日別アーカイブ: 2015年10月20日

映像科:公開コンクールのレポート

こんにちは、映像科講師の森田です。すっかり秋も深まってきたこの頃ですが、いかがお過ごしでしょうか。武蔵美に通っていたことがある自分としては、このくらいの気温になると芸祭を思い出します。今週末は武蔵美、来週には多摩美の芸祭がありますね。入試対策もそろそろ力が入ってくる時期だと思いますが、たまには息抜きを兼ねて、大学に足を運んでみるのも良いかもしれません。

さて、先週の10/11、12は新美の公開実力模試、いわゆるコンクールが行われました。講習会生や外部から参加してくれた方なども多く、なかなか盛り上がった2日間となりました。残念ながらスケジュールの都合などで今回受講できなかったという人もいると思いますので、このブログの方にも課題と解説を載せておきます。武蔵野美大映像学科の一般入試の傾向と対策について、ここで一度確認しておきましょう。

■感覚テスト(必須科目)
下記の文から想起する状況のイメージ、あるいは出来事のイメージを解答欄に絵と文章で表現しなさい。
「境界に触れていた」(B3画用紙/3時間)

感覚テストは映像学科を受験する学生ほとんどの人が制作する(一般方式では必須の)実技です。例年短い文章やキーワードをきっかけにして絵と文章で「映像のワンシーン」を創作します。去年の入試の問題は「空白が生まれた」というものでした。「空白」を何として設定するのか?ということが大きな問題になりますが、空間的な空白だけでなく、時間的な空白、あるいは記憶の中の空白、など様々に考えられると思います。感覚テストを制作する場合、なるべく具体的な場面を想像してみることが重要です。特に文章では、絵だけでは伝えきれないその場のリアルな状況や出来事が読み手に伝わるかどうかがひとつの評価基準となってきます。また画材として指定されている色鉛筆やパステルで描くことに慣れておくことも大切だと思います。

大原
(*参考作品:公開コンクールと同じ出題)

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■小論文(選択科目)
配布された4種類の「木目柄折り紙」の観察と考察から、あなたなりの論点を発見して、「○○の捉え方」と題して論じなさい。(600字以内/2時間)

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映像学科の小論文は、毎回何かモチーフが手渡されて、そのモチーフを観察することから論文のテーマを見つけるという、ちょっと独自の出題になっています。ちなみに去年の問題では、紙風船と白いゴム風船がひとつずつ渡されて「○○の魅力」というテーマで論文を書くという内容でした(「○○の魅力」に言葉を当てはめて題名にします)。この小論文の問題文の「観察や考察」は目で見ることだけではありません。触ってみたり、匂いを嗅いでみたり、何か書き込んでみたり…など。実際に今回の「木目柄折り紙」の場合でも、試験時間の前半には「鶴を折ってみる」「くしゃくしゃにして紙としての質感を与えてみる」などの色々なことをしている人もいました。そういう「行為」から、自分が発見したことを論文にするということが求められています。もちろん文章としての一貫性は必要ですが、テーマについては自由な発想で望むことが大切になってきます。

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■鉛筆デッサン(選択科目)
配布されたモチーフ2点を構成して描きなさい。(B3画用紙/3時間)

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鉛筆デッサンは卓上で3時間。大学の説明によれば「オーソドックスな描写力を見るための試験」ということですが、映像学科らしく(?)毎年他の学科のデッサンではあまりお目にかからないモチーフが出されます。また例年の傾向として、小論文と鉛筆デッサンで同じモチーフ(あるいは一部同じモチーフ)が出題されています。今回のコンクールでは、小論文のモチーフと似た木目のカッティングシートを三面に貼った石膏の立方体と、正方形のフェルトの布を渡しています。なかなか手強いモチーフではあると思いますが、まずはしっかり形を取れるように、対策をしておきましょう。

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(*感覚テストの講評風景と最後の結果発表&授賞式)

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【追記】
武蔵美に関しては公募制推薦入試の方も出願直前となっていますが、先日映像学科の公式サイトの方で「Q&A」のページが更新されていました。特に去年から変更になった推薦入試(クリエーション資質重視型/ディレクション資質重視型/英語力重視型)については、かなり詳しく質問を想定してその解答が掲載されています。推薦を受験する人はもちろん、映像学科を受験する予定の人は、必ずチェックしておいてください!
http://eizou.musabi.ac.jp/qa/