日別アーカイブ: 2014年4月3日

彫刻科春期講習 ベルベデーレ

こんにちは、彫刻科の小川原です。春期講習最後の課題、浪人生はベルベデーレを選択して描きました。さすがに去年一年間の蓄えがあり、素晴らしい出来の作品です。
T.U君の作品。
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像を取り囲む空間が美しく描けています。このように石膏像を静物的に捉えて描く方向性は、見方が浅かったり表現力が乏しかったりすると面白みの感じられないカタい作品になりがちですが、このレベルまで来ると一つの作品としての「完成」と言えるのだと思います。目の前にある物をただ「描く」ということだけに一生懸命になるのではなく、そこになにかしら自分の世界観を残せると見る人の心も動かせるのではないでしょうか。

Y.S君の作品。
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ベルベデーレのもつ岩の塊のような量感を、躍動感溢れる炭使いで魅力的に仕上げることが出来ました。彼の持つ潜在的な表現力の強さには毎回驚かされます。
ここが受験予備校であり、入試に備えて日々特訓を重ねていくことは当然のことで、入試に受かる、ということは疑う余地のない大前提の目標であります。しかしそればかりを追いかけてしまうと、自分の作品を「受験」という狭いくくりの中だけで評価することしか出来なくなってしまいます。受験の為の練習作の域を出ないのか、それとも美術作品となり得るのか。何を理想とするのかで大分意味は違ってきます。この作品からは後者のような作家性を感じました。この一年、見失うこと無く追求していってほしいです。

今回は社会人講師の氷室先生も指導の合間を見て描いてくれました。
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炭使いが生き生きとしていて、短時間ながら全体を捉えているのが分かります。僕も氷室先生も内田先生も全く違うタイプなので、それぞれの良さを生かした指導が出来たらと思っています。新学期が楽しみです!