日別アーカイブ: 2016年12月11日

好奇心の産物②

こんにちは。油絵科の関口です。あっという間に二学期も終わり、もうすぐ冬期講習という事になりますね。受験生の皆さんにとって、この冬期講習は大きく成長するタイミングでもあります。これまで沢山の受験生を見てきましたが、ここでキッカケを掴んだ学生が、希望の大学に受かっているという印象がありますので、是非一緒に頑張りましょう!

さて、前回に引き続き、今日のテーマも好奇心です。ちょっと長い文章ですが、どうか最後までお付き合いください。

 

11月の始めと12月の始め、二回に渡り根津美術館で開催されている、日本画の「円山応挙・写生を超えて」を観てきました。どれも素晴らしい作品で、深い感銘を受けました。
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例えばこの「雨竹風竹図屏風(前期のみ展示)」は、風と雨の存在を葉の形、筆致の方向、筆勢のみで表現しています。雨を描くのに雨粒を一切描かずに表現しまう力量に、思わず唸ってしまいました。ame
部分を拡大して見ると、その凄さが分かっていただけるかと思います。(↑雨竹)kaze
いや?ヤバいっすよ、この上手さ。(↑風竹)

 

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こちらの絵は今回の展覧会のポスターやカタログの表紙にもなっていて、応挙の代表作の一つ「藤花図屏風」です。藤の幹の表現は金箔の上に薄墨で非常に大胆なタッチで描かれています。描き直しや迷いは一切ありませんでした。「お見事!」としか言いようがありません。藤の花も白い胡粉の上に青い絵具と赤い絵具を重ねて表現していました。この絵はまだ展示されていますので、現物を見ることをお勧めします。下がって見ても、近くで見ても色んな発見がある筈です。

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そして興味深かったのは、画帖や巻物に描かれた様々なスケッチの数々。今回は「写生を超えて」というサブタイトルが付いていますが、その写生が本当に素晴らしかったです。身近にある色んなモチーフが克明に描かれており、そこには沢山のメモ書きも残されていました。これらはケースに入っているので、かなり近くから見ることが可能です。是非現物を見て頂きたいですね。油絵科の学生にはスケッチブックの参考になると思いますよ。img_5247
一つひとつのモチーフに好奇心を持ち、愛情を込めて描いてあるのが伝わってきました。これは巨匠の並々ならぬ好奇心が探究心に変わった良い一例だと思います。
自分にとって、日本画は専門ジャンルではありませんが、絵を描くという本質的な部分には、何ら変わりありません。
ただ、油絵とは違って、日本画の展覧会は作品保護の関係上、展示替えがある事が多いみたいですね。今回の展覧会も一度展示替えがあったので二回訪れたという訳です。

 

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そして二回目に訪れた時、フラッと美術館の庭に出てみたんですが、これがまた手入れが行き届いていて素晴らしい日本庭園でした。東京のど真ん中に、こんな素晴らしいところがあったとは…。%e5%ba%ad%e5%9c%92%e9%a2%a8%e6%99%af
ここのところ忙しい毎日を送っていたので、安らぎのひと時となりました。皆さんも晴れている日を見計らって、是非足を運んでみて下さい。ちなみに応挙の会期は来週日曜日までです。
根津美術館
http://www.nezu-muse.or.jp

 

前回も言いましたが、我々モノを作る人間にとって、一番大切なのは好奇心です。それさえあれば、技術や知識なんて後から勝手に付いてきます。
どんな障害だって乗り越えて、すごい事が可能になる…そんなエネルギーの源が好奇心です。自分の好きな事が見つかったら、例えどんなに些細なことやマニアックな事でも構いませんので、他人の目なんか一切気にせず、楽しみながら前に突き進んでいって欲しいと願っています。

 

最後に自分の展覧会の宣伝です。
80824053_10412/15(木)?24(土)横浜の石川町にあるギャラリーアークで約30人のグループ展を行います。ハガキサイズ以下の作品が100点以上も並ぶので、楽しい展覧会になると思います。僕の作品は普段制作している心象風景とは違い、今回はモチーフを水彩、色鉛筆、鉛筆で描写しています。以前紹介したハロウィンのシリーズの続きですね。会期は講習会とバッチリ被っていますが、興味のある人は是非見に来て下さい。
ギャラリーアーク
http://ark.art-sq.com