月別アーカイブ: 2013年10月

基礎科クラス紹介?工芸って何?①?

こんにちは、基礎科講師の常信です。
突然ですが、「工芸科」って何をする科か知っていますか?
なんとなくのイメージはあっても大学に入ってからの制作をよく知らない人も多いのではないでしょうか?
そういう私も受験を始めたばかりの頃は何をするところなのか、実はほとんど知りませんでした…。
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これは、私の朝ごはんです。

左の茶碗は陶芸の先輩がつくったもの、右の汁椀は漆の友達が塗りなおしてくれたものです。
お箸もその友人の作ってくれたものです。

少し極端かもしれませんが、工芸はこんな風に自分の生活から根ざした所から生まれた技術を使って作品を作っていく科なのかな、と思います。

今回はそんな工芸という科の様子を東京芸大の工芸科を例に見て行きたいと思います。

 

 

まずは陶芸です。皆さんが使う食器なども陶土で出来てるものが多く一番身近な素材かもしれませんね。

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次は染織です。
字のごとく染めたり、織ったりする専攻です。
糸なども自分の好きな色に染めて使うことが出来ます。

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そして、本日の最後は漆芸です。
漆はうるしの木から摂った天然の塗料のことで、それを木や麻布などに塗ったりして作品をつくります。

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作業工程自体は渋いものも多いですが、完成作品はとても美しいものがいっぱいです。

今回は特別に漆芸研究室出身の先生方の作品をご紹介します。

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こちらは小椋 範彦先生の作品です。
花の部分は貝殻を使った螺鈿の技法を使って作られています。

 

9佐々木

佐々木?岳人先生の作品。
革に見えますが、この質感も漆でつくられています。

 

8茂田典子

茂田 典子先生の作品。
この作品のように、木も自分で彫って、そこに漆を塗ることもできます。

 

7松崎 螺鈿蒔絵箱「雨音」

松崎 森平先生の作品。
この先生はななんと、新美出身の方です。

 

今回はこの三専攻の紹介だけでしたが、工芸にはこの他にも彫金、鋳金、鍛金、ガラス、木工芸など魅力的な専攻がまだたくさんあります!

次回のその②では金工の三専攻を取り上げる予定ですので、お楽しみに!

 

 

公開コンクール、推薦入試対策、そして芸術祭。

こんにちは。映像科講師の森田です。

はやいものであっという間に10月も後半ですね。イベントが目白押しの2学期の映像科金土日コースですが、まずは前回のニュースで予告した先々週の13、14日の公開コンクールの様子をリポートしてみます。内部生外部生含め大勢の学生が参加した武蔵野美大映像学科型模試でしたが、感覚テストのテーマは『線をまたぐ』。この言葉から発想して絵と文章による制作を行ないました。物語的な展開を説明した作品もあれば、散文的な言葉とイメージの組み合わせによる作品もあり。全体的にこの時期としてはハイレベルな作品が揃いました。写真は2日目の講評風景から。それぞれの作品の評価のポイントやアドバイスを解説しています。

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選択科目である小論文とデッサンでは毎年モチーフが配布されます。小論文は小型の懐中電灯を観察しながら『照らすとは○○である』という主題で書きました。実際に手で触って、使ってみたり変形できる工業製品がモチーフとなるというのがここ数年の定番でしたが、どうでしょう。予想できた人もいるのかな?

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デッサンでは同じ懐中電灯と布製のバスケットを構成して描きます。評価は基本的な描写がしっかりできているかどうかですが、意外にトリッキーなモチーフ(や条件)が課せられるのも、映像学科のデッサンの特徴です。なので今回は懐中電灯を点灯させるという条件を加えました。光るモチーフ。

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そして講評終了後には上位の人に賞状と副賞を。おめでとうございます。これを励みにあと4ヶ月、頑張ってください!

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さて、一方コンクール明けの授業では課題制作と並行して推薦入試対策も進んでいます。志望理由書やポートフォリオの制作、面接対策などが中心ですが、武蔵美映像学科の推薦入試では、出願する時に一次試験として3000字程度の作文を同封します。テーマは「高校などで集団をまとめた経験を、自分が果たした役割とともに書く」というものですが、それにしても3000字は手強い。ある意味では自分史のような課題でもあります。提出ぎりぎりまで粘って、少しでも良いものを送るべく推敲を繰り返します。下の写真は添削の風景。

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このように一般入試、推薦入試それぞれ対策が進められている今日この頃ですが、話は打って変わって今週末、来週末と武蔵野美大、多摩美大の芸術祭がありますね。オープンキャンパスが表の顔だとしたら、芸術祭は裏の顔?(別に悪いことをしているわけではないですが)いずれにしても大学生のリアルな姿が見られるので「あ?いいな?来年はここにいたいな?」と思って、その後受験勉強に邁進するという効果もあります。展示なども色々企画されているようですね。映像科は金土日の授業なので時間を取るのがなかなか難しいかもしれませんが、チャンスがある人はぜひ行ってみてください!

武蔵野美術大学芸術祭2013
多摩美術大学芸術祭2013

台風27号 授業変更はありません 2013/10/25 18:00

こんにちは。
台風27号接近にともない、授業への影響が懸念されましたが、今のところ26日(土)、27日(日)の授業および行事は予定通り行います。

ただし、土曜日の午前中は雨の予報が出ていますので、お住まいの地域の状況をみて、安全面を考慮し行動するようにお願いします。

変わりやすい秋のお天気です。

新宿美術学院 国立校 基礎科です。

立て続けに台風が来ています。
台風の影響による授業の休講がある場合は、
新美ニュース ブログでお知らせいたします。

今週のモチーフ。   立派なサザエです。
今回は「細密描写」、モチーフを徹底的に観察して、描けるところまで描いてみよう、という課題です。一度経験しておくと、グッと観察力や表現力がついてきます。翌週は、こんどは水粘土でサザエを模刻の予定です。
モチーフ

参考作品
モチーフ 見本

みんな思い思いの角度でサザエを描きます。
デッサン1

デッサン2

デッサン3

デッサン4

デッサン5 (2)

デッサン6

10/20(日)は保護者会がありました。
保護者の方々と、今後の進路についていろいろお話させていただきました。
皆さん、きちんごと家族間のコミニュケーションが取れていらっしゃるようで、
美術を目指すお子さんに対しても、理解と協力をしてくださっていました。

受付

保護者会1

保護者会2

進学相談・入学説明は随時受付中です。
美術系に進みたいが、どんな学校があり、どういった学科があるのか、
美大に入るにはどのような勉強が必要か、何でもご質問ください。
進学説明会
国立校 営業時間

彫刻科は実技模試、オープンスクールとイベント続きでした。

こんにちは。彫刻科小川原です。芸術の秋!ということで、新美では全国実技模試のラッシュです。先日彫刻科もデッサン、塑像2課題の模試を行いました。塑像ではマスクを含む構成課題を出題しましたが予想を裏切る出題でしたでしょうか??その日の為に石膏像からシリコン取りして夜な夜な型取りしていたんです。でも本番だって何が出題されるか分からないのだから、そういう意味でもいい経験になったのではないでしょうか。
デッサン、塑像共に全体的に課題の残る結果となりました。しかしこれはあくまで今現在の結果でしかありません。試験までの残りの時間を最大限有効に使って足りない実力を補っていきましょう!ここからが頑張り時です!
デッサンでは現役生の素晴らしい健闘が見られました。全体では顔を含む印象の悪さが目立っていました。視野を狭めて強引になる事無く、自然体で像を捉えられると良いですね!IMG_2159
塑像では「構成」そのものの理解や目的が曖昧なものが多かったように思います。セオリーに頼るだけでなく、自分自身のヴィジョンを大切にしていきたいです。同時に完成度はかなり重要なので、さらに段取りよく進められると良いです。
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全国模試の次の週にはオープンスクールを行いました。主に高校1?3年生を中心に、デモンストレーションを交えつつ、1日でモデル首像を制作するというなかなかハードな日程でしたが、経験のある生徒も、初めてつくる生徒も、皆集中力を切らさず、魅力的な作品に仕上げてくれたことに感心してしまいました。中でも2点、完成度の高い作品が出ましたので紹介します。どちらも現役生の作品です。
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短い時間の中でよくここまで仕上げて来れたなと思います。作者の底力を感じる作品です。一通り隙が無いように手が入れられていますが、細部の表情や起伏の少ない部分(頬や首周り)での説得力がどれだけ出していけるかが今後求められるポイントです。さらなる成長に期待しています。

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この作品はモデルさんの骨格的な特徴を粗付けから構造的に捉えていって、常に印象を引き出しながら進めていたのが印象的でした。現役生にしてすでに彫刻的にものを見る目が身に付いている事に驚かされます。髪の毛の表現を含め、後頭部側の魅力がさらに出てくるとよりおもしろい作品に出来ます。今後が楽しみな逸材です。

最初は粗付けのポイントをデモンストレーションを見てもらいながら解説しました。
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皆1日全く休まずにとても集中してくれました。最初は1日でどこまで出来るかなと少し不安でしたがどの作品もしっかりつくれていて、頼もしさを感じます。この気持ちを忘れずに、日々努力していってもらえたらなと思います。
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同日新美では芸大で解剖学の講義をされている先生による講義が行われていて、個別講評後、こちらにも立ち寄っていただき、有意義なお話を頂きました。先生は元芸大の彫刻科出身とあって、実制作に繋がる事が聞けたのは良かったと思います。
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さ、大きなイベントは終わって、後は冬期講習、入試直前講座とますます気合いを入れていきたいところですね!普段の彫刻科の授業でも良い作品が出ていいるので、いくつか紹介していきます。
昼間部からです。自画像。自分をテーマに絵を描いたり彫刻にしたりというのは芸術家の永遠のテーマです。ただ形や状況を写し取る。というだけでなく、そのときの心情など内面も含めて表現していきたいです。
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コンテを使い、まるで塑像をするかのように取ったりつけたりを繰り返して出来た作品です。そうした触覚的なやり取りが画面に何重にも刻まれて、見るものに訴えかけます。

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オーソドックスな作品ですが、自分自身と向き合う意識の感じられる作品です。シンメトリックで動きの無いポーズですが、かたさは無く、自然な空間が描けています。

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コンテを使って描いています。丁寧な描写から、その完成度の高さが伺えます。ポージングや表情が作品としての魅力を引き出していてとても良いです。作者の心境を想像させる作品です。

うさぎ。
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ポージングが非常に難しいですが、自然でいて、よりうさぎらしさの感じられる動きを全体に繋げて成立させる事が出来ました。モチーフに対する丁寧な観察が伺えます。

奴隷。
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彫刻科の受験で模刻の定番の石膏像の中では最大級のモチーフです。大きいというだけで難易度は高いですが、動きも激しく、表情のつくりもとても難しいです。この作品は最後まで奴隷に合わせていく為に真摯にモチーフに向き合うことで生まれた非常に完成度の高い作品です。雰囲気を似せる、というだけでなく、真にそのものに近づけていくという感覚は、模刻の大原則であり意外と忘れがちな事でもあります。

続いて夜間部の作品です。自画像。
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強い光源をうまくいかした表現が出来ました。表情も自然で絵として魅力的な1枚になっています。これをもとに、さらに具体的な形を伴う空間として像が捉えられると尚良くなります。

自刻像。
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動きをつけた事によって作品を回してみた時に変化が感じられ、魅力に繋がっています。少しの動きでも全体に関係づけていくのは難しく、この作品はそこに破綻が無い事によって、より強い説得力を与える事に成功しています。

一通りイベントが終わってとりあえず落ち着いて…。となるはずも無く、ここ最近自分の制作がおろそかになっていたので、これからは時間を見つけて僕も自分の作品の制作をしっかりこなしていこうと思います。やっぱりつくるのは楽しいです。もちろん予備校でやってる事とは全く違いますが、この楽しみを是非皆さんにも早く知ってもらいたいです。