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彫刻科 入試再現・春季講習スタート

彫刻科の臼田です。東京藝術大学彫刻科に合格した入試再現が出来上がったので一気に紹介していこうと思います。一次試験はブルータスのデッサンでした。(3枚目は現役生)

三人と当たり前ですがとにかく上手いです。印象はもちろん、空間性、密度、色味全てにおいて高い精度で描き上げられています。見ていた印象としては三人とも毎回コンスタントに良い作品を出せ、かつ自分の癖やウィークポイントと向き合い対策がしっかりとできていたように思います。

続いて二次試験です。任意でテーマを設定し自刻像を作りかつその制作意図を文章に起こし提出する課題でした。作品とテーマ・制作意図をまとめて紹介します。(3作品目は現役生)

テーマ

「夢からさめるとき」

制作意図

夢からさめる時、自分の存在がその世界から消えていくように感じる。それと同時に夢の中の人や出来事も、砂の城がさらさらと風に吹かれていくように形がわからなくなって忘れてしまう。彫刻は現実に存在させることができる。夢からさめる瞬間の、現実に戻っていくと同時に夢の記憶が消えていく寂しさのような名残惜しさのような感情を形にして残したいと考えた。

テーマ

「熱」

制作意図

集中している自分を直接見ることはできない。鏡などで集中している自分を見ても、自分を認識した瞬間に集中は途切れてしまうからだ。しかし自刻像ならば、今自分が感じているリアルな感情が自分自身から粘土を通じて像へと移り、集中している自分がリアルタイムに眼の前に現れるのではないかと考え制作した。

テーマ

「消滅」

制作意図

 何かを得るために、何かを手放さなければならないことがある。 私は5才の頃までタイに住んでいた。タイでは友達とタイ語で話していたが、日本語は苦手で両親とあまり上手く会話することが出来なかった。 日本に帰って日本語を話すために、タイ語の記憶は消えてしまった。

テーマを設定しつつ制作意図も考え自刻像もとやることが多く大変だったと思いますが三人とも高い完成度です。造形力に合わせてその人の持つ作家性や人間性を見られる課題が続いています。実技を鍛えていきながらいろんな作品鑑賞をしたり、自分の興味のある分野などの探求などしていくことがより重要になってきている気がします。

さてここからは春季講習の秀作を紹介していきます。

現役生の作品です。反射光の表現や色味がとても美しいです。形を起こす力が強いあまりに逆に色がバチバチしたり、黒くなったりということがありましたが今回は最後までモチーフに寄り添えたと思います。この感覚を忘れずさらに上達していきましょう。

こちらも現役生の作品です。シンプルな構成ですがそれぞれの物のクオリティ、空間へのアプローチ、陰影の見せ方どれも素晴らしいです。欲を言うとリンゴの形はもっといけると思います。張りの形、断面の形などもう一歩観察できると良いです。

こちらも現役生です。この時期にここまで精度の高さで上げてこられることに驚きます。人間らしさが表現できています。密度も素晴らしいのですが、細部の形と周りの形のつなぎのカタチをもう一歩観察できるとさらに高い次元にいけると思います。

長くなりましたが以上になります。

彫刻科 芸大合格発表!

芸大入試は3名合格!2名基礎科からの合格!うち1名現役合格でした!おめでとうございます!!

3人ともしっかり作品と向き合い、向上していくことに前向きでした。おそらく本番でも冷静に力を発揮できたのだと思います。
逆にたとえ上手くなったとしても自分の中にぶれない軸みたいなものを持てなかった人は本番の緊張感に気圧されて判断力が鈍ったところはあるのではないかなと思います。

本当に良い作品というのはコンクールでいい成績を獲るとか、そういう限定的なものではなくて、その可能性は本来無限大であるべきものではないでしょうか。一通りできているから良い。とか間違っていないから評価できる。とかはかなり消極的な評価であって、求められている作品像とはかけ離れています。そういう意味でも自分の中にある「良い作品のイメージ」を高め、目指していける人物が最も合格に近いのだと思います。「良い作品」であるか「未熟な作品」であるかは一目瞭然であり、できているかいないかよりそっちが見えている人が伸び続けられる人なんだと思います。
そういう感覚って潜在的に備わっている人はごく僅かなので、多くの人は特訓する中で育んでいく必要があります。実際それが分かってからが本番みたいなところはあると思うので、来年度挑戦する人たちには強く意識していてほしいです。意識を高めて練習量を増やしていかないといけません。意識が高いかどうかは自分では判断できないので、頑張っていることに安心しないことだと思います。常に上を目指す気持ちで。そのうえでいい作品にも未熟な作品にも必ず理由があるのでそれを見極めていくこと。これが重要です。

入試再現はこれからなのですが、直近で制作していた作品を参考までにのせておきます。
まずは基礎科から現役合格した生徒の作品です。
「印象」に対して常に誠実に表現していました。芸大受験では顔が似せられてからが勝負!くらいなところがあるので信頼性は高かったです。

塑像も上手でした。「やり方」頼りでなく、あくまで「印象」を大切にやり取りしている強みですね。

続いての生徒も基礎科出身の生徒です。
浪人生の頼もしさを感じるデッサンです。自分を過信せず、ギリギリまで自分の目を疑う意識を大切にしていました。

難しいモチーフであってもブレることなく、落ち着いて全体を理解しながら進めていました。

もう一名浪人生。「やり方」にとらわれず、表面的な情報に気を取られないところが強みでした。

変なことに変。と素直に気付けるところがとても良かったです。逆をいうと良いものは良い。ですね。シンプルなことですがほとんどの人は誤解しています。

春期講習中には入試再現作品を公開できると思います。お待ち下さい!

さて、基礎科彫刻月火水コースでは6時間+αでジョルジョを描いてみました。
いきなり短時間で無茶振りなんですが、良く描けています!どんどん上達して行けそうですね!顔も似ている!

短い時間の中でこれだけ手が入れられるのはすごいと思います!

こちらは3時間クロッキーです。顔が似ていてよいですね!

こちらはまだ1年生なので入試まであと2年あります。今年1年で伸ばせるだけ伸ばしていこう!

もう来年の試験まで1年を切っています!もう戦いは始まっています!無駄にできる時間は少しもありません。その時できること、考えるべきことを全力で取り組もう!

彫刻科 最後の大詰め

彫刻科講師の臼田です。私大入試も終わり、芸大の入試も迫ってきました。緊張感もかなり出てきていると思いますが、今のままの調子で最後まで走り抜けましょう!残りの毎課題を大事に最後の調整をしていきましょう!それでは優秀作品を紹介します!数を絞って紹介します。

短い時間の中でかなりあげてこれました!力強く、光もかっこいいです!出だしからのリズム感がかなり良かったのでこの感じを意識して継続していけると良いです!

画面全体に手が行き渡っていてかなり重厚な魅力があります!手前から奥にかけての空間性も素晴らしいです!迷うことなく、自分の表現を貫きやりきっていく姿勢が大事だと思います!

出だしから最後まで画面に向かっていく姿勢がとても強いままでいられたことがよかったです。自信をもって毎課題ここまで走り切れるように意識してください!

とてもかっこいいです!色幅も多く、かなり目を引きました!途中段階での黒の処理、そして奥の部分の抑えをより意識できると良いです!

上手いです!出だしから印象をバッチリ合わせられていました!上手いので、慢心することを一切せずに自分の力を出し切ってください!

続いて現役生の作品です

光、色味ともにとても美しく表現できています!すごいです!課題に向かっていくパワーは本当に良いので中盤から終盤にかけてのモチーフとのチューニング合わせをより意識しましょう!

ラオコーンの動きや印象を高い精度で捉えられています!強引になることせずに常に素直にモチーフに寄り添う意識が大事だと思います!

高い精度で合わせてこれました!頭部が丸くなりがちですが、構造的にしっかりと抑えられています。量の付け切るまでの時間をもう少し早めに持っていってあげる意識があるとなお精度はあげられるかなと思います!

最後に基礎科生の作品を一気に紹介します!

みんな本当に飲み込みが早くメキメキ上達しています!自発的に考えられていることも素晴らしいです!この調子でどんどんいきましょう!

以上になります!

彫刻科 2月突入!

こんにちは! 彫刻科の小川原です。
入試直前講座も2月に入り、迫る本番を前に緊張感がアトリエに充満する今日この頃です。あと1月しかない!?いやいや、あと1月もあるんです!それぞれまだ明確に弱点を抱えているので何とか克服して行きましょう!

ここ最近の預かり作品の中で特に良かったものを紹介します。

かっちりと明快な表現が魅力的です!思い切って乗せた炭をうまくコントロールできていますね!

パジャントはシンメトリックながら意外と印象を似せていくのが難しいです。というのも表面的に小さい仕事に囚われがちで、そうなってしまうと大づかみな印象を外してしまいます。この作品は全体と部分をうまくコントロールしてまとめられています!

白い石膏像の第一印象がよく捉えられています。密度に対するこだわりも素晴らしいですね!

ジョルジョは動きも印象も絶妙に難しい像ですがとてもよくバランスが取れていると思います。部分ではなく作品全体での判断が求められますよね!

現役生ながら短時間で大きな像に挑戦しました!とは言っても過去に出題されたモチーフでもあるので乗り越えたい課題でもあります。時間的余裕のない中印象に反応した土付けによってとても印象よく捉えらてました!

ミロビ のスケール感を感じるデッサンです。ミロビの背中って細かい描きどころがあるわけではありませんが、ただ表面的に捉えていくだけでは到達できない魅力がこの作品にはあります!

モデル首像です。リアルな表情が魅力的です。制作中も形に生命を与えていくような、そんな意識で捉えているのかなと思わせるような集中力を感じました!

円盤投げの形態感、空間、美しいバルールを捉えた調子の展開だと思います。調子を使いこなせることは短い時間で作品を魅力的に表現していく上で圧倒的に優位に働く技だと思います!

顔がないから描きやすいかと思いきや、背中の量感を的確に表現するのはむしろ顔側を描くことよりも難しいかもしれません。描写するところがほとんどない中、本当の意味で形を理解してかからないとスカスカなデッサンで終わってしまいます!この作品はとても説得力がありますね!

基礎科生も頑張っています!美しい仕上がりですね!顔も似ています!このクオリティをコンスタントに出していけるように励みましょう!

以上です。
ここまで皆しっかり努力してきたし、上達もしてきました。ここが正念場です!自分のすべてを集中力に変えてさらに前進して行こう!!

彫刻科 入試直前講座へ

講師の臼田です!昨日冬季講習が終わり入試直前講座へ突入していきます。緊張感が増してくると思いますが粛々と課題を重ねていきさらに実力を上げていきましょう!確実に今までの積み重ねが力になってきているのでこの上り調子のまま走り切りましょう!それでは作品を紹介していきます。製作時間が短くなり秀作も多いので数を絞って紹介します。

昼間生の作品です。全体に余すことなく手が入っていて素晴らしいです。しっかりと立っている感じがします。足の隙間に黒がやや溜まってしまっています。ここの空間をもう少し出せると良かったです。

現役生の作品です。人体らしさを良く表現できています。白さもとても綺麗です!関節周りがもう一発こりっと表現できると尚良かったと思います!

昼間部生の作品です。力強く表現できています!炭とカタチがガッチリ噛み合っている感じがします!毎回このレベルで挙げていけると素晴らしいです!そのためには中盤の作業と確認、精度を大事にしてみてください!

現役生の組み石膏デッサンです。要素が多く大変だったと思いますが、やり切れています!もう少しだけ密度を上げてこれると尚よかったです。石膏単体で描くときよりも画面の綺麗さ空間に対してのアプローチを大事にしていきましょう!

続いてモデル首像です。現役生の作品ですが、上手いです。特にいうことはないです。この調子でどんどんやり切って行ってください!

こちらも現役生の作品です。破綻することなくここまでやり切れたことは素晴らしいです!欲を言えば皮膚感表現に対しての髪の毛の形がやや緩いです。もっと束かんを追ってみたり、影を入れても良かったと思います。

昼間部生の作品です。逆光側ですが、光の表現がとても綺麗です!反射光の表現も美しいです!頭部がもう少し立体感を感じ取れるくらい描き切れるとさらに良かったと思います!

現役生の作品です。難しい位置ですが、ジョルジョらしさを良く表現できています!頭部の光源設定を統一できるとより全体としての空間性がすっきりしたと思います!

昼間部生のジョルジョ模刻です。印象良いと思います。最終的にはいいですが、出だしから中盤にかけての制作のリズム感の上げ方を自分でさらに認識して制作できると良いと思います。

コンクール作品です。良いです。この調子でバリバリやり切っていきましょう!もっとジョセフの質感にまでしつこくしつこくアプローチしていけると尚良いです!

現役生の作品です。こちらもコンクール課題です。白さが綺麗で目を引きました!白さの中でもかっちりと止めてこれているので重さも感じます!頭部の出てくる空間に対してはもう一歩踏み込んだ強い表現ができると良かったと思います!

最後に基礎科性の作品を一気に紹介します!

力作揃いです!全て違う学生ですが、本当にみんな上手いです!僕が基礎科にいた時はこんなにできませんでした。飲み込みも早く、上達の速度も目を見張るものがあります!来年が楽しみです。

長くなりましたが、以上になります!