日別アーカイブ: 2013年9月10日

彫刻科 個別推薦入試対策

こんにちは。彫刻科の小川原です。2学期が始まりましたね!入試の足音も近づいてきて、気が引き締まる思いです。

さて、美大入試も推薦入試がもうすぐ一斉に始まりますね。新美彫刻科でも毎年数名の推薦入試志望者がいます。

各大学、意欲のある生徒が受験してくるのを期待しています。推薦入試は、各大学で課せられる試験が若干異なりますが、彫刻科では概ね作品のファイル提出と面接があります。

中には実際制作した自分の作品を当日持参しなければならない大学もあり、十分な事前の準備が必要となります。作品のクオリティはもちろん高ければ高いほど良いですが、美術系高校に通っているとかでなければ中々しっかりした作品を制作出来る環境も設備も、その機会も無いと思います。

新美彫刻科では、推薦入試志望者の個々の状況に応じて、ファイルの制作、及び彫刻作品の制作に特に力を入れています。特に作品の提出が求められる大学によっては、簡易的、趣味的な作品のレベルでは通用しない高いレベルのものを求められる大学もあります。

単純に造形的な問題に対する指導だけでなく、素材の扱い方から完成までのフォローや、作品のプレゼンテーションまでカバーしています。新美の彫刻科夜間部は生徒を放置せず、講師が必ず毎日出講するので、途中でどう進めたら良いか分からない。などの心配がなく、通常の授業も含めて安心して制作出来ます。

生徒にはまずプラン出しをしてもらい、ディスカッションを経て実制作に入ります。最終的に作品として成立させる為に素材選びも重要です。石膏取りやテラコッタ(素焼き)での制作が中心となりますが、特別な設備が必要なときは僕のアトリエにある窯や溶接機、木工機材など使って仕上げまでの工程を行います。

考えられる事、出来る事は全てやりきってこれ以上無いというところで試験に送り出す!というのが僕ら講師の共通した思いです。

推薦入試用の作品制作。現役生T.Dさん。最終的な仕上がりが楽しみです。
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推薦入試で必要なものと通常のカリキュラムで行っている事は当然違います。なので特に2学期の頭では、志望者それぞれに必要なカリキュラム設定をしています。ファイル制作用、あるいは提出用作品を制作する生徒もいれば、実技が課せられる大学を志望する生徒はそれに対応した対策をしたり様々です。

ここで個人的な事で恐縮なのですが、9月の後半に国立新美術館で作品の展示があります。新制作展という公募展なのですが、芸大、美大の先生方や、大学関係者が数多く出品する展覧会です。特に美大を目指す学生の皆さんには勉強になること間違い無い内容(具象作品も多いです)で、なにより学生は入場無料ということもあり、気が向いたら見に来てくれたらうれしいです。
ポスター一般
今年も木彫の作品を出品します。ところどころ寄せ木してますが、大体は1木彫りです。高さは2.2メートルくらいです。楠の木。元は下の台座上の丸太の部分が上まであったとイメージして下さい。飛び出た足や手、コートの裾などは寄せ木です。
「眠りに落ちる者の瞳」というタイトルです。

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左足かかとと、右足だけで重さを支えています。当然そのままでは折れてしまうので、中は全て空洞です。上から順に彫って、空洞にしながら下に彫り進めました。
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目や口も空洞になっています。個性や表情、生命感を取り去って残るものを自分なりに形にしています。でも大事なのは形より作品を取り巻く空間(空気感)です。表現したい空間がまず先にあって、それに合わせて形が出来ていく。という感覚です。
彫刻を教える身としては、受験の為の勉強だけでなく、生徒達の先輩として彫刻のおもしろさや可能性を少しでも多く伝えられたらなと思っています。
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