
2010年度 合格体験記
「知れたこと」
山田 孟(東京・聖学院)
東京芸術大学絵画科油画専攻合格
僕は浪人が長かったので、今まで数多の合格者のコメントを見てきました。その度に「“知れたこと”をぬかせ」と思ってきました。でも僕も今その立場に立ってみると『知れたこと』しか言えません。それは美大受験を目指す人全員に共通する『何か』が存在するからだと思います。僕が言えることは、まず自分のロジックとリアリティを探し出し、自分の答えを見つけること。ただその答えと合格への道は確実に比例するものではないと考えます。良い意味で志望校を意識し、合格するための答えを自分の中で探していく必要があると思います。「あの子はああだから受かった、あの子はこうだから落ちた」よく聞く話ですが、ジンクスなんてものは存在しません。どんなに先生や周囲の評価が悪くても己を貫き通し、どれだけ自分に真剣になれるかが勝負だと思います。結局僕が言っていることも矛盾だらけでやっぱり『知れたこと』ですね。僕は新美で絵的にも人間的にも「最も危険人物」と言われたようなこともありました。僕のようなタイプの人がいるか分かりませんが、このコメントを読んで少しでもシンパシーを感じた人、「絵を描くのは好きだけど、絵画とか、よう分らん」という人はぜひ新美に来るのが良いと思います。先生が教えてくださいます。
「環境を得る」
佐々木 成美(広島・基町)
東京芸術大学絵画科油画専攻合格/多摩美術大学絵画学科油画専攻合格/東京造形大学美術学科絵画専攻合格
受験絵画ではなく、作品として描くことを意識した一年でした。そうしていれば、自分を押し付けず課題にとらわれすぎないでいられるし、作品を成長させられるのだと自然と理解できました。すると描くのが楽しくなり、自分の絵を好きになって、自信が出てきました。私は自分の絵を好きになり自信を持つことが一番大切なんじゃないかと思います。私大でも同じことが言えるのではないでしょうか。そんな考えを環境から得ることが出来ました。画集を沢山見ることの出来る環境、美術館にたくさん行ける環境、アトリエの環境、刺激をくれる友達、支えてくれる家族、本当に大切なことを沢山教えてくれる環境です。その環境のおかげで、沢山のことを学べました。技術だけではなく、考えの豊かさも学びました。そこには、つらさなどの“負の感情”は無く、学ぶことの楽しさと未来への欲が増幅される環境の繰り返ししかありませんでした。私は環境に恵まれたのだと思います。その環境すべてに感謝をしています。ありがとうございました。しかし良い環境を作るのは自分次第です。パーツが揃っていても、行動を起こさないと環境は出来ないし、良い環境の中にいても気づかなかったら意味がありません。まずは自分がどうなりたいか、そのためにはどんな環境が必要かを考えるべきだと思います。
「諦めないで描く」
堀江 佳耶子(東京・東洋英和女学院)
東京芸術大学絵画科日本画専攻合格/女子美術大学美術学科日本画専攻合格
2浪になって、技術や知識がついてきても、絵で競争する入試そのものがぴんとこなくて、目標がはっきり持てないでいました。それでも夏までは、描いたら描いただけ上達していたのでなんとなく楽しく描けていました。けれど、目的意識の無さから、上手いってなんなのか?自分はどこへ向かっているのか?何もかもわからなくなり手が止まりました。気がつけば、こんなに下手くそじゃだめだ…と弱気になっていました。そんな時、先生と面談する機会がありました。先生は下手くそなことも、いろんなことがわからないことも当たり前なんだと気づかせてくれました。だからといって、すぐに何かが劇的に変わることはなかったけれど、下手だということは上手くいかない理由にはならないということに気がつきました。それからは、自分の絵がどんなに酷くても、投げ出さないで描き上げることだけを考えました。試験本番も、全く思い通りに進みませんでした。だけど、どうにかなる、どうにか出来ると言い聞かせて最後まで描ききりました。頼れる先生やまじめな友達、絵に集中できる環境を作ってくれた家族の支えがあったから得られた結果です。本当にありがとうございました。受験生として過ごす1年はつらいかもしれないけれど、どんなときも諦めない気持ちと、周りの人への感謝の気持ちを忘れずにがんばってください。
「頑張る・やりきる・見せつける」
宮本 樹里(東京・桜蔭)
東京芸術大学絵画科日本画専攻合格/東北芸術工科大学美術科日本画コース合格
今思い返せば、2浪の一年間はずっとスランプに陥っていたようなものです。1浪の時の私はとにかく自信に溢れていて、絵を描くのも楽しかった、しかしそれは所詮根拠のない自信がおごりとなってしまったに過ぎず、結果1次落ち。次の1年はそのショックもあり何を描いてもいまいち上手くいかず、ずるずるグダグダと気合いの入りきらないまま過ごしてしまいました。それでも受験が目前に迫ってきた2月頃、ふと今まで私がいかにモチーフを観察出来ていなかったか悟れる時が来たのです。この時期まで来たらどうあがいても急速な上達など無理に等しいし、試験までひたすらに「モチーフをよく見て描く」その事だけ考えて描きました。いくら「マイペースに」「自分との勝負」などと言ってもやはり他人は気になって、落ち込んだりもしました。でも自分はまだまだ下手なんだと自覚した上で、自分とモチーフに真剣に向き合うことが、ギリギリになってようやく出来ました。いざ試験、今年はモチーフが大幅に変わってしまいましたが、やるしかない!と私に出来る事を落ち着いてやりきった結果、合格することができました。試験での2枚が、2浪の一年間で1番いい絵だったのだと思います。私はどうして日本画を描きたいと思ったのだろうか。初心に帰って、素直に絵を楽しむのが大切です。今まで支えて下さった先生方、本当にありがとうございました。
「ちゃんと描く」
千葉 里織(東京・小川)
東京芸術大学絵画科日本画専攻合格/東北芸術工科大学美術科日本画コース合格
「ちゃんと、描く。」ただそれだけの事が、ずっと出来ていませんでした。合格するためには上手い絵や凄い絵が描けなければいけない、と思っていたのです。特に4浪目はその考えが強く、目の前のモチーフではなく自分の思う凄い絵のビジョンを追ってどうしようもない絵を何十枚も描きました。こうでなければいけないとかこれをしてはいけないという事ばかりが浮かんで、何が「良い」のか全く分らなくなってしまいました。自分にとっての「良い」モチーフの「良い」そしてそれを表現するためには…。ずっと考え続け少しずつ講師の言葉やそれまでふわふわとしていた物が本当に自分のものになっていきました。それでも絵の方は相変わらず上手い絵、凄い絵に引き摺られる時があり評価は良くありませんでしたが、本当に大切な事は理解出来てきてる。大丈夫と自分に言い聞かせ本番を迎えました。今年の日本画の試験は例年とは違い静物デッサンだったのですが、最初にモチーフを見た時に素直に良いモチーフだと思い、そう思えたことがとても嬉しかったのを覚えています。良いと思ったモチーフをちゃんと見て、ちゃんと描く。途中で不安や雑念に振り回されそうになっても冷静に仕事を組み立てそれを信じてやりきる。大切な事が入試の1枚を通して自分の物に出来ました。上手くなくても凄くなくても、ちゃんと描いた絵が良い絵だと、自分の「良い」を見つけられた事がとても幸せです。
「新美で巡り合った新しい自分」
木下 武(福岡・八幡中央) 現役合格
東京芸術大学絵画科日本画専攻合格
センター試験が終わると、私はすぐに1人上京し、新美の入試直前講座に通い始めました。親元から離れて生活していたわけですので、寂しく、心細かったというのが正直な感想です。しかしその一方で、自分と向き合い考える時間が増えたので、自身を探究する機会が多くなりました。そのことは、生活面だけでなく、作品制作の面にも影響しました。それまで抱えていた1番の問題は妥協でした。どうしても目の前のモチーフの観察を疎かにしてしまい、観念的な描写をする癖がついてしまっていたのです。これはとても厄介なもので、本人は自分が妥協しているということになかなか気付かないのです。しかしながら、1人きりの生活を続けるうちに自分を客観的に評価しようとする意識が出てきました。そして、先生方の熱心なご指導のお陰でもありますが、モチーフを観察し、理解しようとすることの尊さにも気付きはじめました。このことは私にとってとても大きな変化で、絵を描くことが以前よりも断然に楽しくなりました。新美の先生方からご尽力をいただき、本当に感謝しています。合格するために技術を磨くのではなく、何かしらの感動を伝えよう、表現しよう。気がつけば、そのような気持ちがにじみ出ていたのを覚えています。私は、芸術家は研究者であらねばならないと思います。丹念な観察と、また理解した事柄に対する感動を持ち合わせていなかったならば、人に何かを伝えようとしてもその内容は極めて薄いものになってしまいます。一生自分の作品を1作品ずつ丁寧に仕上げていき、その都度感動を見出していけたなら、たとえ周りの評価が厳しくても、それはとても素晴らしいことだと思います。最後に、日頃から自分を支えて下さっている方への感謝の気持ちを忘れないで下さい。
「勉強してきたことを生かす」
池田 留理子(東京・大妻)
東京芸術大学彫刻科合格
現役時代、私は粘土が苦手でした。立体が一体どうなっているのかさっぱりわかりませんでした。困っていると、受験の少し前に先生が目の前でジョルジョを模刻してくれました。私も真似をして繰り返しジョルジョを作ったら、何となくやり方がわかってきました。一浪の受験前、私は生き物が苦手でした。ピシッとさせてしまう癖があり、私が作った作品の動物は死んでいたように感じました。まるで剥製のようでした。そして、今年の二次試験は鳩が出題されたので焦りました。生き物の生々しさで周りに勝つのは無理だとわかっていたので、密度で勝負しようと思いました。あえて剥製の置物のような作品を作りました。「密度を上げることが出来るね」と先生に褒めてもらっていたので思い切ることが出来ました。試験の時は教えてくれる人もいないし、自分で判断しなければならないけれど、自分の長所と短所を知り、今までの頑張りで得たスキルとモチベーション(大切)があれば、どんな問題が出ても突破出来るのかもしれません。
「体力・実力・精神力」
津田 恭子(千葉・市川東)
東京芸術大学デザイン科合格/多摩美術大学テキスタイルデザイン学科合格
私は高3の春から3年間新美に通いました。学科が美大に必要なことや、自分の実力の乏しさを知らなかった一番始めのコンクールは、ほとんどが最下位で物凄く落ち込み、次の日新美を休んだことを今でも覚えています。
現役の頃はとにかく実技ばかりに一生懸命でした。私は一浪の夏まではいちいち結果を気にしてぐちぐち悩むたちでしたが、ある時から、受験は精神力の闘いであることに気付き、それ以来“受験は精神”という言葉が合言葉になっていました。3年も受験をしていれば私生活が精神に、そして実技に影響を与えてくることも多々ありますが、私は極力実技に響かないように実技は実技、私生活は私生活、と割り切るようにしていました。もちろん受験は精神力だけでは生き残ってはいけません。実技の実力が備わり、体力、そして精神力をコントロール出来て、そこで初めて全てのコンディションが整うのだと思います。私の精神力と実力は、新美の先生や仲間に支えられていたからこそ身についたのだと思います。新美の先生方は、デザインの根本から丁寧に教えて下さり、ひとりひとりの個性を大事にし、引き伸ばしてくれる、とても優しく明るく個性的な先生方です。先生方は、生徒自身に考えさせ、答えを見つけさせる指導も織り交ぜながら指導してくれました。それが私にとって、とても良く、自分自身で行動する力が身についたのだと思います。先生方の指導のおかげで、新美の生徒は自分自身を積極的にアピールし、自分で考え、行動できる力のある生徒に育ち、それは大学に入っても社会に出ても変わらないのだと思います。そんな風に育てていただき、本当にありがとうございました!
「合格体験記」
黒尾 智也(東京・城東)
東京芸術大学デザイン科合格/武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科合格
高3の5月から本格的に新美に通い始めた。今思えば現役の頃は、自分が受験生であるという自覚もうすく、「現役だもん落ちて当たり前」なんて心の片隅で考えていた。ひどく自分に甘かった。甘ったれた考えではどこにも受からない。現役時代は美大受験の厳しさを体感した1年だったように思う。昼間部に上がってからは、意識的に生活を改善した。必ず5時前には起床し、アトリエに一番に入った。早く入って特に何かをする訳ではなく、準備をしたり、イメージを作ったりする時間にした。そうすると9時のスタートから慌てずに落ち着いてできた。現役時代と比べて友達や先輩と遊びに行く回数も減らした。辛かったけど、「断る」ってことも大事だと思った。現役、一浪ともに、一番の苦手は平面構成。思うようにいかず逃げ出したこともあった。そんな自分を理解してくれて、支えてくれる講師陣が新美にはたくさんいた。耳にたこができるほど「難しいことはしなくていい。シンプルに明快に。」と指南され、「今は失敗していいんだよ。本番がよければいいんだから。」と何度も励ましてくれた。そのおかげで本番は今までの中で一番すっきりと描けたように思う。最後になりましたが、新美で共に戦った友人、講師の方々に心から感謝したいです。
「楽しんでつくる」
勝見 泰里(東京・吉祥女子)
東京芸術大学デザイン科合格
「丁寧に観察すること、自分が感じ取ったモチーフの魅力を楽しんで、より魅力的に表現すること、そうすれば人に共感してもらえる作品がつくれる」といことを、私は新美で教えてもらいました。それに気付くまでは、技法やパターンに当てはめて迷ったり、人と比べて落ち込んだりして、作品に弱さが出ていました。焦りによって観察が雑になり、ウソっぽい時もありました。平面構成では、頭がかたくなってしまって楽しめず、かなり苦手意識がありました。先生に、苦手意識をなくすこと、自分の良いところ・弱点に気付くこと、対応力・メンタル面の問題などいろいろ相談にのってもらい、そこから問題が少しずつ解決していきました。入試直前で、自分に合った楽しみ方を見つけられた時、課題に答えることがとても楽しく感じることができました。楽しんで自分の作品をつくりきれると、失敗した部分も前向きに受け止められたのです。試験本番では、ハプニングに気を取られず、落ち着いて、迷わず楽しんで作りきることができました。とても大切なことを教えてもらった新美に、感謝の気持ちでいっぱいです。4年間ありがとうございました。
「その軸が変拍子を生んでも」
磯崎 由衣(東京・日本女子大学附属)
多摩美術大学テキスタイルデザイン学科合格/武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科合格/東京造形大学テキスタイルデザイン専攻合格
私はいつも生き急いでて、調度いい頑張り方が出来なかった。コントロールや方向転換が下手くそだった。すごいスピードで飛んでいって激突して、カーブ出来ずに直角に曲がるというか飛ばされる。早朝から描いてると思ったら来ないとか。来ないと思ったら家で三日三晩寝ずに描いていたとか。そういえばご飯食べるの忘れちゃってたなとか。でも気がすむまでやらなかった絵は一枚もない。放棄しなかったのは勤勉なんじゃなくて、勝手だからね。賢く描こうと思ってた時があって、その時なりには描ききってたけど、全部並べて比べてみるとなんか変。先生はいつもすきにやれって言ってた。すきに、勝手にやったら出来た。すごく適当で楽ちんでなんとなく描くことは、実はどこかですごく慎重で真摯で正しいこと。何に正しいかって、気持ちに正しい。しっくりくる。いい絵になる。これは現役の時だけど、お気に入りを作りなねって先生に言われてじんわりした。プリントして着たいくらい気に入るものをって。お気に入りを作ろうって思ったら絶対妥協はしないでしょ。なのに楽しいし、無理してなくて自分にとって自然。楽しいのと真摯なのは同じこと、お気に入りを作ろうって心がけはそこにまっすぐ手を運べるから素敵だって思う。ずっと大事にする。
「結局、なんとかなる。」
奥田 なつみ(神奈川・東海大学付属相模)
多摩美術大学グラフィックデザイン学科合格/多摩美術大学情報デザイン学科情報デザイン合格/女子美術大学デザイン・工芸学科ヴィジュアルデザイン合格
正直、焦りや辛さは2浪目の夏期講習会まで感じた事がなかった。この時は、新美に移って去年より描けるようになった事や、環境の変化によって、ただ毎日楽しいという気持ちだけであった。しかし、今まで頭で物事を深く考えてこなかったツケが、絵や自分に徐々に回ってきた。そして、去年と同じことを繰り返している自分に気がついた。求められている答えに対するズレや自分が出来ない事に目をつむって、とりあえず課題からたくさん逃げた。逃げた次は無気力になった。目標を見失いあらゆる場所に行っては休んだ事を後悔し、鬱になった。冬期講習会が始まる前のコンクール直前に、このままじゃダメだ、と思った。その後のリメイク期間、何度もコンクールの時の平面をリメイクしては先生に提出した。疎密のバランスや色の使い方を先生との1対1のやりとりで再確認出来たし、頭を使う事を覚えた。この出来事は合格に確実につながったと思う。この1年、私の精神状態は目まぐるしい程変化していった。楽しかったり、やさぐれたり、急にテンション上ったり、抜け殻になったり、やめようと思ったり、自問自答の毎日で精神的にこりゃ参ったという感じだった。でも、ここまで続けてこられたのはやっぱり絵を描く事がなんか好きで、やめられなくて、結局なんとかなんべってカンジになっちゃって、明日も行こと思えるなんか好きな新美のおかげさまです。
「突き進む」
石田 央一(東京・東京都市大学付属) 現役合格
多摩美術大学生産デザイン学科プロダクトデザイン合格/日本大学藝術学部デザイン学科インダストリアルデザイン合格
美大受験は僕にとって、大きな覚悟と決意でした。僕は高2の夏頃から始めたのですが、やり始めは全くうまくいかず、毎日が苦しかったのを覚えています。高3になってから、少しながらようやく描けてきたような実感が湧いてきました。ただその頃は他人には負けたくない、という競争意識の中で描いていたところもあります。
競争意識の下で成長するということも大切なのですが、最終的に大事なことは、面倒くさがる、怠けたがる自分自身に打ち勝つことだと思います。夏から秋にかけては調子が良かったのですが、冬期講習会で昼間部の人と合流し、実力の差に愕然としました。でもここまで来たら、もう自分を信じてやりきっていくしかないと、深く悩まないようにし、常に学んだことを吸収していくペースを崩さないようにしていました。僕は今年合格しましたが、正直言ってなぜ合格できたのかを明確に言い表すことは出来ません。強いて言うなら、自分の独創性に出来るだけ正直でいたこと、その独創性を表せるだけの表現力を身につけ、あくまで技術に溺れないようにしたこと。そして悩みを話せる友達や先生、憧れであるデザイナーの格言があったからだと思います。新美は環境、講師共に良い場所でした。先生方、本当にありがとうございました。
「逃げない」
谷川 翼(東京・東京都立大学附属)
東京芸術大学工芸科合格
三浪目は勝負の年でした。二浪の受験直後はもう大学は諦めようと思ったけど、親も周囲も誰一人として三浪に反対せず、環境が後押ししてくれているのにやらないのは「逃げ」だと、ある先輩が言ってくれたことで浪人を決意しました。この「逃げない」という言葉は一年間僕を支えてくれました。僕は三浪の秋から新美に通ったのですが、三浪というプライドを捨てて自分の無知を開けっ広げにできたのも、逆に自分が三年間も家族や彼女やその家族に余計な心配と苦労をかけているという事実と正対できたのも、逃げないと決めたからだと思います。特に浪人しているとつい被害者的な気持になって家族や周囲をシャットアウトしがちだけど、「今年もだめだった」って絶対言いたくない人の名前を片っ端から全員携帯に書いておいて、落ち込んだ時読み上げると気合いが入りました。守りに入ると、必ず勝負には負けます。だから、ここぞの場面で「いつも通りに」なんて思わないで、むしろわざと「人生一番の緊張をしろ!」って言い聞かせるくらいがいいと思います。すると本番、案外緊張しません。気持ちの話ばかりですが、結局受験って勝負で、スポーツと同じです。メンタルが姿勢を作り、姿勢は技術より先に直接作品に出ます。あとは新美の先生を信じてできない事を一つずつ無くしていけば、何も恐れることはないと思います。
「スタイルの確立」
田代聖 晃(福島・会津)
東京芸術大学工芸科合格/多摩美術大学工芸学科合格
浪人生活当初は、上手いとはどういうことか、何が正解なのか、本来の自分の目指す美術とはかけ離れたことをひたすら考える毎日にジレンマを感じつつも“それが受験生”と割り切った予備校生活を送っていました。しかし“絵を描くことは義務ではない”と、三浪目に入り大きな挫折感を味わったことへの皮肉からなのかもしれませんが、頭の中が受験に染まってくると必ず一旦美術と距離を置くことにしていました。遊びでも、仕事でも、恋愛でも、何か没頭できることに触れると、本来自分がなぜ工芸科を目指しどういう未来を見据え日々を過ごすべきか、不思議と美術に対するモチベーションが上がってくるのです。結局は精神論ですが、そういったメンタルコントロールが作品に与える影響はとても大きく重要であると感じます。これはあくまでも私のスタイルなので人によりもちろん向き不向きがありますし、なによりも運が多大な影響を与えることを否定できないのが我々の受験です。“自分のスタイルの確立”。ありがちなアドバイスになりますが、結局私に言えることはこういった漠然としたものに限ります。その点では新美には自分の方向性を見つける環境があり、個性を尊重し合格へと導いてくれる指導者がそろっていました。そういった環境選びも合格へのアプローチには欠かせない要素だったと思います。
「大学教授とのコミュニケーションとしての入試」
薄羽 涼彌(埼玉・春日部)) 現役合格
武蔵野美術大学映像学科合格/東京造形大学映画専攻合格
ある作品を作るとして、その作品を他の人に見てもらいたいと思うならば、それ相応の工夫や努力をしなければならない。決して世に生まれる創作物全てが人々の関心を得られるわけではないのだ。という現実を思うと僕は僕という人間の乏しさに絶望し家に帰りたくなるのだが、それでも美大進学の志を曲げずに勇気を振り絞り、新美の門を叩いたのは高2の春休みである。そこで初めて提出した課題には何かやってやりたいという心意気だけが先走っていて、絵も文章も乏しくみすぼらしかった。こんな出来映えでは誰にも相手にしてもらえないと思ったが、しかし新美の先生たちは、僕の作品を実に丁寧に講評してくれた。しがない高校生が描いたものをこんなにも熱心に見てもらえるという状況は僕にとって驚きで、ただただうれしかった。おかげでそれから1年間、満員電車はしんどかったけどいつも楽しく新美に通うことが出来た。冒頭の話とは逆で、見る人の方から作品へ好意的に歩み寄ってきてもらえるわけだから、その分失礼にならぬよう、いい加減なものは作れないなという気持ちになった。そしてこの気持ちは、受験当日まで変わることがなかった。大学の教授陣は新美の先生ほど好意的であってくれない。だが僕には新美で積み重ねた1年間があったから、自信をもって「見る人を歩み寄らせる」ような作品作りに努めることができた。最後に、ここで過ごした日々は宝物、皆さんありがとう。
「ありがとう新美」
佐藤 里佳(神奈川・カリタス女子) 現役合格
武蔵野美術大学映像学科合格/東京造形大学映画専攻合格/東京造形大学メディアデザイン専攻合格/日本大学藝術学部映画学科合格
私は高2の夏期に1度講習を受けていたこともあり、高3の始めの方は実技に自信を持っていました。しかし、小論文の評価は低迷していたため、夏期講習会あたりからはひたすら小論文をリメイクしました。リメイクすることで講評の回数も増え、徐々にまとまった文章が書けるようになりました。リメイクの効果は後期になって確実に表れてきたように思います。実技は、最初は自信があったのですが、2学期頃からはうまくいかなくなりました。色々な表現を試しているようで、実際は半ばやけくそのような作品が続いた。下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる状態の私に、先生は「佐藤の見たい映像って何だろう?」「必ずしも物語である必要はない」と仰いました。その時、知らないうちに感覚テスト型のテンプレートを作ってしまっていたことに気が付きました。好きな映像作品や映像作家を見つけて、目標とすることも、時に大切なのではないだろうかと思います。直前は勉強をしなければならないのもあり、リメイクすることは減りました。しかし、納得できないものは放課後リメイクしました。直前でも残ってリメイクをするために、学科に自信を持てることも必要です。ムサビ前日は今までのことを思い返し、先生方からの応援を頂き泣けました。落ち着いた頃には今までやってきたことが自信に変わり、本番でリラックスして力を発揮できたのだと思います。
「スポンジになった1ヶ月」
濱口 明日香(東京・吉祥女子) 現役合格
武蔵野美術大学映像学科合格/東京造形大学グラフィックデザイン専攻合格/東京造形大学メディアデザイン専攻合格/女子美術大学メディア表現領域合格
私は高3の夏に初めて感覚テストをやりました。その時は高校のアトリエを使って何回か制作して、10月に新美の実技コンクールを受けました。びっくりするほど点数が悪くて、学科も良くなくて絶望的でした。受験を本気で意識し始めたのはこの頃です。冬期は学科を何とかしようと思い、とりあえずずっと基礎の勉強ばっかりやってました。新美は直前講習だけ受けて、感覚テストや映像科のデッサンの特徴などを一から教わりました。知らないことやわからないことがいっぱいあってびっくりしたけど、制作自体は楽しかったので苦ではなかったです。ただ、納得できないことや疑問に思ったことは納得できるまで先生に聞いたりしました。直前講習中はとにかく楽しくて、大学へのモチベーションも日に日に高まっていったし、新美に来てよかったなあと思います。試験当日は、とにかく問題をしっかり読んで、おさえるべきキーワードとかはしっかり意識しました。試験本番はわりと落ち着いて制作することができ、終わった後“やりきった”という感覚が持てたので気持ち良く受験を終えることができました。改めて、新美で教えてもらえて良かったなあと思います。本当にありがとうございました。
「自分にあった時間の使い方」
持木 祐香(埼玉・久喜)
武蔵野美術大学映像学科合格/武蔵野美術大学芸術文化学科合格
私は去年の4月から通信教育映像コースで実技と小論文の勉強を始めました。最初は全く分らなかった色鉛筆の使い方から構図でどう見せるかや、文章の書き方まで、新美の先生方は丁寧に教えて下さいました。通信教育では自分の欠点をじっくり見直す時間が多いため、次の作品へ繋がる何かが一作品ごとに学べた気がします。初めて新美へ通ったのは7月の夏期講習会でした。そこで私は大人数ならではの緊張を味わい、自宅制作では経験出来なかった講評を聞くことが出来ました。この時は初体験を経験することが大切だと思い、あまり評価を気にせず楽しく制作していました。秋から冬にかけては、また自宅制作をして、直前講習から新宿へ向かいました。そこで浮き彫りになったのは小論文という私の弱点です。毎回評価は後ろから数えた方が早く、何回も同じことを言われたりもしました。私は悔しかったので何回も何回も課題のリメイクや過去問をひたすら書き続けました。良い人の文を書き写したりもしました。その甲斐あってか、試験2週間前頃から少しずつ評価が良くなり、やればできるという自信になりました。悩んでいる時に相談に乗って下さった先生方には、本当に感謝したいです。
今思い返せば「自分を見つめる時間」と「周りを見る時間」のある通信教育と新美での制作時間のメリハリは私にあっていた気がします。本当に新美に感謝。
「受験そっちのけ」
三井 彩子(群馬・伊勢崎) 現役合格
武蔵野美術大学映像学科合格
初めて新美に来てからずいぶん長い間、課題をやること自体が苦痛でした。周りのみんなは一定の完成度を保っているのに、私はどんなことを書いたらいいかすらわからなくて、いつも1人で的外れなことをやっているような気がしていました。そこまで差を感じて、学科も特別出来るわけではなかったので、現役で合格は無理だろうと確信を持って思うようになりました。そこで、どうせ落ちるなら焦らずゆっくりやればいいかな、と逆に落ち着いたような気がします。それからは少しずつコツをつかめるようになり、受験期にはあんなに辛かった課題が楽しく出来るようになっていました。「どうせ落ちるから」というのは良くない理由でしたが、私はそのおかげでプレッシャーを感じすぎずに済みました。冷静に取り組めたことは何よりも大きなポイントでした。私は、新美をアウトプットの練習をする場所だと思っています。いかに課題に合わせて、分かりやすく伝えるか。そこで出すものは自分で用意しないといけないけど、それは言い換えれば自分が書きたいものを書けるということです。何かしら表現したいことがあって美大を目指す私たちにとって、本当は苦しくても難しくもなく、楽しいことだったのだと、今になって思います。壁に行き当たったら受験のことは一旦忘れて、自分のやりたいことを思い返してみるのがいいのではないでしょうか。
「つらい、でもたのしい」
鈴木 晴奈(千葉・匝瑳)
東京芸術大学芸術学科合格
私が芸大受験を思い立ったのは大学3年生の8月でした。ものごとを考えるのが好きで一般大学の哲学科に進学したもののどこかで芸術関係の仕事への憧れが捨てきれないまま就活シーズンを迎え、やっぱりもっと自分の好きなことがしてみたいと決断した次第です。新美には夏期講習から通い始めました。美術教育を受ける場に飛び込んだのは初めての体験で、毎日毎日芸術論について考え、美術知識を増やしていくということはとてもハードでしたが、同時にとても楽しくもありました。決められた時間内に論文を書き上げ、それを先生に受講生全員の前で添削してもらうというスタイルのおかげで、もっとうまく書けるようになりたいとモチベーションも高く維持することができました。時折先生が話してくださる美術業界の裏事情的なお話や、芸大事情も大変興味深かったです。先生方には小論文だけでなく、学科の対策まで親身になって相談に乗っていただけたことも非常に助かりました。直前期になってもセンター過去問の点数がなかなか伸びず悩み苦しんでいたときもいろいろと具体的な対策を提案して、励ましてくださって本当に感謝しています。芸大の受験を実際に勝ち抜いていかれた方々の意見とあってとても説得力がありやる気も増進させてもらえました。本番の小論文の試験では、夏期講習で扱った問題とほぼ同じ内容の問題が出て、心の中でガッツポーズをとったのをおぼえています。そうした意味でも、私の芸大合格は新美なしでは考えられないもので、先生方には感謝してもしきれない思いです。いままで本当に、ありがとうございました。
「合格体験記」
丘 幸寅(東京・本郷)
東京芸術大学先端芸術表現科合格
講評では一貫して強度のある表現を要求される。作品に対する批評も実に厳しいものだった。講師の方は補助線を引いてくれるものの、具体的な(実践的な)アドバイスはそう多くなかったように思う。つまり、結局山積する問題は自分で解決しなければならないのだ。必然、少しでも良い作品を仕上げる為には何でも使わねばならない状況に追い込まれる。これは造形に際しての材料や技法に限定されない。物事の考え方、視野の取り方、時間の使い方、など、多くの領域が作品と関連づけられる。日常から生み出される筈の表現が、反転し、私を脅かす…なんてのはちょっとしたスペクタクルであるし、割と極限状態でもある。学友の作品を見ては凹み、講評を受けては凹み、自分を追い込む、という毎日をキリキリと送る。そうした日々を振り返ってみると、多様な媒体を自己表現と結びつける日常系であり、まさに希望学科の趣旨に合致してしまっているので驚きである。自ら学んだ事も多くあれど、新美という環境に「鍛え上げられた」という実感の方が強い。私にとっての新美とは、表現者を基礎造形する学舎であり、講師の方々、学友は勿論、携わった全ての人々の創造性に感服、感謝している。
「合格体験記」
蛭間 友香(東京・新宿)
東京芸術大学先端芸術表現科合格
試験自体は正直つらくはなかった。素描は会場の綺麗さに嬉しくなって、そのままのテンションで割としあわせだったし、面接もなんか楽しかったので10分あっという間だった。むしろファイル制作の、あのスパイラル感はいま思うと不思議。いや不思議というか、よかったんだけど、なに、みたいな感じで。表現とかテーマとか、よくわからないし、自分の作品を言葉で説明するのが苦手で嫌で、でも嫌とか言ってられないから考えるけど、やっぱり嘘な気がして。嘘は書けないから、削ると、書くことがなくなる。文章書いて削って整理して、を繰り返してその部分は予備校ありがたかった。でもそれ以外は結局自力だと思った。1年間新美の先端芸術表現科でお世話になった訳だが、制作に関して自分本位で進めてくので、1年で1作品しか完成しないということも可能で、まぁわたしのことなんですが。とりあえず、こうした人が受かる、なんて基準はなくてそれは入学してから本当に思うことで、多分純粋に運が良かったんだろう。
「合格体験記」
尾畑 明歩(東京都・明星学園)
東京芸術大学先端芸術表現科合格
私はモデルをやって、自転車で京都へ行き、多摩美のテキスタイルパフォーマンスに参加し(まさかそれが来年NY公演をすることになるとは!)
9月から、新美に通い始めました。しかし、なかなか納得の絵が描けず、全てのことにおいて謙虚過ぎてダメでした。ファイル作りは大変過ぎる!のですが、作品作りをする時の感覚を文字にしたとき、自分の作風が分かり素描に繋がりました。そして、自分の気持ちが盛り上がる術を見つけることが、よい作品作りに繋がると思います。とにかく「自分の価値に賭けて」ください!私は取手で身体を使った表現・アプローチを追及し、また布や絵も模索します。興味がある人は共に探ってゆきましょう!
「マイペース」
北城 みどり(栃木・大田原女子)
東京芸術大学建築科合格
高2の夏、建築科の夏期講習を受けに、初めて新美に来ました。ここで体験することは全てが新鮮で、この世界の人たちと一緒に成長したいと思い、芸大を志しました。新美は、自分の知らない自分を見つけてくれる人たちに出会える場だと思います。同時に、他人を見て、自分が何者なのか考えさせられる場でもありました。二浪中は、自分の理想と現実を比べ、成長する後輩に焦り、自分はどうあるべきなのかすごく悩みました。辛かったし、楽しんでやらないで良い作品なんか作れるのかと思いながら悩み続けました。再び楽しめるようになったのは後期になってからで、前期に悩んでいたことへの答えが少しずつ見つかっていき、私は私のペースでやっていけば良いのだと思えるようになりました。自分よりも自分を信じてくれる人たちの存在が、私をいつも支えてくれました。本当にお世話になりました。