日別アーカイブ: 2014年8月26日

彫刻科 夏期講習(後期)ダイジェスト!

学生のみんな夏期講習会お疲れさまでした。 講師のヒムロです。

今年の夏は前期の塑造特訓に始まり、中期のベーシックなカリキュラム、後期は外国人首像や最後のコンクールに向けて一気に駆けぬけましたね!!暑い暑い夏、大変な季節を悲喜こもごも、みんな色々な経験を得られたと思います。

導入

では夏期講習の後期を中心に作品を紹介したいと思います。

男性セミヌード1日描き;人体を通しての観察で石膏像ではなかなか得られない骨格や筋肉を学ぶカリキュラムです。

T.U君の作品U

描き込みのリズムに弾みがあります。見えない向こう側の腕など、そういった事の信憑性のつじつまを合わせる仕事は実に楽しい物です。このデッサンには色々可能性を感じます。

K.Oさんの作品O

立ち姿、目線、悦に入っていますね。こちらに作者のイメージが伝わってきます。おしいところは輪郭線ですね。例えば末端、足、手そして指、細く小さな部分までもっと追ってなじむと、なお良いと思います。

A.Sさんの作品S

素描として、とても画面に有効なやり取りが感じられます。探りながらまとめられる所に経験と力を感じます。欲を言えば、床の仕事です。接点は大事ですよ。

K.Oさんの作品 おおた座り

座っている人体は腰がちゃんと座れているかがポイントとなります。プロポーションの安定感がこの作品の良い所です。惜しい所は末端の部分、手足が他よりも主張が少し強いですね。

 

こちらは奴隷のデッサンです。岸本先生のアイディアで普段とは光線状況を少し変えてのデッサンです。

T.U君の作品奴隷u

どの石膏像も離れて見ると、臨場感は近くよりも減ってしまいます。このデッサンは離れる事で逆に客観性に富んだ内容だと思います。どの距離感でも自分とモチーフの位置関係は大切ですね。

A.Sさんの作品奴隷s

きびきびとした印象は好感が持てます。この先求めるのは、正面から見た奴隷の躍動をこの位置からも感じたいです。もっといけますよ。

Y.M君の作品村田奴隷

輪郭線だけでは表せない奴隷の動きを、炭の緩急を使って表現出来た清々しいデッサンです。下っ腹をしっかり押さえられ所に力を感じます。凄くかっこいいデッサンです!

F.Tさんの作品冨樫奴隷

荒削りで未完成な感じはします。ですがこのデッサンには共感を持てるものがあります。ぱっと奴隷の像を見たときの印象が表せています。

K.S君の作品齊藤奴隷

奴隷は螺旋の彫刻です。上昇と思えば下降する。とりとめのない印象に良く反応出来たと思います。もちろんもっと描き込んで欲しい部分もありますが、どうしても手が入れられない所はあります。それはかえってナイーブな表現につながり良い時もあります。

K.Oさんの作品oota奴隷

モチーフを良く見ていますね。観察を通しての描写にはリアリティーを感じます。惜しい所は、輪郭線の未消化な部分です。形や空間になじめればもっと良いですね。

 

こちらはヘルメスの模刻です。大きいですし普段なかなか作らないので知っておくべきポイントが今回で一気に増えたのではないでしょうか。頭部の形態感や正中線、首の傾きや出方など勉強になりますよね。

K.S君の作品齊藤ヘルメス補正済みIMG_7725

首や頬、おでこの形、後頭部をもう少し確認したかったですね。しかし、首の切り口や表情と全体の主張のバランスが良く粘土の表情など硬くならずに健闘しています。

Y.M君の作品村田ヘルメス補正済みIMG_7713

首の出方や顔から頭部に向かっていくねじれが弱いです。ですが頬に落ちて来る影の拾い方や髪の毛の面を意識した作り込みなど良い捉え方ができています。

T.U君の作品 IMG_7721

頭部の形態感が弱いです。面に戻り影を意識してみて下さい。切り口や口元の表現も、もっと研究が必要です。目の表情は似ているので目を引きますね。

夏期講習ラストはコンクールでした! 授業風景 講評風景

デッサンはジョルジョ、塑像がジョルジョの模刻、素描が自画像でした。 ジョルジョは描くにしても作るにしても難しい像なので、一筋縄では行きません。 コンクールということで気合いが入る!そこに実技を噛み合わせて行く!そのバランスの取り方に、この1年がかかっていると言っても過言ではありません。 結果かどうあれ、自分の実技を冷静に分析し経験値を上げて行ってください!!

 

こちらはデッサン1位に輝いたF.Tさんのデッサンです。総合1位の座も獲得しました。実技に安定感があり自然に表現ができる事が持ち味です。その結果が夏期講習で頭角を現してきました!1位冨樫IMG_7765補正済

炭の響きや顔の印象が良いですね。首や体がやや伸びてしまったのが惜しいです。

2位のT.U君のデッサンIMG_7770

白を基調とした画面は目を引きました。書き込みも本人の熱意を感じます。やや顔の印象が幼く見えるのが、もったいないですね。

1位のK.Oさんの模刻1位太田IMG_7689補正済み

全体の中で嫌味なくジョルジョの印象に迫っていました。構造や動きにもっとしっかりした確証が感じられれば良いですね。

2位のF.Tさんの模刻2位冨樫IMG_7781

デッサン共、印象をちゃんと捉えることができました。良いですね。形の言い切りがまだまだ弱いところを減らしたいです。

1位の自画像1位須藤IMG_7790補正済み

採点時、ひとつ頭が飛び出た点数が付きました! 狙いが明快で、実に作品性の高い一枚です。自画像に対する本人のイメージ力が他の追随を許しませんでした。あっぱれな内容だと思います。スゴイ!

2位の自画像2位冨樫IMG_7801修正済

絵心を感じさせる内容から、本人の妖艶な世界観に引き込まれます。こちらも良作と言えるでしょう。

3位の自画像IMG_7827

上記の2枚に比べると、一見世界観や作品性にやや乏しい感じを受けますが、緻密な観察を通した描写にはリアリティが発生します。本人の誠実さがしっかりと伝わってきます。

以上で夏期講習ダイジェスト終了です!

みんな本当にお疲れさまでした!!自分がそのまま出てしまう実技を常に見続け、目指す道に向かって日々努力を重ねる、そんな姿を見ると本当に凄い場所なんだなと日々感動しています。どうしても受験を前には実技の結果がすべてですが、この姿勢は一生モノです! 結果はしっかり受け止め、2学期へ向かいましょーーーーーーーー!!! ここからが勝負です!! 2学期がはじまると受験まであっと言う間です。 ゆっくり休みの期間に鋭気を養ってくださいね!!宿題もお忘れなくー   ※次回の更新は9月15 日です