日別アーカイブ: 2013年9月24日

芸術の秋ですね。

こんにちは!彫刻科の小川原です。暑い暑い夏も終わり、過ごしやすい日々にほっと一息ついていることと思います。でも受験生の皆さんは気を抜いてはいけませんね!1学期、夏期講習と貯めてきた経験値を今ここでしっかりと形にしていくことが受験を乗り越えていくために必要不可欠だと言えます。ただ闇雲に取り組むのではなく、これまでの制作を振り返って、自分ができること、できないことを整理してみましょう。その上できちんとした対策をとることが大切です。

さて、昼間部の自刻像のテラコッタ作品は僕のアトリエから新美への搬入が済んだので、早速仕上げに取りかかっています。素焼きの状態だと均質な質感と色味でスカスカした印象があり、非常に抵抗感が弱いので、薄く色をかけたり擦ったりしながら微妙な変化を与えていきます。やりすぎると戻せなくなるので、慎重に作業を進める必要があります。
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彫刻の基礎として石膏像にするのはポピュラーですが、石膏は他素材に置き換える過程での仮素材としての意味合いが強いですが、テラコッタはその先がない究極素材であるので、しっかり完成させるととても質の高い作品にすることができます。石膏取りの技法を勉強するのも為になりますが、今回はひとつの「作品」として追求してもらうためにテラコッタを素材として選びました。

授業作品です。まだ課題数も多くこなしていないですが、いくつか紹介していきます。
昼間部 M.Nさんの作品。肘の上まで入れることを条件とした片腕です。
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授業時間で仕上がらなかったので少し残って完成させました。Tシャツの袖を入れたのは面白いです。肘からつながる形に違和感を残しますが、非常に高い密度と説得力があり、魅力的な作品になりました。事前にしっかり完成のビジョンを持ち、スタートから一貫してそこに向かっていくイメージが持てれば制作時間が短くても同等の完成度まで行き着けると思います。しかし、時間をかけて丁寧に作ればできる。ということは大きく評価できるポイントです。

同じく昼間部、M.Nさんの作品。大顔面を含む静物。
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木炭紙サイズの画用紙で、コンテでの制作です。今回のモチーフを描いていく上でのテーマがパース、空間、固有色でした。この作品はそうしたポイントに敏感に反応し、自然で魅力的な(自然=魅力的)作品に仕上がっています。欲を言うと床面に面性や奥行き感がもっと出せると良いのですが、全体にはしっかりとした言い切りがなされていて、作者の実力を感じ取れる内容に仕上がっています。

続いて夜間部、K.Kさんの作品。首なしミロのヴィーナスです。
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形も正確で、質感、空間、密度ともに申し分ない非常に完成度の高い作品に仕上がっています。この課題は5日課題でしたが、本人は3日と勘違いしていて、3日の段階ですでにある程度仕上がっていました。そこであと2日あることを知り、今の状態をより良くするために何ができるかを考えて残りの時間取り組んだそうです。その成果があって、いままで行き着けなかった深みがあり、リアリティの感じられる作品に到達することができました。この前向きな取り組みがとても良いと思います。美術には当然ながら限界などありません。何となくこのくらいかなと終わりを決めてしまうのではなく、常に反省し、先を読み、チャレンジすること。そこに美術を志すものとして最も必要な本質があるのだと思います。

夜間部、T.U君の作品。ロープを持った手。
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高校のスケジュールが早く終わった日に昼から参加して自主的にトレーニングをしています。彼は表現がややカタくなるタイプで生もの(手や人物などの塑像)が苦手でしたが、この作品を見る限りそうした違和感は感じません。夏期講習を経てかなりの成長を見せてくれました。力強く握った手と、腕までの自然なつながりが魅力的な作品となっています。ロープも丁寧に作り込んで印象を引き出していることに好感が持てます。ぜひ、これからも目標を見据え、努力を怠らず、突き進んでいってほしいです。

2学期は始まったばかりですが、本当にあっという間に時間は過ぎていってしまいます。今やれることをやれるだけやっておきましょう!僕は2学期こそ勝負の時期と思っています。受験生の皆さんには、これまで培ってきた経験がいずれ必ず自分を助けてくれると信じて、自信を持って取り組んでほしいなと思っています!いつも応援しています!がんばりましょう!