日別アーカイブ: 2017年11月26日

モンドリアン④ こだわり

こんにちは。油絵科の関口です。
今回はいよいよモンドリアンの最終回です。
さて、過去3回のブログを読んで頂ければ何となく分かると思いますが、モンドリアンはとにかく色んなところに『こだわり』がある人です。

そこでまず真っ先に思い浮かぶのは、カラーリングですよね?1921年以降は赤・青・黄の三色にこだわって、それ以外の色彩は殆ど使っていません。※白、黒、グレーの無彩色は使っています。
コンポジションC 1935年

その昔、芸大のある先生が「モンドリアンの黄色はフェルメールの黄色と同じだ!」と豪語したと聞きました。当時浪人生だった僕は、丁度やっていたモンドリアン展に赴き、目を皿のようにして観た記憶があります。ただ、その時はまだフェルメールの本物を見た事がなく、確認しようがなかったのですが…。両方本物を観た今からハッキリ言えるのは「同じって事はない!」です(笑)。でもフェルメールとモンドリアンの類似性を語るのは面白い観点だと思いますし、モンドリアンの塗りはフェルメールに匹敵する程のこだわりがあるのは確かです。ここではスペースが無いので書ききれませんが「モンドリアンのルーツはフェルメールにあり」という説には賛同したいと思います。
フェルメール 手紙を書く女 1665年頃

ところで、非常にマニアックな話になりますが、モンドリアンの絵をクローズアップしたものをご覧になった事はありますか?これがまたスゴいんですよ!これを見ると、彼がデザイン領域の人ではなく、ファインアート系の住人である事が分かると思います。この辺はデザイン系の人からしたら、許せない塗りムラ、甘い仕事、雑な仕事…に見えるかもしれませんね。でも絵画の世界では、これが良いんです‼?
作品のクローズアップ

さらに拡大した作品の一部


テープを使った試行錯誤のエスキース?作品。これもたまりません。


絶筆、ヴィクトリーブギウギのディテール。未完成とも言われていますが、作者の息遣いが感じられるほど生々しく「整えていない」という事で逆にリアリティーを感じますね。


あとモンドリアンは、部屋の中も徹底的にこだわっていたようです。この図版はモンドリアンのアトリエを再現した部屋だそうですが、垂直水平の世界は、まるで彼の絵の様ですね。しかし…この部屋は落ち着くんでしょうか?

モンドリアンが存命中、写真家が彼のアトリエを撮影したものも多数存在しています。ピリピリとした緊張感の漂うものが多く、神経質な人だった事が伺えます。

気付けばモンドリアンだけで4回も書いてしまいました。それだけ語る事の多い、面白い作家なんです。新美にも画集がありますので、ブログを読んで興味を持ってくれた人は、是非新宿校6階の画集を見に来て下さいね。