日別アーカイブ: 2020年4月19日

彫刻科 延期期間課題 講評

こんにちは。彫刻科の小川原です。新学期開始が延期になり、その間彫刻科では自宅課題を課し、日々制作に取り組んでもらっています。年間の授業数は変わらないように今後スケジュールが組まれていく予定ですが、むしろこの延期期間の間に少しでも実力を高めておくことでより1年間の学びが有意義なものになるよう期待しています。

彫刻科は生徒が提出した作品画像をweb上にアップロードし(本学生しか見れません)、講師全員が講評をしていくと言う形をとっています。学生の作品は個人フォルダに整理されていて、自分以外の学生の作品と講評も見ることができます。また制作に関しての質問もできます。さながら実際の講評に近い緊張感があ理、皆完成度の高い作品を提出してくれています。

と言うわけで、これまでに提出された作品の一部を、講師の講評とともに紹介します。


魅力ありますね。対象を描きたい衝動や、こう描きたい!との意思が心地よく感じられ、上手いクロッキーだなと思います。鼻の下面や向こう側がもう少し何かヒントがあり、感じられると最高です!氷室

サムネイル画像を見た瞬間から惹き付けられるものがありました。今までの作品は終わりのイメージがもう一歩で、「外さない事」に重心をかけすぎて作品としての魅力を前面に出すところまでなかなか行けなかったですが、この作品はクロッキーとはいえ作品性は6hのデッサンより高いです。光の魅力。表情の魅力。額に入れておきたい1枚です。(欲を言うと僕は首の付け根や鎖骨周りがもう少しとっかかりが欲しいくらいですかね)小川原

新妻です。一発めの投稿で良いテンションを感じるクロッキーが上がって嬉しいね。
クロッキーを課題として足した目的は3つあって
①デッサン課題がじっくり仕上げる系なので瞬発力を落とさないため
②自分の中での引き出しを増やしたり、色んな捉え方や表現にチャレンジするため
③自分の生活に近いものを描くことで、感受性と技術の回路を繋げるため
③に関しては、特に家族を描いたりすると深く考えなくても自然とそういうことが感じられて良いと思います。思い入れのある人物やものを捉えてる感性に技術が乗っかってくる感じね。クロッキーに関しては今回のこの感じを基準として、この機会を利用して、色んな時間設定、色んな画材、色んな表現を模索してみるとさらに絵を描くことが楽しくなりそうだね。

とても良いクロッキーだと思います!自然な光と空間を表現できていて、とても魅力的な画面を発生させられていると思います。欲を言えば頬骨から後頭部にかけて見えてくる影のラインがもう少しあっても良いのかなと思いますがそれは欲張りすぎかもしれません。普段のデッサンなどを見ていないのでわからない部分もありますが石膏デッサンなどにもこういう魅力を感じて無理なく画面を起こせるととても良いと思います。この感覚を大事にしていきましょう!齋藤


流石にうまいですね。特に靴底付近の緊張感が出てて良いですね。もう少しだけ光のハイライトを上を向いている面に対して足してあげると靴の側面との形の差が見えてきやすいかなと思います。新妻

レベルの高い作品です!形は完全に正確だと思います。完成度も良いです。やりきりが強い魅力となっています。新妻先生と似たコメントになりますが、この視点ではつま先の面と上面側面の3面がぶつかり合う状態が構造的形態感の特徴だと思います。もっとこの3面のぶつかりを表現してやる事で、本当に立体的にそこにあるように描けると思います。あと、質感の差はさらに目指して行けると良いです。特にソール部分(ゴム質)なんかは鉛筆を寝かして潰していくように調子を詰めていくと他と差が出て、かつゴムっぽさも出ると思います。あと、床面の表現はやや消極的です。水平方向の仕事でフェイドアウトしていけば良いですが、奥は弱めに、沢山、手前は少し強めに少しタッチを残して、奥はティッシュなどでこすってぼかして、手前は手で軽くこすって、そのあと練りゴムでさらうように水平に調整を入れて、など、「床がそこに在る」と言うこともモチーフを描くことと同じレベルで考えていきましょう!小川原

いい素描だと思います!靴紐の遊びがいいですね。その分床を靴紐との空間感で魅せるくらい頑張ってほしいです!齋藤

上手ですね。
手前のソールの少し浮いている感覚とか、ゾクッとします。
紐の崩し方とか、構成も申し分ない技量とセンスを感じます。
個人的には、手前の紐を境に、手前と奥で絵の質感をテクニック的に、変えすぎかなとも思いました。上手なのでそこまで質を離さずとも、靴ぐらいの奥行きと、この描写力であれば、もう少し奥側を描いても空間は損なわれなかったと思います!
氷室


クロッキーだけど結構手がかかってますね。基本的にはよく描けてると思います。これを描いた時の天気は曇りだったのかな?野外の風景を描く時、その時の天気や、光の強さも表現できると臨場感がグッと出てきそうですね。新妻

窓から見た風景でしょうか。情景がスッと入ってきます。傾いたアンテナが最高に魅力的です。前の作品でも触れましたが、原田さんはクロッキーを形をとる練習としてではなく、「絵画」として捉え始めています。とても良いですね。延期期間が終わっても日々取り組んで欲しいです!石膏デッサンや模刻では自分の内面と向き合う事がなかなか難しいですが、こういったクロッキーやドローイングでは画面を通して自己と向き合うきっかけにもなりますね。それは作家性が磨かれると言う事でもあるのです!小川原

なんか街の湿度が感じられていいですね齋藤

いい絵です!
これも原田のいつか出版する日が来るかもしれない画集に加えてもいいてすね♪
何故良いか、それは構図だと思います。
道がやや左端下から、画面の正中線へ向けて伸びていく構成が、右側のボリュームと左側のボリュームを変格して、視覚的に伝えているので、そのアンバランスなバランスが、このクロッキーをさらに良く見せていると思います!
視点の効果づくり、タブローや写真を撮る人は良く考えいるのだと思います。
それを体感で取り込めるのが、彫刻家の素晴らしい所です!
氷室


OH!グッドです!これはすごいデッサンですね!やや中指の先端が大きい感じがしますが、そんなのどうでもいいくらいの完成度の魅力があります!ここまでやってくると圧倒されて何も言えないです!何やってもこのレベルの満足度を目指してください!美術に限界はないので、予備校生(受験)だからと言って受かるための評価に引っ張られなくて良いです。それを軽く超えていきましょう!小川原

凄い上手で、思わず見入ってしまいます!
質感や弾力まで感じさせてもらえる素描です。
しいて言えば、手首が薄いかな?
と言うくらいです!
もう受験しても、何の問題もないレベルです!
あとは、彫刻についてとか、作家についてとか、今の内に興味の幅を広げておけたらいいですよね!
氷室

とても良いと思います。今は描いているときに完全に一人だけの環境で判断をするのも自分一人という状況で、それがとても良い意味でやりきりのリミットを外させているのかなとも思います。また新美で課題を制作していくときも鹿田さんのこのやりきりの感覚に自信を持ってやっていって欲しいです!新妻

スッキリしながらも情報量が豊富でいい素描だと思います!いい感じ!齋藤


木炭に比べて鉛筆デッサンは淡白な表現にまとまりがちですが、触覚的な印象が感じられて結構好きなデッサンです。むしろこんな感じで自刻像もできたらいいんじゃないと言うくらいです。塑像の時よりも落ち着いて作品を観れている感じがします。欲を言うと正面と両側面が見えているのでその奥行き感はもっともっと意識的に出していけると良いです。(擦って鈍くして、と言うのは良いが、例えば口角から輪郭までの段々奥行きが付いているところに対し、頬骨から輪郭までの急激に奥行きがついているところなど、全体的に「奥行きの質の差」が表現出来ていないところが、やや「絵」としていい感じ以上のものに見せて来ないところがあります。そこまで出来たら超イイです!)小川原

ニュートラルな表情が自然に表現できてて良い自画像です。欲を言うと、頭の鉢の形態感、喉元から胸鎖乳突に流れていく首の形、肌に対しての服の馴染み具合がもう一押しあると満足感がでそう。
新妻

デッサンに味があって良いですね。眼差しも自然です。首の形態感がもう少し欲しいなと思いました。齋藤

いい素描!
目の捉え方も、癖っぽさがなく、自然でいいです!
上手いなぁと、感じます。
洋服の特に襟ぐりには、もう少し絵的に奥行きや立体感が出せるといいな。あと新妻先生と同じく、頭のハチの辺りから頭頂部の髪の毛に、もう少し、見えない後ろ側の形も感じさられるくらい、立体感が出せれば、最高です◎
この調子で、自然に捉えられるのは、かなり力が付いてきた証拠です!氷室


素晴らしいですね。この作品は形の正確性はもちろん。体の光と陰の響き合いや省略の仕方(感覚的なタッチの選び方)まで美しいです。欲を言うと頭部はやや陰の印象が弱いので、さらに突っ込んでも良いかもしれません。顔(衣との隙間)に落ちる陰と両手の奥の陰、そしてそこから膝にかけて大らかにつながる陰の印象が特徴として響きあうと最高です!(今は体の魅力から目が離せませんが、頭部にも同じく魅力が与えられると作品全体が強い魅力を放って「完全なる魅力の塊」にできます。もうどんどん描いて欲しいです。小川原

今回クロッキーを初めて見せてもらって、かなりポイントを的確に捉えているなと思いました。是非あらゆる対象をモチーフとして描いてみて欲しいです。新妻

15分間でこの情報量正確にはめられてるのすごいと思います!捉えられてますね!しかも現役生、末恐ろしい、齋藤

15分で…素晴らしいです!
布があるからこその人体の存在をある意味リアルに感じさせる事ができる。そんな先代の彫刻家が、美として制作してきた人体の形の表現を体感させてもらえます!
氷室


好きなものを描いてるって感じがあって良いですね!密度もあり、質の差もしっかり捉えられています。次元の膝とそこに重なる手と拳銃のところでもう少しだけ空間の設定を作れるとなお良いと思います。新妻

クロッキーで感覚的な成長を見せつつ、静物デッサンではすごく完成度の高い作品を出してくれました!最高にcoolですね!次元の足にキリッと合ったピントがかっこいいです。ブリキバケツの質感も素晴らしいです!唯一残念なのはバケツのパースです。軸はまっすぐに。楕円は軸に直交させて、楕円は水平、左右対称に。バケツの輪郭も左右対称にです。それ以外は文句なしです!(台の奥の横線は床と壁の境目かな?それは少し分かりにくいです)小川原

全体的によく描けてます!欲をいえばサングラスのレンズ感がもう少しあってもいいかな。齋藤

いいモチーフ!
自分で組んだモチーフなので、入り込めてしっかり描けています◎
上手ですね!
次元の足元のピントが合う点もしっかり描けていて、魅力的!
次元の相棒の拳銃に、もう少し質感を出しても良かったかなと思いました!
氷室


これは、雰囲気はありますが、何に寄り掛かっているのかな?とか、外なのかな?とか、入り込むための取っ掛かりがやや薄いので、もう少し何か突っ込んで描いても良かったのかな?と思いました。
氷室

具体的に何に埋もれているのかは分かりにくいですが(クッションみたいな感じかな?)柔らかい素材に埋もれて休んでいる感じが伝わって来ます。やはり氷室さんが言うように具体性は弱いですが、「絵」としての深みを感じます。逆に本を読んでいる男性のクロッキーはやや浅さを感じるのですが、その違いは何なのでしょう?自分では実感ありますか?男性のクロッキーは正確に形を取ろうとして少しビビリが入り、結果少し狂ってしまった印象。こちらの作品はそう言う意味での緊張がなく、気持ちよく手を動かせていたのではないでしょうか?そう言う感覚が画面を通して伝わって来ます。小川原

今回提出したクロッキーは三枚とも良い感じですね!小川原さんが指摘しているように、この三枚の中だけでもほんのちょっとのことで印象に差が出てきます。でもクロッキーってそういうものなので、この調子でどんどん描いてみてください。その中で、描き始めて3枚めくらいが調子いいなーとか、飽きて来るとダメだなーとか、逆にちょっと疲れてきた方が印象良くなるなーとか色々見えてきてどんどんものを描くことの経験値が増えて行きます。新妻

目を閉じてるとか俯いてる表情が多いですね。なんかそういうところに惹かれるのかな、見てる方もどこか落ち着いてみてられる印象が持てて、いいクロッキーが描けるんだなと思います。さらに深めて行ってください!齋藤

 

学生の皆さん!今後の作品にも期待しています!