日別アーカイブ: 2015年7月11日

彫刻科1学期のまとめ

こんにちは。彫刻科の小川原です。彫刻科ではそれぞれに足りない力を明確にし、1学期のうちに出来るだけそれらが埋まるよう指導を重ねてきました。受験ではオールマイティな力が求められるので、学科を含め実技全般にバランスを取っていくことがとても重要なのです。
得意、不得意だったり、物の捉え方の傾向は個々によって異なるので、その人個人に合わせた指導が求められます。特に夜間部生など、今年初めてスタートを切る学生は、1学期のうちに基礎力を徹底的に吸収してもらうことを目標に指導してきました。さて、その結果はどうだったかな?
1学期後半の成果を紹介します。
まずは昼間部生の作品。
ギリシャヴィーナス。
2
普段作りなれないモチーフであっても、形を正確に作っていくという目標や方法論は変わらないわけですからなんでも作れて当たり前という気持ちでいてくれたらなと思います。もう少し顔の印象を合わせたかったですが、完成度が高く、よくまとめられています。

ベルベデーレ。
7
腰から下の描写(特に手前に迫る脚)はやや浅く感じられますが光源設定が上手く、美しい光で豊かな量感が表現できています。デッサンではとにかくモチーフとの対話(モチーフらしさが出ているか)と画面との対話(自分の理想とする作品の方向性)を忘れないようにしましょう。

夜間部生の作品です。
ブルータス。
4
試験時間を意識した課題でした。この時期現役生で短時間でここまで描ける力があることは素晴らしいことだと思います。何より自然に像に迫っていく作者の取り組みに好感が持てます。後頭部の描き込みはまだまだですが、全体にとても良くバランスが取れています。この調子で頑張ってください。

アバタのヴィーナス。
3

こちらも試験時間を意識した課題でした。とても良く印象が取れていると思います。表面はやや撫でてしまっている感じが強いですが、顔が似ているので説得力はあります。同じ時間でもう少し髪も作り込めるよう研究を深めましょう。

さて、紹介したのは一部の作品でしたが、全体的にかなりレベルは上がってきました。この調子で一人も欠けること無く、皆で盛り上がっていきましょう!

さて前回僕の趣味の頭骨の彫刻作品を紹介しましたが、今回はその続きです。僕は作品を売らない方向で制作をしていますが、頭骨の彫刻作品は売るための作品です。
今回はツキノワグマの頭骨を使いました。
DSC01453
パテを盛り、削りこんでいきます。
DSC01635
仕上げのペーパーがけをして彩色して完成。
DSC01665
DSC01667
彫刻はなかなかお金にイメージが湧かないらしく、これから始めようとしている人たちにはよく就職できるんですか?と聞かれます。彫刻の技能を活かした就職というものはゴマンとあるので、就職したいのであれば出来るというのが結論です(専門職で言うとクレイモデラー、CGモデラーなどは特に彫刻出身の人達が活躍しています)。但しその時点でしっかりとした技能を修得し、魅力的な作品を作れることが前提です。まあそれはどの科も同じだし、普通大学を出た人の就活だって、良い企業に入りたいと思うのであれば自分を磨かないといけないのと同じといえるでしょう。
逆に自分の作品を作り続けたいという人で、作品を売りながら生活している人も実際にいます。漠然と将来の不安を感じて一歩を踏み出せずに迷っていても何も始まりませんが、案外一歩踏み出したら全てが解決してしまったりするんですよね。努力したら努力した分の将来がある。努力を裏切らないのが彫刻のいいところかなと思います。