ena美術ギャラリー
ena Bijyutsu Gallery
ホワイトウォータース・フォー・ティーンズ・ラーニング・アート
White Waters for Teens Learning Art
"In the kitchen, window"
START:2024 11.23/sat
FINISH:2024 12.23/sun
10:00~19:00/mon-sat
10:00~16:30/sun
「White Waters for Teens Learning Art」に寄せて
展覧会というものの不思議なところの一つは、それを見る人がいなくても成り立つところです。もう一つは、たとえ展示物がなかったとしても展覧会を行えるということです。これがもし映画の公開であれば、封切りをした映画館にお客さんが一人もいないとなると、関係者はみんな困ってしまいます。わざわざ公開をした意味がないと言われても仕方ありません。たまたま入った映画館で、スクリーンにずっとなにも映らなければ、お客さんはチケット代をかえせと言って怒るでしょう。
これまでに観客が一人もいない展覧会や、展示物が一つもない展覧会は、実際にいろいろな形のものがありました。意図的なものもあれば、偶然そうなってしまったものもあると思います。成功したものもあれば失敗したものもあるでしょう。(偶然そうなってしまったのに、成功したと言える展覧会を思い浮かべるのはおもしろいですね) いや、それは「観客」「展示物」「展覧会」の定義次第じゃないか、具体例とその意図を挙げないと何も分からない、と思われる方もいるかもしれません。しかしここではまず思い浮かべてみてください。たとえば「観客が一人もいない」なおかつ「展示物が一つもない」展覧会を想像しようとすると、途端に難しくなります。
誤解のないように付け加えると、今回のWhite Watersの展覧会には展示物があり、観客もきっと、一人以上はいることを期待しています。ではなぜこのようなことを書くかというと、この展示はena美術ギャラリーという、美大受験のための予備校に付設のギャラリーで行われるからです。教育は言うまでもなく相手がいて初めて成り立つものであり、そもそも教える内容がないといけません。ここにはとても難しい問題があります。なぜなら、美術作品というのは自分自身も含めて誰かのためや、何か特定の目的のためにつくられるものではないからです。
これまでWhite Watersの展覧会は、それぞれに鍵となるようなセンテンスにもとづいて行われてきました。そのセンテンスは、誰かしら実在する人物による発言からの引用であることが多く、展示の広報資料のなかに載せたり、展覧会や作品のタイトルになることもありました。しかしそれは、展覧会や作品の内容をあらわすコンセプトに対応するものというより、それらが生みだされるトリガーや動機づけに近いものです。
今回の展覧会は、ある政治家の発言を改変した文章にもとづいて行われます。展覧会というものの不思議なところを最後にもう一つだけ挙げると、それ自体が現実と切り離された完結した世界、つまりフィクションであるかのように仕立てやすいということです。しかしWhite Watersの展覧会を見るときには、フィクションの観客になることはできません。この点はもしかすると、今回の展覧会が同時に教育であるための命綱になります。
「今日だけは、口に出して言わねばならない。アーティストやギャラリストというものは、最後は、51%は公にほうずるべきだ。私情は49%にとどめておくべきではないか。自分のためにだけ、あらゆることをして恥じることのない者は、断固として許されない。」
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White Waters [玉山拓郎、C2D]
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玉山拓郎と C2D(シー・ツー・ディー)によるユニット。
社会的・言語的な二分法のあいだや透き間に入り込み、その両側に浸潤していくコンセプチュアル・サポートとして活動する。近年の主な展覧ほどの金はないが、腐る金ならあるだろ(cream)」LEESAYA(2024/東京)、「M・THERESIA・D・G・R・IMP・HU・BO・REG・ARCHID・AVST・DUX・BURG・ CO・TYR・1780・X」CADAN有楽町(2022/東京)、「I ALONE CAN FIX IT」ANOMALY(2021/東京)などがある。
玉山拓郎は1990年岐阜県生まれ。2013年愛知県立芸術大学美術学部油画専攻卒業。2015年東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻油画研究分野修了。近年の主な展覧会に「Art Collaboration Kyoto Special Program "Ladder Project" Powered by Daimaru Matsuzakaya」Bijuu (2023/京都)、「NACT View 01」国立新美術館 (2022/東京)、「Static Lights : Unfamiliar Presences」Sony Park Mini (2022/東京)、「Anything will slip off / If cut diagonally」ANOMALY (2021/東京)、「高井戶芸術祭2023 ~Yes in my backyard~」高井戶駅周辺5会場 (2023/東京)、「六本木クロッシング2022」森美術館 (2022/東京)などがある。
C2Dは1981年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒業。現代美術ギャラリー勤務などを経て、2011年よりギャラリーディレクターとして展覧会の企画、キュレーションを手がける。多数の現代美術作家との会話や共同作業を重ねるなかで、作家や作品などの固有名を表象・代理することについての考察をもとに作品制作を行っている。
展覧会 協力クレジット
協力:ANOMALY、KAYOKOYUKI、無人島プロダクション、Satoko Oe Contemporary、TALION GALLERY
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White Waters [玉山拓郎、C2D]
Floor Soiler / 2021 / カーペットにシルクスクリーン / 50×50cm
「M・THERESIA・D・G・R・IMP・HU・BO・REG・ARCHID・A VST・DUX・BURG・CO・TYR・ 1780・X」CADAN有楽町での展示風景(2022/東京) -
White Waters [玉山拓郎、C2D]
「I ALONE CAN FIX IT」ANOMALYでの展示風景(2021/東京) -
White Waters [玉山拓郎、C2D]
The Door (Washington) [部分] / 2021 / インクジェットプリントにシルクスクリーン / 200×100cm -
wWhite Waters [玉山拓郎、C2D]
「I ALONE CAN FIX IT」ANOMALY でのパフォーマンス風景(2021/東京) -
White Waters [玉山拓郎、C2D]
Earl of Sandwich / 2022 / 2チャンネルビデオ(60fps)、ライブストリーミング、NFT / サイズ可変
「M・THERESIA・D・G・R・IMP・HU・BO・REG・ARCHID・A VST・DUX・BURG・CO・TYR・ 1780・X」CADAN有楽町での展示風景(2022/東京) -
White Waters [玉山拓郎、C2D]
「腐るほどの金はないが、腐る金ならあるだろう(cream)」LEESAYAでの展示風景(2024/東京) -
White Waters [玉山拓郎、C2D]
よき隣人のためのアフォガード [部分] / 2024 / アイスクリーム、コーヒー、他人の支払い / サイズ可変
「腐るほどの金はないが、腐る金ならあるだろう(cream)」LEESAYAでの展示風景(2024/東京)
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ホワイトウォータース・フォー・ティーンズ・ラーニング・アート
White Waters for Teens Learning Art
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