休みもアトリエで絵を描いているので、たまに外に出るといろいろな物が新鮮ですよね。
みんな思い思いの物を観察していました。

せっかくなので、お昼はみんなでバーベキュー!
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火がつかないというハプニングがあったり…
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生徒よりはしゃぐ主任と講師…IMG_6151
いつも頑張っているみんな、たくさん食べて栄養つけてくださいな。
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終わる頃にはみんなお疲れで目が遠くを見ていましたが、ちょっとリフレッシュできた1日だったのではないでしょうか?
これからいよいよ受験シーズン。いっぱい充電して、がんばろう!

こんにちは。通信教育です。

昨日10月ターム課題発送致しました。
お手元に届くまで、いましばらくお待ち下さい。

いよいよ今月は全国公開実力コンクールがありますね。
受験生の方は今の時点での実力を試すのにいい機会です。是非挑戦してみましょう。

2015.10.2.2

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9月タームの作品おまちしております。

通信教育2学期生募集中です。