日別アーカイブ: 2013年10月22日

彫刻科は実技模試、オープンスクールとイベント続きでした。

こんにちは。彫刻科小川原です。芸術の秋!ということで、新美では全国実技模試のラッシュです。先日彫刻科もデッサン、塑像2課題の模試を行いました。塑像ではマスクを含む構成課題を出題しましたが予想を裏切る出題でしたでしょうか??その日の為に石膏像からシリコン取りして夜な夜な型取りしていたんです。でも本番だって何が出題されるか分からないのだから、そういう意味でもいい経験になったのではないでしょうか。
デッサン、塑像共に全体的に課題の残る結果となりました。しかしこれはあくまで今現在の結果でしかありません。試験までの残りの時間を最大限有効に使って足りない実力を補っていきましょう!ここからが頑張り時です!
デッサンでは現役生の素晴らしい健闘が見られました。全体では顔を含む印象の悪さが目立っていました。視野を狭めて強引になる事無く、自然体で像を捉えられると良いですね!IMG_2159
塑像では「構成」そのものの理解や目的が曖昧なものが多かったように思います。セオリーに頼るだけでなく、自分自身のヴィジョンを大切にしていきたいです。同時に完成度はかなり重要なので、さらに段取りよく進められると良いです。
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全国模試の次の週にはオープンスクールを行いました。主に高校1?3年生を中心に、デモンストレーションを交えつつ、1日でモデル首像を制作するというなかなかハードな日程でしたが、経験のある生徒も、初めてつくる生徒も、皆集中力を切らさず、魅力的な作品に仕上げてくれたことに感心してしまいました。中でも2点、完成度の高い作品が出ましたので紹介します。どちらも現役生の作品です。
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短い時間の中でよくここまで仕上げて来れたなと思います。作者の底力を感じる作品です。一通り隙が無いように手が入れられていますが、細部の表情や起伏の少ない部分(頬や首周り)での説得力がどれだけ出していけるかが今後求められるポイントです。さらなる成長に期待しています。

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この作品はモデルさんの骨格的な特徴を粗付けから構造的に捉えていって、常に印象を引き出しながら進めていたのが印象的でした。現役生にしてすでに彫刻的にものを見る目が身に付いている事に驚かされます。髪の毛の表現を含め、後頭部側の魅力がさらに出てくるとよりおもしろい作品に出来ます。今後が楽しみな逸材です。

最初は粗付けのポイントをデモンストレーションを見てもらいながら解説しました。
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皆1日全く休まずにとても集中してくれました。最初は1日でどこまで出来るかなと少し不安でしたがどの作品もしっかりつくれていて、頼もしさを感じます。この気持ちを忘れずに、日々努力していってもらえたらなと思います。
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同日新美では芸大で解剖学の講義をされている先生による講義が行われていて、個別講評後、こちらにも立ち寄っていただき、有意義なお話を頂きました。先生は元芸大の彫刻科出身とあって、実制作に繋がる事が聞けたのは良かったと思います。
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さ、大きなイベントは終わって、後は冬期講習、入試直前講座とますます気合いを入れていきたいところですね!普段の彫刻科の授業でも良い作品が出ていいるので、いくつか紹介していきます。
昼間部からです。自画像。自分をテーマに絵を描いたり彫刻にしたりというのは芸術家の永遠のテーマです。ただ形や状況を写し取る。というだけでなく、そのときの心情など内面も含めて表現していきたいです。
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コンテを使い、まるで塑像をするかのように取ったりつけたりを繰り返して出来た作品です。そうした触覚的なやり取りが画面に何重にも刻まれて、見るものに訴えかけます。

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オーソドックスな作品ですが、自分自身と向き合う意識の感じられる作品です。シンメトリックで動きの無いポーズですが、かたさは無く、自然な空間が描けています。

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コンテを使って描いています。丁寧な描写から、その完成度の高さが伺えます。ポージングや表情が作品としての魅力を引き出していてとても良いです。作者の心境を想像させる作品です。

うさぎ。
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ポージングが非常に難しいですが、自然でいて、よりうさぎらしさの感じられる動きを全体に繋げて成立させる事が出来ました。モチーフに対する丁寧な観察が伺えます。

奴隷。
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彫刻科の受験で模刻の定番の石膏像の中では最大級のモチーフです。大きいというだけで難易度は高いですが、動きも激しく、表情のつくりもとても難しいです。この作品は最後まで奴隷に合わせていく為に真摯にモチーフに向き合うことで生まれた非常に完成度の高い作品です。雰囲気を似せる、というだけでなく、真にそのものに近づけていくという感覚は、模刻の大原則であり意外と忘れがちな事でもあります。

続いて夜間部の作品です。自画像。
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強い光源をうまくいかした表現が出来ました。表情も自然で絵として魅力的な1枚になっています。これをもとに、さらに具体的な形を伴う空間として像が捉えられると尚良くなります。

自刻像。
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動きをつけた事によって作品を回してみた時に変化が感じられ、魅力に繋がっています。少しの動きでも全体に関係づけていくのは難しく、この作品はそこに破綻が無い事によって、より強い説得力を与える事に成功しています。

一通りイベントが終わってとりあえず落ち着いて…。となるはずも無く、ここ最近自分の制作がおろそかになっていたので、これからは時間を見つけて僕も自分の作品の制作をしっかりこなしていこうと思います。やっぱりつくるのは楽しいです。もちろん予備校でやってる事とは全く違いますが、この楽しみを是非皆さんにも早く知ってもらいたいです。