日別アーカイブ: 2018年6月23日

こんにちは、彫刻科の新妻です。
今年度が始まってもうすぐ3ヶ月、怒涛の夏期講習が近づいてきましたね!
じっくりと時間をかけて作品を作る事ができるこの時期は、基本的な実技力と取りこぼしている要点をおさえる事が大切だと思います。また浪人生ほどたくさん実験と失敗を繰り返して実技の引き出しの幅を広げましょう。夏を迎える前に、出来てることと理解が足りていないことの確認をし、現段階での自己ベストを夏前のコンクールで叩き出せるといいですね!

それでは最近出た預かり作品を一部紹介します。塑像3連続!

自刻像

印象を捉えるのが得意な作者でしたが、雰囲気だけではない作りこみまでじっくり調整出来たことで、よりスキのない作品になったと思います。粘土でできてるけど爽やかさがありますね!

静かな表情の中に強い意志を感じる佇まい。。いいですね。地道な形の観察と、目や髪の毛などの表現がうまくまとまっています。

続いてブルータスの模刻

作り始めから完成までの間であらゆる要素を気にしながら短い時間で印象を近づけていく模刻課題はシンドイ作業ですが、安定して対象に迫りながら高いレベルで仕上げられています。

 

着実に力をつけていっていますね!そして、まだ切羽詰まっていないこの時期に、是非色んな作品を観て作品を作る人としての見聞も広げていってほしいと思います。そこで最近観て面白かった展示を一つ紹介します。

六本木、complex665にある小山登美夫ギャラリーで開催されている菅 木志雄展。「もの派」(※1)と呼ばれる動向の初期から活躍されている作家です。
一般的な意味でのいわゆる技巧的な凄い作り込んである?!という表現ではなく、むしろ素材の持つ特性を活かすために加工は最小限に留め、モノとモノとの関係性、空間との関係性を突き詰めていく作品を思考されていると感じます。しかし特に予備知識がなくても、その場に展開されているコンポジション(※2)に身を委ねるだけでも面白い展示です。芸大二次試験の彫刻1の課題に苦手意識がある人は、「構成」について深く考えるヒントがあるかもしれません。

※1・・・60年代末から70年代初頭にあらわれた日本美術の動向。作家たちは石、木、紙、綿、鉄板といった素材をほぼ未加工のまま提示し、ものの存在自体、あるいはものと周囲との関係に意識を向ける作品を制作した。もの派最初期の作品として68年に関根伸夫が制作した「位相ー大地」などが有名。
※2・・・「構造、組立」を意味する言葉であるが、美術用語としては「構図」とされる。語源はラテン語の「構造(Compositio)」。

菅 木志雄
広げられた時空
小山登美夫ギャラリー 2018年5月25日~6月30日.日曜月曜祝日休廊
11:00~19:00  入場無料
http://www.tomiokoyamagallery.com

上記であげた展示に限らず、「こんな彫刻表現もあるんだ!」という経験をたくさんする事で、「では自分は何を表現するのか?」という問いが生まれ、日々の制作に、より鋭敏な感覚が足されていくのではないでしょうか。
というわけで、、、
手前味噌ではありますが、現在新妻もグループ展に作品を出品しております!「日常にアートを届ける」をテーマにした小品展で参加作家41名、総作品数100点越えのバラエティに富んだものになっています。お近くにお越しの際は是非お立ち寄り下さい!

「small works 2018」
ガレリアグラフィカ
6/18?6/30.日曜祝日休廊
11:00?19:00(最終日17:00まで) 入場無料
http://www.galleriagrafica.com

そしてそして、さらにその翌週から同じく彫刻科講師の氷室先生の参加する、いりや画廊でのグループ展も始まります。
いりや画廊はその名の通り台東区入谷にある、彫刻家の展示を多く企画しているギャラリーです。こちらも楽しみですね。

「壁11㎡の彫刻展Ⅲ」
いりや画廊
7/2?7/14.日曜休廊
11:30?19:30(最終日16:00まで) 入場無料

https://www.galleryiriya.com

暑かったり寒かったり雨降ったり体調を崩しやすい気候が続きますが、よく食べよく動きよく寝ましょう!
それではまた!