日別アーカイブ: 2014年7月22日

彫刻科 夏期講習 最初の課題。

こんにちは。彫刻科の小川原です。夏期講習が始まりました!前期昼は塑像を集中特訓していきます!第一課題はニワトリでした。動物も彫刻を学ぶ上で欠かせない要素の一つです。将来的に動物を作品としてつくっていく事だってありますから。
ほとんどの場合は彫刻作品として動物を制作する場合実際に動物を見ながらつくることはないです。大抵は動物園等に取材に出かけてクロッキーをしたり写真を撮ったりして、それを元に彫刻に置き換えます。予備校の段階では本物の動物を目の前にして作品をつくる訳ですが、こちらの方が稀な例なんですね。
「動物」というジャンルにおいて、基本的な骨格構造だったり(どの動物も思ったよりそんなに変わらない)断面の形状や起伏の特性のリズムを掴む事で最低限の資料さえあればどんな動物であってもつくれます。動物の課題で学ぶべき事は「ニワトリ」ならニワトリの、「ウサギ」ならウサギのつくりかた、という事ではなく、(それもあるかもしれないけど)もっと大きなくくりで、「動物」そのものの性質を理解する。というところに詰まるのだと思います。
さて、それでは今回の秀作を紹介していきます。
まずは現役生、R.S君の作品。
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一つ一つの形に抑揚があって変化に富んでいます。丸みも単純化する事なく複雑に捉えられているのでそれも魅力を高める事に一役買っています。まだまだ手が遅く、具体的にしていくのに時間がかかってしまい完成度は十分とは言えません。最終的な形がどうなると良いのかという事を早い段階で捉え、荒付け段階で60%、中付けで80%を言い切るくらいの見切る力を養いましょう。

K.S君の作品。
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出だしからポージングのイメージを持って取り組めていました。特に指導を必要とする場面も少なく、自分で考えて自分で探っていく事が出来ていたので、かなり実感を持って取り組めていたのだと思います。生命感があり、密度も十分で高い完成度が感じられます。この調子でどんどん研究を深めていきましょう。

F.Tさんの作品。
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途中立ち方を根本的に大きく動かして直すという一幕がありましたが最終的には安定して地面を捉える事が出来たと思います。印象も良く、冴えた作品と言えます。
「見る目」が良く、軌道修正する力がずば抜けていますが、逆にもう少し冒険する部分があっても良いかなと思います。探り探りの作業が多いので結果となって現れるのが遅い傾向にあります。もっと大きくやり取りを重ね(失敗があってもよい)、それを繰り返して正解に近づいていくような道筋もあります。いろいろ試してみて下さい。(2日課題であっても1日で完成させるつもりで挑んでください)

T.U君の作品。
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誰より手が早く、完成度がどんどん上げられるのが強みです。この作品も端々まで意識が行き届いて重厚な作品となっています。
逆を言うと完成度以外のところで戦っていないので作品追求がおろそかであった場合一気に作品の質が落ちてしまう危険性も孕んでいます。とにかく形の狂いは一切なくす事、その上で常に自分の限界を半歩越えた完成度を目指す事を原点として下さい。それさえ守れれば必ず結果はついてきます。

F.T君の作品。
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生命感の感じられる形の起伏が捉えられていて魅力ある作品となっています。本人はなかなか完成の糸口が掴めないと思っているようですが、やっている事は間違っていません。むしろセンスもいいし、高度な事が自然と出来ていると思います。手を止めてしまえば作品も止まってしまいますが、手が動いている限りは決して悪くない方向に作品は動いているので自分を信じてやりきってください。

最初の課題でしたがいくつもいい作品が出て良い流れだと思います。夏期講習ではとにかく今まで自分になかったものを新たに取り込んだり、出来なかった事に挑戦したり、攻めの姿勢でこなしていってほしいです。夏を制するものはなんちゃら…。という名言があるように、この時期自分を高められた人は2学期以降得られるものも段違いで変わってきます。そして勝負を見据えて全力で取り組んで下さい。自分には何が足りないのかしっかりと見極めて、必要な力を強く欲して下さい。「求めよ、さらば与えられん」ではありませんが、「こうしたい」「ああしたい」と強く思っている事は自然と吸収できるものです。淡々とこなしているだけではあまり上達しないのです。一緒に頑張って、この夏を乗り切りましょう!